第11話スーサイドー11

生活始めてから1年経った。

今では畑も広くなり

家庭菜園程の大きさから

テニスコート10面程に広くなった。


ログハウスの横を流れる大きな川も

激流から緩流へと変化させた。


山から入る川の上流から徐々に

川底へ砂利や石を敷いて段さを作る。

最初は水深の2/3程の高さ約750m、

幅500mの山を

川底に作り1km感覚で配置。


森の中頃から高さを徐々に低くさせて

最低で高さ250m、幅500mの山を。


森から出る川、下流には上流と

同じ高さの山を

下流から森へと4ヵ所配置して完了。


簡単に言えば川底に貯水池を幾つも

用意した。

全ての山の恒久対策に

硬質化魔法を掛けている。


川の山の資材は森と川底から用意した。

川底は場所によって最大水深3kmもある。

工事が完了するまで10ヶ月も掛かった。


途中で洪水が起きたり、

魔法をかけ忘れ、山が崩れたりした。


川の生態系を壊さない様にと

考慮して時間を掛けた。


・・・異世界で魔法有りなので

問題無い・・・

・・・時間?徹夜を繰返したさ・・・

・・・自然破壊?

破壊と創造は表裏一体だ・・・


改めてこの森について説明。


森の川は森の出口まで5,450km。

(世界で6番目に長い

アジアの黄河とほぼ同じ距離)

なら森の広さはどの位なのか?


面積55,000k㎡ある。

(カナダにある世界一広い

無人島デヴォン島と同じ)


この森の中央には山があり

標高3,067mある。

(日本の長野県にある御嶽山と同じ)


危険度SSランクの森。通称「スーサイド」

スーサイドは英訳で自殺を意味する。

迂闊に入れば命の灯火は簡単に消える。


危険な魔物と肉食植物が跋扈する森。

弱肉強食を表すにふさわしい場所。


どこの国の所有地なんて知らない。

外の事なんてほとんど知らないから。


・・・不法侵入?知るかんなもん・・・

・・・こっちは箱入り娘、否、

森入り男だ・・・


橋作りなんて副業に近い。

欄干にも工夫するようになった。


最新作では欄干にルティやフィルの

彫刻を加えている。


成長記録の様な物でルティは

2尾の姿から現在の5尾の姿を。


フィルはあんまり変わらないので

色々な方向から見た姿を刻む。


現在ルティはフュンフマーブルテイルへ

進化している。


体長も最大3mへと大きくなった。

姿は変化出来るので基本的に赤と黄色の

2尾姿のマーブルテイルの姿で過ごす。

(体長50cm)


フィルか俺の頭が定位置となっている。

趣味は睡眠と土いじり。


魔法属性も光以外は使えるようになった。

不思議なのは進化前の数字で

クワトロがイタリア語での数字(4)なのに

フュンフがドイツ語での数字(5)で

ある事だ。

イタリア語だと数字(5)はチンクエらしい。


・・・気にしない方向でいこう・・・


グリフォンのフィルは体長2mから変わらず


魔法は風以外に光、水、土を覚えた。

俺の事を主殿と呼び、

ルティとの会話集では翻訳してくれる。


頼もしいマルチリンガルだ。


たまに森で仲良くなったのか

熊型や狼型の魔物と楽しく話している。


森の魔物で一番の仲良しは地竜のリケラ。

姿は古代の四本足の角付き恐竜に似ている。


大きさはフィルの10倍以上あるが

死闘の末に互いを認め仲良くなったらしい。



・・・仲良くなり過ぎると

狩りづらいのだが・・・


坂口先生はこんな俺達の生活を

どう思うんだろう?


絶対に必死に日々を過ごして満身創痍で

1年を迎えると思っていただろう…


残念。意外とエンジョイしてます!



最初は先生を恨んだが今では森を出る事に

若干の抵抗が有るほどに馴染んでしまった。


さて今の状況を含みながら拠点の

ログハウスでフィルとルティと俺が集まり

図鑑に挟まれていた最後の手紙を

開けずに机に置いて話し合う。


「きっと森から出て世界を旅しなさい!

なんて内容だと思うけどな!」


「それしか考えられないですよね

正直、開拓してここを放棄は

不満がありますけど…」


「キュウゥゥゥ…」


「開拓は唯一の趣味だったからな

この森しか知らないから

常識なんて知らないぞ?」


「主殿、私なんて喋る魔物ですよ?

常識外の存在です!

普通の鳴き方なんて知りません…

産まれてからずっと喋ってるんですから…」


「キュゥゥ…キュゥ…」


「ルティ殿も同じ様に魔物ですからね

下手したら殺されますよ…

せっかく友達が出来たのに!」


「いや、友達のせいで

狩りがしにくいんだけど…

しかも一緒に食事したりしてるが

あれ同種での共食いだぞ?良いのか?」


「主殿、

『弱肉強食の世界で同士が

自分達の血肉になる!

弱かった奴等が悪い!その分生き抜くんだ』って食べながら話してましたよ?」


「・・・意外とシビアなんだな

まぁ、手紙を開けて確認するか…」



俺は机にある手紙を開けて中身を確認する。

入っていたのは何も書かれていない紙のみ。


「「「・・・・・・?」」」


全員が首を傾げると紙が光出す。

「これは?まさか…」

「主殿!」「キュゥ!」


光が俺達を包み込み、

ログハウスには誰も居なくなった…

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