私、男の子に告白したの⋯⋯

tada

告白

 私、横島 梨那は今、桜の木の下で好きな男の子に告白をしています。

「大宮 優作くん、私あなたのことが好きです!」

 人生での初めての告白、もし失敗してもいい思い出になるだろうとこの時の私は考えていた。

 この後の優作の言葉を聞くまでは。



「僕女なんだけど」


 その言葉を聞いて私は今までの人生で一番大きな声で叫んだ。


「えーーーーーーーーーー!」


 まさかまさか冗談でしょという顔で、優作の顔をみると「ホントです」と返ってきた。

 まてまてと深呼吸をして自分を落ち着かせる、「スーハースーハー」一つ一つ噛み砕いていこう。


「名前は? 絶対男の名前だよね」


 すると優作はあーそれはですねという表情で喋りだした。


「僕が生まれる前に両親が僕の名前を決める際に、あみだくじで決めようということになったらしくてですね。でそのあみだくじに両親がふざけて優作を入れてみたところ見事的中しちゃったんですよ」


 優作は笑いながら話してくれたが、普通にひどいことじゃない!? と自分の中でツッコミを入れて、次の気になっていたことを聞いていく。


「制服はなんで男子用着てるの?」


 するとまたもや優作はそれはですねーという表情で喋りだした。


「制服は兄のお下がりなんですよ、兄この高校の卒業生なんで」


 なにそれ都合良すぎでは! などとまたもや自分の中でツッコミを入れて、最後に気になっていたことを聞いていく。


「一人称の僕っていうのは?」


 すると優作はまたもやまたもや、それはですねーという表情で喋りだした。


「僕の家男ばっかりで、お母さん家を出て行っちゃったんで、お父さんとお兄ちゃんだけなんで自然と男っぽくなっちゃったんですよ」


 なにそれ可哀想すぎでは! とまたもやまたもや自分の中でツッコミを入れていく。


 全て聞きたいことを聞き終えた私は真剣な表情で優作の顔を見ながら喋りだす。


「それでも私はあなたが好きです!」


 ただ普通に思いを伝えた、たとえ女の子だとしても気持ちは変わらない、そんなことを考えながら言葉にした。

 私は優作の返事を待つ。


 すると今回の優作の表情は、先ほどまであったふざけた表情はなくなり、もの凄く真剣な表情に変わっていた。


「その、告白ありがとうございます、でもごめんなさい」


 その言葉を聞いて私の気持ちはジェットコースターのように急激に降っていった、その後に続いた優作の言葉で、降っていったジェットコースターはもう一度勢い登り始めた。


「男としては無理ですけど、女としてでいいならよろしくお願いします!」


 優作はこちらに片手を伸ばしていた、私はそれに気づくとすぐさまのその手を掴み、返事をした。


「もちろんもちろん、こちらこそよろしくお願いします」


「ふふ」

「はは」

 気づくと桜の木の下で私と優作は二人で微笑んでいた。


 それから数日が経った日私はその日のことを友達に話をした。


「私、男の子に告白したの⋯⋯その人女の人だったの」


 友人は「マジで」と笑っていたが、その子は今では立派な私の彼女だ。

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私、男の子に告白したの⋯⋯ tada @MOKU0529

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