第5話スーサイド―5

1日が過ぎ1週間、1ヶ月が過ぎて

森での生活する事は慣れてしまった。

最初は不安だったが

慣れると案外楽しめる。


釣りしたり伐採した木で橋を作ったり

読書したり魔物の生態調査したり

家の柵を作ったり落とし穴を作ったり…

ぼっちを紛らわす為ではない!


断じてない!


先生が言うには森の中で生活する事で

危険察知や異世界での生活等を

学ぶ為に森を選んだらしい。


ある時図鑑を読んでると

手紙が挟まれていることに気づいた。


内容は…


『異世界での生活をした先輩として

慣れて貰うために森を選びました。

決して嫌がらせではありません。

図鑑を見ればある程度は出来ると

思いますので頑張って下さいね。

最初の試練として大空に転移したのも

魔法や危険に慣れて貰うためです。

決して私と違って恵まれてるから

嫌がらせをしたりはしてません。』


先生…異世界で何があったの…


大空に転移したのはわざとでは

無いらしいが下手したら

かわいい生徒死んでましたよ?


他にも何通か手紙が挟まれていたが

開ける日を指定していたので

置いとく事にした。


生活してある程度この森の事が判明した。

森の魔物は猪型と狼型と兎、鳥、猿、熊、

希に翼竜、地竜、死体等。

ほとんどが大型で一癖ある強者ぞろい。


死体には本当に驚いた。

魔物だったであろう姿で異臭を放つ。

たまに骨だけで動いてる物もいる。

それだけだったら良かったんだけど

ある日、忘れる事が出来ない程に

恐怖に怯える出来事が起こった。


森を探索中に目の前で大鳥と小狼の死体が

融合して俺に襲いかかってきたのだ!!

速い、飛ぶ、骨が飛んでくる、

見た目がグロい、噛みつく…


正直、走っても俊敏性には敵わない

だって狼だもの・・・。

上手く逃げて木に登っても

狼の嗅覚に鳥の翼で

飛んで見つけてくる。


卑怯でしょ・・・


あの時は本当に死ぬかと思った…


地面にいる混合死体の足元に

咄嗟に土魔法で長い長い縦穴を作り

落下した死体を風と火の魔法で燃やした。

風で竜巻を作り火災旋風を作る。

正直暑さ、いや熱さで死にかけたが

水魔法で体を守り、

風魔法で風向きを調整してたのが良かった。

(周囲に延焼はしていない。)


その後は魔力を使い過ぎたせいか

恐怖、緊張から解放のせいか

意識が朦朧としたので

急いでログハウスに戻って休んだ。

目を覚ますと2日経っていた。


こうして生活していく中で

希に偶然にも人と会う事がある。

生きる意思が感じられない人や

ぼろぼろの冒険者など。


今更だが俺は黒髪短髪の身長170cm、

森での生活で筋肉が付き

ある程度は引き締まった体型である。

髭はないので年相応に見えていると

思っている。まだ17歳です!


ただ、森での野生生活のせいか

常に目元が鋭く成ってしまった為に

怯えられる事が多い…


人に会っても

「ひぃ!殺さないでください!」と

怯えられ命ごいされる。

ぼろぼろだけど屈強そうな

盗賊みたいな男からでもだ…


正直傷つくんだよね・・・。


上手く宥めて話し合いが出来ると

色々な情報が聞ける。


出来なかった場合?


世界の摂理に従って土に還るだけだよ?

もしくは肥料かな?

もちろん戦利品は回収します。


この森は本来、人が生活するには

難しい。否、出来ないらしい。

森の名は通称「スーサイド」

英訳で自殺を意味する。

つまり入ったら簡単に出る事は不可能。

冒険ギルドではSSランクの危険区域。

危険な魔物が跋扈する森林。

ギルド冒険者でも依頼によって

上手く行けば大儲け。

下手したら命を落とす。

ハイリスクハイリターンな場所らしい。


ちなみにSSSランクは火山や砂漠など

環境で変わるとか・・・。


先生・・・これは完全に嫌がらせですよね?

修行?試練?

そんな生ぬるい話じゃないですよね…


助けた人から話を聞いて

俺は上を向いて目を閉じて考えしまった…


希に助けた冒険者達と一緒に行動して

生活していたが

依頼の魔物を狩ると離れてしまう。


希に冒険者達は別れを惜しんでか

「一緒に来ないか?」と誘うが

修行中だからと

答えて最後にと宴会をする場合がある。


別れる時、冒険者達にギルドへ

頑張って生きて戻って欲しいと握手を交わし

別れの挨拶を行うが会わない事を

祈って送り出す。


何故祈るのかって?

仲良くなった人達が死体と成って

襲ってくる時があるからだ。


「グルァァァ・・・」


・・・世の中悲劇ばかりだな…


俺は一思いに介錯してやり燃やして

墓を作る。

名前は知らない。

また知らない墓が増えていく。


そうやって日々を森の中過ごしていくと

半年後に有る事を思い出す。

ストレージ内を分別していると・・・


「あ!卵の孵化忘れてた…」

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