スーサイド再びー4

「ガデル!左にある木に近付くなよ?


それ肉食植物だからな?


後、右に1mずれてくれ!突進されるぞ?」


ヒュン!パク!


「ああ、なるからな?気を付けないと!」


「・・・危なすぎるだろ?スーサイド…」


トキに言われて避けた途端に兎が突っ込んで来て


肉食植物に食べられた。美味しそうに食べてる。




「トキ?聞くがこれがスーサイドの日常なのか?」


「そうだぞ!気を付けないと死ぬぞ?


ここは人間の世界じゃないからな!


野生の世界だ!生きるか死ぬか!それだけだ!」


「危険度ランクSSの森は伊達じゃないと分かったよ…


しかし言われないと気づかないぞ?


何か特徴でもあるのか?」


「特徴ねぇ…無いな!実体験からの経験則しかないな!


ガデル!そこの右にある奴も肉食だからな?


小さくても大きくなるから!


例を見せるから左に2m避けろよ?」


ヒュン!ヴワァ!パク!


20cmの植物が巨大化して牛ぐらいの狼型魔物を食べる。




「・・・これ経験したのか?トキはよ?」


「俺がよりも魔物がだな!魔物も気付かないほどの


擬態だからな?俺も経験したが燃やしたら


全て解決だからな?あ、ヴァイスは右に1mな」


シュシュン!パクパク!


兎が2体突進して肉食植物に食われる。




「ヴァイスは経験者でも踏み込んだ程度だからな?


気配を感じる事が出来ないか?


見ろ!ケル、フィル、ブラッドは理解して避けてるぞ!」


3匹は1歩歩く度に避けている。


左右前後に体を揺らして避けていく。


避けられた魔物は驚くのも一瞬で終わる。


肉食植物がようこそ!と葉を揺らしてる様にみえる。




「トキ?気になるんだがこの辺肉食植物多くないか?


食われる魔物も数が多いが?」


「ん?そりゃそうだろ!


この一帯は肉食植物の群生地だからな?


餌の魔物が好む各自の匂いを周囲に出してる!


ガデルがスーサイドの入口で言ったろ?


『森では木の香りで落ち着く』って?


それと同じ匂い…とは違うが分泌しててな?


その美味しそうな匂いに魅了されて


勢い良く駆け出して肥料となるわけだ。


俺の仲間は魅了耐性持ってるからな!


落ち着いて行動してるって訳よ!


ガデルは魅了耐性持ってて良かったな!


無いと直ぐに肥料になってるぞ?」


トキはガデルに説明する。


ガデルの言っていた落ち着くとは


木が自己防衛に発散される


フィトンチッドが要因である。




ここでウィッキー先生の説明。


フィトンチッド(phytoncide)とは、


微生物の活動を抑制する作用をもつ、


樹木などが発散する化学物質。


植物が傷つけられた際に放出し、


殺菌力を持つ揮発性物質のことを指す。


森林浴はこれに接して健康を維持する方法だが、


健康だけでなく癒しや安らぎを与える効果もある。


フィトンチッドはその殺菌性や森林の


香りの成分であるということから良いイメージがあり、


森林浴の効能を紹介する際に良く用いられている。




地球で1930年ごろロシアの大学の学者が、


植物を傷つけるとその周囲にいる細菌などが死ぬ現象を


発見した。これを植物が周囲に何らかの揮発性物質を


放出したためと考えて


この物質をフィトンチッドと命名した。


フィトンチッドは「植物」を意味する「Phyto」と


「殺す」を意味する「cide」から


作られた造語である。


以上、拝見ありがとうございました。




スーサイドの肉食植物は自己防衛ではなく


捕食の為に餌を誘い出す為に揮発性物質を出す。


この世界では認識、検証されてない物質である。


トキはこの物質をモンスチッドと名付けている。


魔物=モンスター、殺すを意味するチッドを


合わせた造語である。


食べるは英訳すると色んな単語があり


掛けても上手く納得出来なかったので


モンスチッドとなった。




「耐性持たないとスーサイドで


暮らせないとは思わなかったぞ?


日常では使わない耐性がここで役立つとはな…


外にも必要な耐性があるのか?」


「あるな!っと言うか全異常耐性持ってないと


確実に餌か肥料だな!


毒、睡眠、混乱、魅了、石化などな?


体に異常と感じる異常の耐性が無いと死ぬ!


