第10話 魔王城、そして、土
水の魔神ウンディーネとの戦闘から数日後。
新たにウンディーネを仲間に加えた俺たちは目的地である『魔王城』の前まで辿り着いていた。
ウンディーネの情報を得て、俺は魔王城の中で犇めき合っていた魔族の大群を上手く外へと誘き出すと、地面に底なし沼を出現させ奴らを土の中へと葬った。
まったく、つまらぬモノを埋めてしまった……。
「さてと、いよいよ魔王討伐のときが迫ってきたな!」
意気揚々とそう語り、大剣を構える勇者の姿をエルフとウンディーネの二人がジト目で見る。
「アンタは殆どなにもしていないじゃない」
「そうね。魔族の大群も土様がひとりで始末していたわよ?」
二人からの辛辣な言葉に勇者が泣きそうな顔を浮かべる。
その情けない後ろ姿に俺はため息を漏らした。
「さて、それでは残る魔王を倒しに――」
「この俺様の部下たちを殺したのは貴様らか?」
突如、頭上から聞こえたその声に視線を上げてみると、漆黒の鎧を身に纏った長髪の男が空の上から俺を睥睨していた。
その男を見上げて、俺以外の三人が青ざめた顔で『魔王』と声を揃えた。
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