第10話 エピローグ

「もう一度…考え直してください、長官!」

「何を考え直す必要がある、赤髪君?もう、彼女らの…“Queen”達の役目は終わった。役目を終えた実験生物は破棄するのが当然だろう?」

「しかし…」

「何をそんなに彼女たちにこだわるのだ?人の形をしているが、その本質は違うことを君自身が一番理解しているはずだ」

「だからこそです…。長官、彼女たちも私たち人間と同じように心を持っています…。利用するだけ利用して、処分するのはあまりにも酷です…。」

「それが研究というものだろう。」

「…長官、お願いです…。彼女たちだけは…。」

「…。」

「彼女たちだけは…殺さないでください。お願いです…」

「…はぁー…仕方がない。」

「長官…!」

「君のおかげで、この計画も飛躍的に進んだ。君の活躍に免じて、その要求は受け入れよう。…しかし、だ。いくつか条件がある。」

「条件とは…?」

「なあに、難しいことではない…。いたって普通のことだ。」



「よかった…本当に良かった…。これで、君を使う必要がなくなった。…契約が切れたときに、君もここから連れ出す。その時まで待っててくれ。」



「赤髪さん、なんだかうれしそうですね?」

「うん?そうか?」

「ええ、なんだか以前より、笑顔が増えてますよ?」

「フフ…そうか。あ、そうだ。以前彼女たちと撮った写真のことなんだが…」



「ふう…結構時間がかかってしまったな。大切な写真なのに、データをなくしてしまうとは、私ながら不甲斐ない。」

「赤髪所長、失礼します。」

「おお、入りたまえ、待っていたよ!」

「3か月遅れの誕生日プレゼントですか…所長も律儀ですね?」

「私は最初からそうだが?」

「ロケットペンダントでしたけど、これで大丈夫ですかね?」

「貸してくれ…よし!写真もいい感じに入ったぞ、完璧だ!感謝する!」

「お礼なんていいですよ。彼女たち、とても喜ぶと思いますよ」

「だといいがな…」

「…ん?足音がしますね…彼女たちかな?」

「隠さないと…」

「パパァ!」

「おお、エリリン!どうした?」

「私もいるわよ…」

「おっと、すまないな、エミリア」

「ああ、ずるい!私にもなでなでして―!」

「全く…甘えん坊だな、エリリンは…」

「えへへ~」

「で、どうしたんだ、二人とも?」

「パパ、もう、晩御飯の時間だよ?」

「一緒に食べようよ~」

「おお、もうこんな時間か!それじゃあ、一緒に食べるか」

「うん!早くいこー、エリリン、おなかペコペコだよ~」

「3人も待ってるわ」

「それじゃあ、急いでいくか!」

「…私もそろそろ行こうかな…。しかし、所長も整理整頓が苦手な人だ。書類が散らばりまくってるし…あとで注意しとこう。」



「パパー、お邪魔するねー。…あれ、いない。せっかくベベルが来たっていうのに…まだ、お仕事してるのかな?…それにしても汚い部屋ね…。少しだけ、片してあげるか。」



「…うん?この書類は…?」


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