スーサイド再びー2

現在午前10時。


今回の依頼、リケラの傷だらけの件を


リケラからフィルの翻訳を受けて


ヴァイスから詳細を聞いた。


この時にはトキの怒りは収まっていた。




スーサイドの森に突如幻獣と思われる生き物が


現れたらしい。


幻獣は植物系と魔物系の2種類ずつ。


・・・植物系なのに何故リケラは幻獣と思った?


理由は生き物を魔物として認識しており


森の中で見たことないのを幻獣と思ったと。




植物系の幻獣は小さいが攻撃が特殊らしい。


白い頭にギザギザの口、吊り上がった半月の目。


口の中は黒く、目は白眼らしい。


体はスーサイドに住む魔物の皮を纏い浮いている。


ヴァイスよりも小さく1mぐらいらしい。


口で岩竜のリケラの岩を噛み砕く顎の強さ、


魔物の皮の下には緑色の蔓を束ねて


体長の半分の大きさの鎌を振るい切り裂く。


リケラの傷の一つは鎌の攻撃らしい。


刃が折れず、刃こぼれもしない。


特殊な武器を持ち、襲いかかる。




同じ様な姿をしているが顔が異なるのがいると。


頭が橙色で縦に波状に凹みがある。


口と目は同じ形だが中は赤色。


つばのある三角垂の魔物皮の被り物しているらしい。




リケラのその時の状況を聞く。


リケラは見つけたときに敵と思い


白幻獣の魔物皮の体に岩を飛ばして攻撃し


皮に当たるも貫通したのか幻獣の奥にある


木に岩が当たり倒れる。


飛ばした岩は体の半分を吹き飛ばす大きさ。


皮に丸い穴が空いてるが地面に血や肉片が無い。


その場にふわふわ浮いてたらしい。




体を無くすほどの大きさの岩を飛ばしたら


纏う皮から緑の蔓を束ねて腕が現れる。


その腕には1つの鎌が持たれており


岩を賽の目状に一瞬で切り裂く。


岩はそのまま体に当たるが怯まない。


当たる時に見えたらしいが


頭しか無く蔓の腕は頭から直に出ていた。


・・・タコみたいだな?


・・・いや?根かな?




鎌を隠す為に魔物の皮を纏ってたらしい。


リケラに襲い掛かり皮膚を食い破ろうと


口を顔の半分に割いて岩を噛み付いた。


リケラの皮膚で2mある岩を


ガリゴリと音をたてて砕いていく。


魔物の皮の下から岩が溢れていた。


砕かれた岩は石の山となっている。


噛み砕くを行いながら切り裂いていったと。


白と同時に橙色の幻獣も現れ岩を噛み砕き


鎌の攻撃に痛みを感じて撤退をした。


自分が食われる、痛みを受ける


なんて思わなかったらしい。




「聞いてるとあれだな?幻獣よりも


植物のゴースト、幽霊に近いな?


スーサイドにいない類いだ。


基本的にスーサイドの魔物は足あるし


武器を使わないしな…


植物も擬態して罠を張るし!


動くなんて知らないぞ…1年は居たがな…


頭が本体か?じゃないと浮いてる説明が付かない。


白と橙色の浮く植物ねぇ?


食べても栄養にしないなんて・・・


何の為に口を持ってるんだ?


うーん…確認してみないとわからんな…」


トキはヴァイスからの植物系の幻獣について


自分の知識を活用しながら感想を述べる。




「ゴーストですか?他領にいると


聞いたことありますが…


父様の領地では聞かないですね?


確か・・・アンデットなどの死体と違い


物体に取り付き操る…


本体は半透明の陽炎みたいになっているから


物理的攻撃は効かないでしたよね?」




「そうだな…スーサイドの森での


生き物の死体は数種類の影響を与える。


1、死体が動く、2、疫病作る、3、肥料だな!


スーサイドは魔力が豊富で特殊な磁場がある。


俺達が暮らしてた時は最低限の狩りしかしてない。


獲物は食い、骨とかは焼いて灰にし畑に撒く。


じゃないと地面に放置すると異臭を放ち


虫が食い破り、散らかして残す。


それを植物が肥料にすれば良いが偏食なのか


肉食植物は食べないことがある。


その状態で動き回り仲間を増やす。


それが土地の衛生面を悪くして病をもたらす。


だから骨だけの奴以外は燃やしてたがな!


骨だけって肉の腐敗無いからな?


あっても魔法の練習台にさせて貰ってたよ!


