第36話迷宮ホウリョー3

現在俺達は迷宮ホウリョへと向かう馬車に


乗ってシルド達と行動している。


馬車は20台の列を作り、


業者の隣に見張りを置いている。


各A~Dまでのグループに5台ほど


馬車が用意されている。


中には専用馬車を持ってるパーティーもあり


幌車と違う馬車が混じってる。


フィルは馬車に入らないので


馬車の見張りをして馬車と同じ速度で走ってる。


各馬車との連携の為か業者達と走りながら喋ってる。


・・・器用なのか?暇なのかな?・・・




途中に魔物が現れて各馬車が停止して


対応していくがその前にフィルが


討伐するのでスムーズに目的地に向かう。


数が多過ぎて俺達も対応していく。




「フィルがいると移動が楽だな!


普通はこの列だと魔物が集中して襲撃してきて


1日の移動が2、3日になるんだが…」


「そうなのか?馬車に乗ったのが2回目だから


分からないんだが…楽なら問題無い!」


「トキはべラムまで馬車の乗り継ぎしなかったのか?」


「俺にはフィルがいるからな!乗って移動できる!」


「羨ましいぞ!この野郎が!」


冒険者との会話中にシルドがヘッドロックかましてくる。


「やめなよ!父さん!」


「依頼中はリーダーと呼べ!」


俺はルティを愛でてるメリルに助けられる。


隣で羨ましそうにウォルとヴァイスが見ている。


・・・ヴァイス…いつも愛でてるだろ?・・・




俺はヘッドロックから解放され馬車の前に行き


回りをみる。


草原を走ってる。俺達はCグループの真ん中にいる。


後ろから7、8台目くらいかな?


見ていると草原から徐々に森の中に入っていく。


フィルは俺が外を見ているのに気づくと


近づいてきた。


「主殿?どうされました?酔いました?」


「違う!幌車が初めてだからな…


周りの風景を楽しんでたんだ!」


「そうですか!私は走りっぱなしで疲れました!」


「・・・飛べば良いんじゃないか?」


「あ!その手がありましたね!忘れてました!」


「・・・グリフォンだよな?翼忘れるなよ…」


「だって…普段歩きですよ!忘れますよ!


飛び方覚えてるかなぁ・・・」


「・・・一応、グリフォンだよな?フィル…」


俺はフィルに呆れてしまった。




「では早速飛んで警戒しますね!」


「その前に各馬車に連絡しろよ?


