第56話ゾラム領の内乱ー10

僕とルティとラグは


ゾラム侯爵領内の街ニバルに入る事が出来た。


ラグに驚く住民がいたがアイサ姉様がいるお陰で


なんとかなった。


慕われてるんだな。姉様は。


偽の見張りはラグが担いでる。


後で警備隊に渡さずに尋問するらしいが


顎砕かれてるのに出来るのかな?


ルティは僕の頭に居て疲れたのか眠ってる。




住民が遠くから噂している。


「やっぱりあれアイサ様だったんだ!」


「まさかの武道派だったなんて…」


「あのプロポーションにはそういう理由か」


「あの熊?が担いでるのもアイサ様が倒したって」


「本当かよ?顎砕かれてるぞ?」


「綺麗な動きで顎に拳当てたらしい」


「優しく綺麗なバラにはトゲがあるなんてな」


住民にバレてるよ…姉様…


隠せる訳無いよね…本性って…


なんとなく先生と似ているんだよね…姉様。




僕達はラグをテイマーギルドで登録した。


僕名義でしたけど僕も受付の男性も驚いた。


ラグって危険度ランクSなんだね。


そんな感じはしないんだけど。


先生に影響されたかな?


先生の周りにいる魔物って親しみあるから。


もしかしたらリケラは・・・止めとこう。


絶対にしてはいけない気がしてきた。


姉様も驚いてたな。


僕の周りにいる魔物は危険度ランクA以上だから。


ルティも見えないけどそうだし。


でも姉様?顔が戦いたそうにしないで。


危険度ランクSだから。


やっぱり先生と根本は一緒だよ。


違うのは戦闘狂か戦闘好きかかな?


ん?同じかな?違うのかな?


・・・止めとこう。




「これはアイサ様!ご機嫌麗しゅうございます!


今日はどちらに向かわれたのですか?」


「あら!ニバルの警備隊ラキュ隊長!ご機嫌よう!


ちょっと遠くまで散歩をしてまして!」


ニバルの警備隊隊長らしい。


鎧姿でもみ上げから顎まで守る様な兜している。


兜の頂点から後ろまで5cmぐらいの長方形の


出っ張りあるけどニバルでは特有なのかな?


偽物も同じ兜だったし。


口から顎まで髭生やして剃らないのかな?


眉毛も太いね。僕は細い。気にしてはいないよ?


目はギョロっとしてなんか嫌だな。


いけないいけない。人は見た目で判断するな


って先生から教わったんだった。


なんか頭を叩かれてるんだよね。


ルティなんかあったかな?




「そうでしたか!そちらに居られるのは・・・」


「初めてでしたわね!べラムより来てくれた


私の実弟のヴァイスですわ!ほらヴァイスも!」


「はじめまして!ヴァイス=クリプスと申します」


「これはこれは!幼いのに確りされてますね!


私はこの街ニバルの警備隊で隊長しています


ラキュと申します!お見知りおきを!」


ラキュは敬礼を僕にした。


未だに分かんないんだけど


敬礼と左胸に右手を当てるのはどっちが正しいの?


警備隊は軍だから敬礼なのかな?


胸に当てるのは貴族だからなのかな?


後で聞いてみよう。




「アイサ様?お聞きしたいのですが


その熊?魔物ですかな?が担いでるのは


警備隊の者では無いでしょうか?」


「あら!気づきましたか?警備隊の偽者ですわ!


実弟と散歩中に偶然恐喝してましてね!


気になった私は実弟と共に向かうと


反乱軍だったらしくて襲いかかられて…


私は怖くて怖くて…でも・・・


ヴァイスが助けてくれましたの!


主人の許に届けようとヴァイスが言ってくれて


もしかしたら警備隊の中に仲間がいるのではと


忠告してもらい今に至りますわ!」


「そうでしたか…その話が本当なら調べないと…


私は調査に向かいますので…


それでは失礼いたしました!」


ラキュ隊長は早々と離れていく。




「姉様?」


「嘘も使い方によって…ですよ?」


先生が言ってたね。確か嘘も方便だっけ?