大変だったな…一部の肋骨の隙間に肉残っててさ


それを削ぎ落とす練習してたよ!」


「食事してるときに出来ない話だな.」


「そりゃそうだろ?見ると酷すぎて吐くぞ?


小さな白い虫が無限にいてな?死体を・・・」


「もう止めろ!!!気分が悪くて吐きそうだ!!」


ガデルはトキの話に込み上げてくる物を抑えた。




「ガデル?それじゃあ野生では生きれないぞ?


その隙を狙ってくるからな?


気付いたら魔物の腹の中か植物の肥料だ!


用心しないとスーサイドでは


良くて腕を無くすからな?良くてだぞ?


五体満足では普通に居られない場所だからな?


そうだな・・・そこらに石や土が沢山あるだろ?


それが隠れてる魔物と植物だと思わないと


食われるぞ?一瞬でな?


ほら!そこの石が馬車に跳ねられただろ?


気付かないほどに気配を消して襲うからな?


あれに石に気付かないなら終わりだぞ?」


「どんだけ危険な森なんだよ…


良くそこで1年以上暮らしてたな?五体満足で…」


ガデルはスーサイドの危険性を教えられる。


そこで暮らしてたトキに同情した。




「環境が人を強く変化させるからな?


ヴァイスの白髪が良い例だぞ?


元はクリプス辺境伯と同じ金髪だぞ?


スーサイドに居たらどこかが変化する!」


「ヴァイスの白髪はそんな理由があったとはな…」


ヴァイスの白髪に対してスーサイドが関係してるとは


思いもよらず驚くガデル。




「植物系の話は分かったが動物系の幻獣は聞いてないな?


リケラは幻獣に、それに川に落とされたんだろ?」


「いえ、足を滑らして落ちたみたいですよ?」


「・・・いや、落とされろよ?そこはよ?」


「・・・不吉な突っ込みはやめてくださいね?


話はもどしますよ?植物系の幻獣に襲われて


撤退したリケラは拠点に戻る時に


動物系の幻獣と遭遇したそうです。


散歩中だった出来事なので驚いたと


翻訳されましたね!」




「まさかの拠点ではなく散歩中かよ?


拠点なら畑に変な植物が生まれたと思えたのに…


足生えて逃げる野菜いるからな?


それの変異種だと思ったんだがな…」


「変な野菜作ってたんだな?スーサイドで…」


「凄いぞ!うちの畑で育てていた野菜はな!


畑の回りに柵立てて外に水を張った堀があるんだが


たまに柵を跳んで堀を泳いでな?


出たところを魔物に呆気なく食われる!」


「凄いが可哀想な野菜だな・・・」


トキの野菜自慢に野菜への憐れみを感じるガデル。




「野菜の自慢はそこまでにしてくださいね!


それで動物系の幻獣ですが・・・」




動物系の幻獣は本当に幻獣だった。


グランドラ。リケラの前の森のボス。


俺が以前倒した翼竜が復活したらしい。


体は以前より一回り小さい。


以前のグランドラの子供らしい。


・・・子供いたのかよ?


植物系の幻獣に襲われたリケラは


拠点に戻る前に水を飲もうと川に行くと


偶然、歩いてる姿のグランドラを見付けた。


本来は触れたら危険な竜だが


森のボスとして避けられないと判断して


襲撃したらしい。


住み家を奪われる。仲間が殺される。


殺られる前に殺らないとそう考えた。




しかし相手にいくら攻撃しようが傷を負わない。


鋭い岩を飛ばしても刺さりもしない。


グランドラがその場から少し動いただけで


衝撃波が襲い掛かり強制的に後進させられた。


衝撃波にリケラの皮膚にある岩が削られ


皮膚を切り裂き血を流す。


一瞬怯んで目をそらしグランドラを見ると


姿が見えない。顔を横に振り探すと左横から


グランドラから突進された。


耐えきれずその場から飛ばされる。


踏ん張る足が震えてるが立ち向かおうと


体をグランドラに向けた時に後ろから川に落ちたそうだ。


・・・凡ミスだろ?それ…


戦う場所間違えただけだろ?


