第21話 家庭教師、買い物の予定を組まされる(二人同時に)

恋子と想という俺の生徒。

姉妹の父親の怒りを買って。

俺達は複雑な思いで登校をした。

考えていると、想が俺の手を握ってくる。


「気にしなくて良い」


「そうよ。そもそも私達だってもう大人に近い女性なんだから」


「.....そうは言ってもな.....」


あの親父、何をしてくるかさっぱり分からない。

正直、恐怖でも有る。

だけど、俺は家庭教師としてコイツらと共にと思ったから。

負けてはいられない。


「じゃあ、私はこっちだから」


「.....想」


「何」


「.....有難うな」


想はこの言葉にボッと赤面して、そして首を振る。

そして俺に向いた。


「.....貴方のお陰だから」


「お前らの頑張りも有る」


「.....うん、じゃあ」


と去って行こうとした、想が戻って来た。

そして俺に耳打ちしてくる。


「.....中間試験の後に約束。出来なかったから」


「.....あ、ああ」


「必ず赤点を超える」


「.....ああ。頑張ってな」


そう言えば親父の圧力で忘れていたが、後1日で試験となる。

想のやる気は奮闘気味だった。

俺は苦笑しながらも、応援している。


「.....想と何を話したの」


「.....気にする事は無い」


「.....気になるんだけど」


「.....」


おい、ジト目で見てくんなよ。

あの親父と同じ目をしているぞ。

俺はその様に冷や汗を流しながら思いつつ。

教室に入ってチャイムを待つ。



「.....さて.....ふあ.....」


授業が始まって。

眠いと思って、教科書を開ける。

すると、何かある事に.....またかよ!

俺はその様に思いながら、苦笑しつつ開ける。


(デートして)


「ブッハ!!!!!」


「「「「「!?」」」」」


周りがざわめく。

俺は影に隠れて、紙を見る。


いやいや、まさかだろうよ。

直球過ぎてクッソwww

俺はその様に思いながら、読むと恋子だった。


「.....恋子.....」


「.....」


見ると、赤面の恋子が俺を見てきていた。

俺は赤面しながら、それを確認しつつ、俯く。

デートの日付は.....6月.....。


「.....全く。素直じゃ無い.....」


「何が素直じゃ無いって?」


「.....おや、マスター(先生)」


「.....廊下に立ちたいか?ん?」


首を振って微笑む、俺。

バキィッと思いっきり殴られた。

俺はそんな中でも。

嬉しさを感じながら床に倒れる。



「六月デート」


「.....同じ日にするなよ.....」


「.....何か問題が?」


「無いけど」


屋上に呼び出されて想と向き合う俺は。

恋子と想のデートの日付が同じ日だと気付く。


俺は頭を抱える。

そして想に向いて、話そうとした。

だが、想はにへっと顔を歪めている。


「.....こりゃ無理だな」


「じゃあ、その日」


「いや、あの想.....」


「.....何?嫌なの?」


そういうこっちゃ無いけど。

どうしたもんかな。

俺はそう思いながら頭の額に手を添えた。


「.....じゃあ、戻る。勉強しなくちゃだから」


「.....想。変わったなお前」


「.....貴方のお陰で」


俺は何もしてない気がするがな。

その様に思いながら、苦笑を見せる。

だが、想はあくまで俺のお陰だと。

そう言ってくれる。


「.....ねぇ」


「.....何だ」


「結婚してって言ったらどっちを選ぶ?」


「.....」


難しい問題だな。

俺は首を振りながら、想に向く。

取り敢えずはそんな事より。


「.....今は勉強に集中しろ」


「ぶー。大切な問題なのに」


「.....それに俺は親父さんの反感を買った。だから.....多分、無理だ。多分だけど.....」


「..........まだそれを気にしているの?」


え?と俺は顔を向ける。

すると、想がキスをしてきた。

唇と唇が重なる。

俺は真っ赤に赤面した。


「.....貴方に愛される為なら全てを捨てても良い。名誉もお金も」


「.....冗談だろ」


「.....こんな事、冗談で言わない。私は貴方が好き。世界で一番大好き。結婚したいぐらいに」


なんて言うか、恋子も想もそう言うが。

でもやっぱり自信が持てないんだろうな。

自分が自分に情けないと思う。


「.....私、絶対に愛では負けない。恋子お姉に」


「.....」


「.....愛してる。貴方にはいつか私を愛しているって言わせる」


想は俺を見ながら、柔和な感じを浮かべた。

何だろう、俺は戦えるだろうか。

コイツらを守りながら、だ。

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