ここで暮らしてるとな?全耐性つくぞ?


豊富な魔力に特殊な磁場が体に変化をもたらす。


睡眠耐性は切り替えしてるな。


じゃないと寝れないからな!」


「つまりはスーサイドに入るには最低何が必要なんだ?」


「・・・覚悟?」


「・・・そりゃそうだろ!?危険度ランクSSだぞ!


危険を嘗めるな!・・・そうじゃなくてな?


例えばだな?スーサイドを分けると


入り口、森、山と分類するとして


その中にも色々な地域があるわけだ!


ここみたいに肉食植物の群生地とか洞窟とかな?


拠点としてる場所もトキ達は感じてないと思うが


一般人はまともに歩く事が出来ない。


地面に足が張り付いてる程の力がのし掛かる。


魔力が無いとな?魔力は肉体の保護の役割も持つから


一定基準の魔力保持者じゃないと無理だ!


トキの言う重力?が働いて魔物に襲われる。


入口はニバルやべラムと同じだが


拠点に向けて歩くとどんどん足が重くなる。


今の場所はそこまで無いけどな?」


ガデルの言葉にへぇと軽く相づちうつトキ。




「だからな?不思議なんだよ?


お前みたいな人間が良く人の世界で暮らしてるとな?


そして最近頭角を表してる!


世界が危ないんじゃないかとな?


頭の角にあるわけなんだよ…


召喚自体はそんなに珍しく無いんだよな?


過去の資料によるとな?10年又は20年毎に起きてる。


国はバラバラ、当時戦争していた国が召喚する。


自国を守る為に戦争終わらせる為にな?


聞かない名前の人間が現れては活躍をする!


そして噂が広まると同時に名前を聞かなくなる。


消されたのか、戻されたのかは不明だがな?


恐らく前述だろうな…地位を奪われると思い


当時の権力者が内密に行う…


戻されたとあるのは古い資料にしかない。


500年前に記述されてるが本当かはな…」


ガデルがトキの心配をして召喚について話す。




「戦争以外でも魔物の大量発生や


危険度ランクの高い迷宮の新設、


差界ディストからの侵攻、


差界とエクサクロスの均衡が崩れたなどの


世界の危機に呼ばれたのもある。


突然村に現れたなんて例もあるがな?


そういうのは建国して画期的な文明を作るが


認めない他国が滅ぼすやら


信仰されて勝手に奉られて教団作らされ首魁となり


良い気分になって他教団から暗殺されるとか


色々な事例があるらしい…」


召喚される理由とその後等を話してくれる。


俺はガデルが心配していると理解した。


同じ目にあって欲しくないと考えが分かる。




「トキの言葉を疑うわけではないがな?


本当に間違いで召喚されたのか?


しかも2国同時にだ!


戦争なんて起きてないぞ?今も昔もな?


差界ディストからの侵攻とかもない!


世界の危機なんて起きてないんだよ!


異世界人の話なんて聞かないしな?


もうすぐ2年経つけどお前も聞いてないだろ?


1人は偶然見つかったがな…奴隷としてだが…


だが誰も噂になってないんだよ!この2年な?


どこどこで新たな人物が活躍したとかな?


疑問に思わないか?なぜ1年も居らされたのか?


何故召喚されたことが秘密裏になってるのか?


何故噂になってないのか?


誰々が活躍したとすごい人物が現れたとかな?


何故今トキは巻き込まれてるんだ?


反乱軍とかスーサイドにずっと居たなら


関係ないし知るわけも無いんだよ?」




トキはガデルの言葉に思考の海に沈んだ。


・・・そういえば何故だ?


俺はスーサイドに1年居らされた。


軍事利用されないためと言われたから納得した。


・・・だが何故1年なんだ?


危険だから?ならあの部屋で居れば良い。


地球に戻れなくてもあそこなら危険はない。


修行にしては危険すぎる場所。


・・・間違えて飛ばした?


本当にそうなのか?経緯が逆になった?


本当に逆の位置にスーサイドがあり


危険度ランクDの森があるのか?


・・・何故最低限の知識しかない?


あの部屋で渡されたのは転移や転生系のライトノベル。


その知識しか与えられてない。


召喚されたことに驚いてる間に渡された。


最低限しか教えられてない。


・・・何故面倒事に巻き込まれる?


スーサイドから出て貴族を助けるなんてあり得る?