目的の為の手段だって教えてもらった。


「正直ヴァイスが来るまで分からなかった事です


可能性は考えないといけませんよ!


だからラキュ隊長に渡さずにしたのですから」


「なるほど…そう言う事なら僕も異論はありません」


「成長しましたね…良い人に巡り会ったのでしょうね


自分でも考えて理解をして間違いは指摘する


本当にヴァイスは成長しましたね…」


「姉様!泣かないで!泣くなら家で!!」




僕の成長した姿見て泣きそうになる


アイサ姉様を宥めてゾラム侯爵の家に向かった。


そんなに成長したのかな?


半年前もお父様に泣かれたし・・・


クルス隊長も補佐官もメイドも執務室に居た


皆が僕が先生に教えられたのを見て泣いてた。


なんでだろう?相談ならフィルにしてみよ。


べラムの住民の相談役だしね。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


その頃ラキュ隊長は焦っていた。


「くそ!何であいつが!ヴァイスがいるんだ!


しかも部下も捕まりやがって・・・


計画が狂い始めた!早く連絡しないと…


ゾラム侯爵の所に居る補佐官にも伝えて


始末してもらわないと…


無能のせいで考える事が増えた!」


ラキュ隊長は冒険者ギルドに向かった。


反乱軍の仲間の下へと連絡しに向かう・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




僕達はアイサ姉様が嫁いだゾラム侯爵の家に着いた。




ここでゾラム侯爵の説明。


ラベル=ゾラム28歳。


サミン=ゾラムの息子で若くから爵位を引き継ぐ。


政略結婚でアイサ=クリプス20歳と婚姻したが


仲良く暮らしてる。


子供はいない。


領内に36の村があり統治している。


現在王国反乱軍が襲撃中。


3万の軍を分けて鎮圧している。


以上がゾラム侯爵についてとなる。




家に着くと眼鏡を掛けた姉様と同年代のメイドが


扉をノックせずに駆け寄ってきた。


現在僕達は姉様の部屋で寛いでた。


「アイサ様!心配しましたよ!


直ぐに帰ると言ってたのに魔物連れて帰って来て!」


「シーアごめんなさいね…


急用が出来てしまってね…でも無事に帰ってきたわ!」


「本当に心配したんですよ?魔物と帰って来て


反乱軍を連れてきて、隠してた武術で倒して…」


「何で武術について知ってるの?


後反乱軍についても教えてくれる?」


「反乱軍は住民が噂をしてましたよ?


後、武術は見つからずにしてましたけど


全員知ってますよ?夜中に1人で汗流して


大きな音出してたら気付きますよ!普通は!」


姉様は嫁いでから密かに誰にも見つからず鍛えていた


らしいが知られていたなんて思わなかったと


驚いた顔をしている。あぁ良かった。


フィルやラグの驚き方はしてなくて。




「分かったわ…もう隠さない!


堂々と武術を鍛える!ニバルとべラムではね!


他の領地ではこそっとやるわ!型だけにする!」


「姉様…そんな宣言いらないです…」


「私も同意見です…あのそちらの方は


前に結婚式で訪れたヴァイス様ですよね?


あの冒険者で『白影』の二つ名を持つ・・・」


「はじめまして!ヴァイス=クリプスです!けど…


僕その二つ名は初めて知ったんですけど?」


「知らなかったの?まだ王国内だけなんだけど


数十年振りに2つのランクE迷宮が融合した


危険度が桁違いの迷宮ホウリョで千の魔物の前に


活躍した子供の冒険者が居ると広まってるわよ?


その子は白髪で早く動き、まるで白い影みたいだと


喋るグリフォンと赤と黄色のマーブル模様の子狐と


進化したミノタウルスを従魔した若い冒険者が


べラムに居ると有名よ?まさかヴァイスとはね…


べラムに孤児院作ってスラムを改革したって?


しかも子供全員が冒険者で平均ランクEで


文字や算数教えて大人より頭が良いとか…


グリフォンの相談役やマーブルテイルの愛護部屋


があって商売してると聞いてるわよ?


ルティを見て驚いたわよ?本物なの?ってね!


狩りの仕方も変わった狩りしてるで有名よ?


