第22話 家庭教師、恋子VS想という最難関に直撃する
親父と敵対する事となった日から何日かが経過。
そして遂に中間考査の日になった。
そんな俺は学校の屋上で電話をしている。
『仮にも君は責任者で家庭教師でも有る。娘達の動向を聞かせてもらえるかな?』
「.....娘さん達は大丈夫ですよ。心配には及びません。アイツら、頑張ってますから」
『ふむ。では、この中間テストで何も得られなかった場合、娘達を強制的にでも連れて帰るからね』
「.....御好きにどうぞ。負けません。そもそも、家庭教師として負けさせません」
ギリギリと歯を食い縛る様な音が聞こえた。
俺は少しだけ小馬鹿にする様な顔をしながら。
電話を続ける。
「.....アイツらは貴方の鳥じゃ無いです。いつかは羽ばたかないといけない。分かってますか?」
『.....所詮は駒だよ。あの子達もね。だから君にどうこう言われる筋合いは.....』
「.....有ります。俺は生徒を守る為なら幾らでも動くんですから。だからどうこう言う筋合いは有ります。そもそも貴方は娘を道具としてしか見てないじゃ無いですかそれってどうかと思いますが」
『.....』
ブチッと電話が切れた。
俺はそれを見ながら、スマホを仕舞う。
そして駆け出して行った。
「.....うお!」
「親父、どうだった?」
恋子と想が居た。
俺は驚きながらもその言葉に答える。
取り敢えず、ありのままを。
「.....親父か.....何時もの通りだな。俺は嫌われている」
「.....アイツは化け物よ。気を付けて接して」
「.....そうだな」
「.....何か有ったら絶対に言って。お願い」
恋子と想はそれぞれその様に話して。
俺の手を引いた。
「.....今は中間テストに集中だよ」
「.....そう」
「.....そうだな」
恋子。
想。
俺はお前らを信じている。
だからきっと大丈夫だと俺は思う。
そして俺は目を閉じて前を見据える。
全ての準備は整った。
バトル開始だ!
☆
「.....」
俺はあっという間にテストは出来た。
頭が良いからでも有るが。
俺は両手で頬杖をつく。
頼む、恋子、想。
頑張ってくれ.....!
「.....」
恋子は必死に解いている。
俺はその姿を見ながら、ふうっと溜息を吐く。
そして目を閉じた。
(.....大丈夫、大丈夫.....)
「.....きっと」
そして時間は過ぎていき。
数学、英語、現文と過ぎて行く。
中間テストの日は終わった。
☆
「.....」
「.....大丈夫?」
放課後になった。
二人だけの教室になってしまった、教室にて。
帰宅ギリギリまで復習をしていると。
鞄を持った恋子に声を掛けられた。
「お前は大丈夫か?」
「.....自信は無いけど.....アンタのお陰だから」
「.....それなら結構」
じゃあ帰ろか。
と俺に柔和になる、恋子。
俺はその言葉に、立ち上がった。
「.....想と合流しよう」
「.....えっと.....」
「.....何だ」
「.....まだ想もきっと復習中.....わ、私とアンタ二人だけで抜け出さない?」
赤面で髪の毛を弄りながら話す、恋子。
何だって?
俺はその様に思いながら、驚く。
すると、恋子は俺の手を握って上目遣いで見てきた。
「.....駄目?」
「.....いやしかし、想が.....」
「.....アンタ、想ばかり見てる。私の事は.....良いの?」
ムッとしながら俺に向く、恋子。
俺は溜息を吐く。
そして額を指で弾いた。
「.....想を置いてけぼりには出来ないだろ」
その様に踵を返していると。
後ろから抱きつかれた。
ちょ、何だ!?
柔らかい胸の感触が!?
「.....私の事も見てよ」
「.....お前、本当にどうした?今日はおかし.....」
クエスチョンマークを浮かべて振り返った瞬間。
俺の唇が唇で塞がれた。
赤くなった恋子が俺の唇を奪っている。
「.....!!?」
離れてから俺を見てくる、恋子。
目を彷徨わせながら、だ。
「.....私は、昌浩。アンタの事は想から聞いているかもだけど、好き。だから.....初めてのキスをあげた.....」
夕焼けの教室で、オレンジ色の光に照らされ。
真珠の様な涙を浮かべている恋子。
そしてそのまま涙を流し出した。
「.....私だけを見て.....お願い.....」
「.....し、しかし.....」
思いっきり困惑する。
その時だ。
教室がガラッと開いた。
そして想が真剣な顔で入ってくる。
「.....恋子お姉.....抜け駆けは駄目」
「.....想。私、今、決めたから。.....絶対に昌浩を貰うって」
「.....あげない.....」
バチバチと火花が散っている様に見える。
オレンジ色の光。
その教師にて、バトルが始まろうとしていた。
女同士のバトルが、だ。
俺は困惑しながらその光景を眺めていた。
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