確率低いぞ?助けないのが多いしな。


迷宮や反乱軍に至ってもそうだ。


俺が原因の一因を担ってる。


・・・何故誰も噂になってない?


国に召喚されたんだ。国で生活をしている。


王宮に居座らせてるのか?


それでも王宮に誰かは入る。貴族とかな?


人の口には戸が立てられない。


俺達みたいに何かしら噂があるはずだろ?


情報規制している?無理だな。


ここまで来てない?ガデルが知らないのがおかしい。




何故何故何故・・・


危険な森にいても足を止めて関係無く考える。


疑問ばかりしか浮かばない。


先生達にはぐらかされた?何のために?


あの場所に行くと2回説教から始まる。


呆れるか怒らすかしかされてない。


何故世界の調査と生徒の動向を依頼した?


馬鹿に振り回されても扱うのが坂口先生だ。


それが何故俺しか確認できてない?


神なら知ってるだろ?何処に召喚されたか。


動向なのもおかしい。調査と解決もおかしい。


おかしいだらけだ!


考えすぎてるのかも知れないが


ガデルの意見も分かる。


世界の危機を救うためにスーサイドに飛ばされた?




「ガデル?召喚って最後に起きたのいつだ?」


「15年前だな…俺も覚えてる…7歳の頃だな…


ラジュマ王国が新興国と戦争していて召喚している。


その国は敗れて合併されてるぞ。


確か…ドグス共和国だったな…」




「ドグス共和国ねぇ・・・


15年前に召喚なら周期が合わねえな…


しかも・・・疑問しか出てこない…


あの奴等の依頼とガデルの心配が重なってるからな…


巻き込まれたかな・・・俺は偶然かな?


これは嫌な予感しかしないぞ?


世界の調査に解決?生徒の動向?


何かしら重なって俺に依頼したか?


もしくは生徒がやらかそうとしてるな?


ガデル?お前の心配的中かもな・・・


前に言ったっけ?神とやらに依頼されたと…


世界の調査をな?調査は神とやらが代変わりして


間もないから所々綻びが世界にあるとな?


それを20に満たない歳の若者に任せてんだよ…


最初はよ?何も考えさせてくれなかったよ…


一生徒に頼むことかってな?


それしか浮かばなかったがおかしいよな?


何故神とやらがせずに俺が解決するんだ?


放任主義でもおかしいだろ?やる責任はあるよな?


管理者だもんな?それを偶然召喚された他人に任す?


あり得ないだろ?子供でも任された世界だぞ?


・・・もしかしたら今回のスーサイドの件は


綻びから来てるのかもな…


そうか・・・俺は偶然王道パターンではなく


偶然巻き込まれるパターンか・・・


これはあれだな!完全に俺の案件だな!


くそが!せっかく気分戻ったのによお!


まさかのまさかだよ…ふぅ・・・」




トキは悪い予想の点と点が繋がってしまった。


違うとは言えない考えが頭に浮かぶ。


世界に綻びが所々にあるので解決する。


世界に綻びを作ってるのが生徒。


だから生徒の動向調査を依頼した。


異世界人がしてるから直せず出来ないのか?


おぉおぉ・・・繋がるわ!真実かは知らないがな。


これは早急にあの部屋に行けるようにしないとな。




「トキ?どうした?」


「いや、この案件…幻獣は世界の綻びからかもな…


そして俺のあいつらからの依頼内容だわ…


あぁ、やる気が落ちたわ…実力試すの止めて


適当に潰すわ…怒りも一瞬で下がった…


後、脱線したけどあれな?最低限何が必要かは…


やっぱり覚悟だな…実力はB以上が入口条件な?


Aと毒と魅了、石化の対策が森に必要だな…


後は調べんと分からんな…」


「そ…そうか…なんか知らんけど元気出せよ!」


「お前のせいだけどな…まあまあやるわ…」


ガデルの質問の答えに必要なの答えて


肩を落としたまま肉食植物の群生地を歩き、


川の周辺に辿り着いた。




「たぶん、この辺だろうな?グランドラいるのは…」


トキの言葉に全員が戦闘体勢をとり


緊張感を漂わせる。


唯一トキだけ違い、普通の状態で


目を落として地面を見ていた。


見覚えある足跡が残っていた。


今いる地面は段さがあり凹んでいる。


グランドラの足跡によって・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る