俺は話を聞いて肩からこけそうになった。




グランドラは山ほど大きな翼竜で


全属性の魔法を操り、全耐性をもつ。


唯一の攻撃手段は物理のみ。


しかし半端な力では届かない程の防御力で


擬態能力はカメレオン並み。


気配に敏感で敵を直ぐに見つける。


速さも森の魔物の中で一番で


動く度にソニックウェーブを放つ。


確り準備をしないと最初の邂逅で即死。


体力が少なくなると凶暴化して数日は暴れる。


こんな敵はゲームでも隠しバグボスキャラとも


図鑑に書かれていた。


何故この世界にいるのかも不明らしい。




グランドラを以前は森の木に刺して討伐した。


丸太の先端を尖らして突き刺した。


フルバル無かったし仲間なんていなかった。


だけど怒りに身を任せて倒した。




リケラの仇を!って考えたがなんか違わないか?


肩から力が抜けていく。


だが良い機会だと判断した。


今の実力は昔と違う。


試すには丁度良い相手になるな!




・・・ん?


「ヴァイス?幻獣は4体いたんだよな?


白と橙色の植物とグランドラ、後は?」


「最後のはリケラが川を流れてる時に


リケラから見て小さいながらもリケラを足場として


踏みつけて空を翔んだそうです…


その時にリケラは川底まで落とされたそうです。


姿は水中からなので揺らめいて見えたそうですが


4本足が見えただけで色など詳細は無いとの事です…」


「流れるリケラを足場にして?


踏みつけられて川底に落ちた?


あの体格のリケラがか?どんな力だよ!?


1km超える山が押し込まれたのか?知らんぞ!?


そんな魔物がスーサイドの森にいる!?


しかも翔んでった?ジャンプじゃなくてか?」


トキはヴァイスの説明に驚いた。そして考え出す。




「う~ん・・・最近の森の事情知らないからな…


新しく現れたのか、元からいた奴で隠れてたのか…


群雄割拠していたからな・・・


生活では拠点周辺しか狩りしてないからな・・・


生活してある程度は判明してるけどな?


森の魔物は猪と狼と兎、鳥、猿、熊、


希に翼竜、地竜、死体、雑食魚か?


全部は見てないからな…川周辺ぐらいか…


森広いからな・・・山があるし・・・


全部見て回るなら数日では無理だぞ?


リケラも森のボスっつってもな?


俺のいた拠点の守護してる奴だぞ?


知らないことも多いだろ?


なら幻獣?知らない奴いても仕方無いと思うがな?」


トキは判明してる事とリケラの防衛範囲、


自分の考えを告げる。




「だが気になるよな?


1年以上居て知らない事があるなんてな?


調査は必要だわな・・・


しかもグランドラの出現なら尚更だな!


今の実力試したいし植物系の奴と手合わせしたい!


そういやさ?今回の依頼ってどんな依頼にしたんだ?


怒りが凌駕してたからな?知らないんだよ?」


「そういえば言ってないですね?


今回の内容は幻獣退治としか伝えてないですから


それの討伐ですね!スーサイドの危険度の確認も


含まれてるので調査は必要ですよ?」


「危険度調査も冒険者の仕事なのか?


まあ良いけどな…一回り見て幻獣倒して


調べりゃ良いだろ?ガデルに危険度認定任せる!


俺達では危険度の判定基準知らないからな?


18歳に10歳の子供だぞ?後、魔物!


分かるわけ無いからな?


だから、任せたぞガデル!」


「まぁそうだよな…俺になるよな…


元諜報部隊の知識での基準で見てやるさ!


確実に危険度ランクSSは確定だろうけどな?


下がりは・・・しないな確実に!」


トキの任せる宣言にガデルは昔の知識を使い


調べることを告げる。




そういう話をしてるとスーサイドの入口に着いた。


入口といっても目の前に森が広がってる。


どこまでが入口か分からないほどに


10m以上の木々が並びそびえ立つ。


トキ達はスーサイドに地面から入るのは初めてだ。


全て上空から拓けた場所に向ったり


森から出るときも魔物の集団に追い掛けられて


フィルに乗って出たりしていたので知らなかった。




「改めて見ると木々がデカイな?


そこら中に気配を感じるぞ!


魔物と植物…おぉ!盗賊もいるぞ!


一般人と悪党で気配違うからな…


では久しぶりにスーサイドに帰還と致しますかね!」


トキはフィルの馬車から降りてストレージに戻して


スーサイドの入口を周囲を見てから見上げて


感想を述べるとトキ達はスーサイドのそびえ立つ


木々の中に入っていった。


現在トキ達のメンバーはトキ、ヴァイス、ガデル、


フィル、ルティ、ブラッド、リケラの7名。


トキ達が森に入ると兎や猿、狼の集団に囲まれて


烈々な歓迎を受けスーサイドへの帰還とした。

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