卒業前夜

卒業式の前夜、私は部屋でひとりビデオを見ている。


しばらくして、私は傍らに置いてあるカシューナッツの瓶に手を延ばす。


それと同時に部屋のドアが荒々しく開けられる。


ほろ酔いの父が、入ってくるやいきなりビデオのプラグを引っこ抜く。


「なにするんだ父さん、またやり直しじゃないか。」


悪態をつく私を一瞥すると、父はベットに腰を降ろす。


缶ビールを開け、一息つくと再びプラグをコンセントに差し込む。


真っ暗になっていた画面にぴかぴかの制服に身を包んだ私が映し出される。


豪快な拍手を贈ると、父はカシューナッツをつまみにビールをちびちびやりだす。

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