冒険者になったのは知ってたけど昇格早くない?


今冒険者ランクBなんでしょ?成長したわね・・・」


僕は知らない情報が流れるように姉様から聞かされた。




「・・・先生…僕達いつの間にか有名になってますよ…


・・・ルティは知ってた?」


「キュウキュウ」


ルティは頭を振ってるみたいだ。僕の頭が凄い揺れる。


「・・・ちなみに聞くけどラグは?」


「ガアガア!!」


知ってると体をのけ反り強く頷く。


「何で知ってるの!?森で生活してたよね!?」


「ガアガ!」


「なに言ってるか分からないよ?


こんな時にフィルが居ないのが悔しい!!」


僕はフィルが居ない事に地団駄踏んだ。




「ヴァイス珍しいわね!落ち着きなさい!


そういえばその先生?はどこにいるの?」


深く息を吐いて僕は落ち着く様にした。




「先生は今・・・何してるんでしょう?」


「いや!知らないわよ!!パーティーでしょ?」


姉様が驚いて聞いてくる。組んだ記憶無いけど?




「パーティー組んで無いですよ?僕が一緒に


居るだけで…パーティー名無いでしょ?」


「そういえば聞いた事無いわね・・・」


「私も知らないですね…」


「でしょ?名前無いんですよ!僕達は!


だって人間は2人だけですよ?トキさんと僕、


後はグリフォンのフィルに


ゼクスマーブルテイルのルティ、牛鬼人のブラッド、


新たに登録したアシュラグリズリーのラグで


殆ど魔物じゃないですか?」


「そうなんだけどね…納得しないわね…」


「私もなんかもやもやしますね…」


シーアと姉様は納得してない雰囲気を出してる。




「とりあえず、僕達は先行して来てるんですよ


父様に依頼されてゾラム侯爵の反乱を静めて


姉様とゾラム侯爵をべラムに移送するって依頼を!


そしてゾラム侯爵領に向かってる時に


橋が壊されていたのでラグ呼んで直して


盗賊に襲われたのでアジトに先生、フィル、


ブラッドが向かって…それから連絡無いんですよね…」


僕はため息を吐き顔を下げる。




「ヴァイス?依頼は分かったけど


気になる事言わなかった?」


「私も3つ気になる事があります」


何が気になるんだろう?


何かおかしな事言ったかな?


僕はルティとラグに顔を向けると


2人は共に顔を傾げてる。




「姉様?シーアさん?気になる事とはなんでしょうか?」


「気づいてないの?ヴァイス!?


まず1つ、橋が壊れていて直した!


2つ、ラグを呼んだ!


最後に盗賊に襲われてアジトに行った事!


分かる?この不明な出来事について!


何故橋が壊れていた?何故ヴァイス達で直せた?


何故ラグを呼んだ?何故盗賊に襲われてアジトに?


これよ?気になる事は!」


「姉様?3つから4つに増えてます…」


「細かい事は気にしないの!男の子でしょ!」


「えぇ~姉様?変な理屈が出てますよ?


えっと…何故橋が壊れていたかですが


きっと反乱軍が壊して他の領地に行かせない為、


何故直せたかは先生とラグのお陰ですね!


何故ラグを呼んだかは先生が橋を直す為にです。


最後は盗賊を殲滅させて人質と宝回収ですね!


殆ど先生の力でなった事ですね!」


「ヴァイス…あんたの先生って何者よ?」


「私も気になる存在ですね…」


「先生はよく言われますね!何者か?と


最初は浮浪者と名乗ってましたが今は冒険者と・・・


後、先生は権力に微塵も力を感じて無いですね!


この前の迷宮で父様とべラムの警備隊隊長、


冒険者ギルド長を怒って泣かしましたから…


その前にテイマーギルドの補佐官も…


あっ…この事内密にお願いします!」


「「・・・」」


2人とも黙ってしまった・・・


何が問題なんだろう?これもフィルに相談だね。




僕は黙ってしまった姉様とシーアさんを戻してから


姉様案内で家にある尋問部屋に偽の見張りを


椅子に固定させて話を聞くことにした・・・

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