ピクニック

日曜日に家族でピクニックに行く。


湖のほとりの草原に着いて、私達は大事なものを忘れてきたことに気付いた。


母さんだ。


昨日の夜にみんなで作ったおにぎりと、タコの形をしたウインナ―や甘辛く味付けた卵焼きは母さんが背負ったリュックの中に入っている。


仕方なく私達は来た道をひき返す。


いつのまにか辺りは原生林になり、明らかに私達より丈のある蔓草や得体の知れない昆虫を消化する食虫植物を掻き分けて進むと、見覚えのあるリュックが落ちている。


すぐそばに大きな繭がぶら下がっており、中で何やらゴソゴソ動いている。


まさかと思って見ている私達の前に、繭の中から出てくると母さんはこう言って笑いかける。


「私ついにやったわよ。」


唖然としている私達を横目に母さんはさっさと先に進んでいく。


「何してるの、あなた達。今日はピクニックよ。目いっぱい楽しまなきゃ。」

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