急に飛ばれたら警戒するから!」


「分かりました!主殿!」


フィルは先頭へと走り去り徐々に最後列まで


話終え飛んで警戒していく。


「おお!ちゃんと飛べました!飛んでますよ!!」


「・・・だからグリフォンだろ?フィル・・・」


フィルが飛んで喜びながら俺に報告する。


フィルは華麗に木を抜けて周囲を警戒していく。


・・・たまに魔物って忘れるな・・・


今フィルは森の上空にいてバレルロールしている。


攻撃はされてない。暇なのだろう…


俺はフィルを暫く見て馬車の中に戻る。




いつの間にかルティをヴァイスがブラッシングしていて


メリルが羨ましそうに見ている。


ルティに嫉妬の表情でウォルが見る。


・・・依頼中だよな?今?・・・


休める時に休むが冒険者だが隙が有りすぎる。


大丈夫かな?と思いながらストレージから


懐中時計を取り出し、時間を見る。


今は11時。あと少しで昼になる。


昼には各馬車は停止して昼飯に入る。


見張りは忘れずに行い警戒する。


食べ終えた者から見張りと交代し


飯を食べさせる。




昼過ぎてからまた馬車での行軍に入る。


夕暮れ前には各グループが散開して一夜を過ごす。


朝日が昇ると迷宮近くに拠点を作る。


迷宮突入の時間は各グループ合わせて午前10時。


時間になると上空へ各グループ開始の合図として


魔法を打ち出す予定だ。


俺達冒険者は拠点で再度各グループのギルド員から


迷宮への説明を受ける。俺達はゾルからだ。


拠点を設置するときに斥候を何人か選び


入口付近を調査させる。


その情報を得てから目的地に散開して待機し


合図と共に突入する。




砦は石で出来た3階建ての小さな城。


魔物が住み着いている。隣の洞窟に入るには


砦の1階中央にある穴から入らないといけない。


穴に入ると2km程進んで洞窟に入れる。


穴も洞窟の一部なので魔物が襲いかかる。


洞窟の迷路を突破して最奥に迷宮核があり


その周囲に巨大な魔物が守護している。




最終確認を終えて各自準備に掛かる。


ある者は武器の手入れ、ある者は精神集中、


ある者は連携確認、ある者は完了後の報酬について、


各々の思いや覚悟を胸に準備する。




俺達はシルド達と離れた場所に配置される為


会話をする。


「また後でな!俺達の活躍喜べよ!」


「ああ!期待してるよ!俺は砦を調べてから


迷宮核に向かうから!」


「そうなのか?直ぐに向かって迷宮核まで競争だと


俺は思っていたが・・・何かあるのか?」


「いや・・・初めての迷宮だからな!


探索がてら楽しもうかと思ってる!」


「なるほどな!理解した!充分に楽しめよ!」


「了解!また後でな!」




「ルティと離れるなんて寂しいよぉ…」


「メリルさん…依頼が終われば会えますよ!ね?ルティ?」


「キュイ!」


「うぅ…分かった…早くルティに会いに行くよ!」


「えぇ!ルティも待ってますから!」


「キュイ!キュイ!」




「ウォル…ライバルが増えたね…頑張るんだよ!」


「マールさん!宥めないでください!」


「ウォルさん!私も応援してますよ!」


「ありがとう…だけど惨めになるから止めて…フィル…」


それぞれが健闘?を交わし離れていく。




俺は配置前にヴァイス達に最終確認させる。


確認しているのを見て少し離れると告げて


拠点のゾルの元に向かう。


「どうした?何かあったか?」


「いや…起きてない!突入前に聞きたい事があってな!」


「何が聞きたい?分かる事は話すぞ?


魔物の事か?迷宮についてか?何でも良いぞ!」


「では・・・何故緊急依頼が発生した?」


「?迷宮が繋がって悪影響したからだが?」


「では・・・何故迷宮が繋がった?」


「!」


「ハリーギルド長に聞こうと思っていたが会えなくてな…


突入前に聞きたい案件だったんだ・・・


おかしいよな?報酬に目が眩んだ奴らに呆れたが


自然に起きるのか?迷宮が繋がる事がよ?」


「・・・それに勘づいたか…」


「何か知ってるのか?」


「私も詳しくは聞いてない!はぐらかされてな!


だがこの件はギルドだけじゃなくクリプス辺境伯と


警備隊のクルス隊長からも話が来ているらしい…」


「そうか・・・分かった…ありがとな!


迷宮調査して後で確認してみるよ!


クリプス辺境伯にな!!無事依頼を終えてからだが…」


「ああ!私からも頼むよ!!」


俺はゾルから離れてヴァイス達の元に向かう。




「先生!準備完了しました!」


「主殿!私もです!」「キュイ!」


「・・・フィルとルティは何の準備がいる?」


「・・・心構えですかね?」「キュイ?」


「・・・そうか・・・出来たなら問題無い…」


「先生!真っ直ぐ迷宮核に向かうんですか?」


「いや…まずは砦を調べる!繋がった理由が知りたい!


ついでに探索して洞窟に入って核を壊す。


初めての迷宮を楽しむ!楽しむのが一番だ!」


「迷宮が繋がった理由を調査ですか…そして


一番に迷宮を楽しむ…先生らしいですね!」


「主殿らしいです!私も楽しみです!」


「キュイ!キュイ!」


「理解したなら配置に向かうか!!」


「「はい!先生!(主殿)」」「キュイ!」




俺達は指定された配置場所に向かって待機する。


懐中時計を見ながら出番を待つ。


ヴァイス達の顔つきが変わる。


午前10時まで後10秒。


9、8、7、6、5、4、3、2、1、0!!


0と同時に上空に魔法が放たれる。


突入の合図だ!


冒険者達は一斉に走り出す。シルド達も同様だ。


俺達はゆっくりと歩いていく。


入口は1つだ!逃げはしない。


入口に人の波が押し込まれていく。


全員が飲み込まれた。


それを見て俺達は砦に入る。


さて初めての迷宮だ!楽しもうか!!

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