第11話 家庭教師、遺産を狙っていたエセ家庭教師を知る

時間と日付は7日経った。

それなりの記憶力で恋子、想ともに数学では数式などを覚え、解き。

英語では単語などを必死に覚えていっている。


そんな俺は恋子には恋子が好きな趣味の料理と数式、問題を組み合わせて作成した問題用紙のみを解かせる様に繰り返し。

パソコンの日常生活の教育アニメを見ながら数式を覚えれる様な本を買ってきた。


想には日常会話で使える様な英単語を俺が教え、国語の一部に織り交ぜたりした。

そしてお姉の写真.....苦笑ものだが、それに英単語を混ぜたりする。

お姉と想が話している日常会話とか。


俺はその様子を見ながら、そろそろ俺が実力を試すテスト作ってやっても良いんじゃ無いかって思い始めている。

コイツらが頑張ってくれているからだ。


その様な感じの放課後、俺は想と恋子を見つめる。

馬鹿野郎だけど、俺は.....少し不安に思っていた。

俺は.....こんな教え方で本当に良いのだろうか、とだ。


「今更か.....」


「どうしたの。昌浩」


「いや、何でも無い。有難うな、想」


そんな会話の側で、恋子が固まっていた。

俺と想を見ながら、だ。

な、何だ?

ワナワナ震える。


「.....アンタらいつからそんなに仲良くなったの!?」


「この前から。ついでだからお姉も昌浩を名前で呼んだら」


「死んでもお断りよ」


赤面で胸元を隠す仕草をしながら。

俺を赤面で睨んでくる。


まだパンツを嗅いだ件を根に持ってるのかコイツ。

俺はその様に思いながら、溜息を吐いた。


「.....でもアンタのお陰だわ。こんな感じで色々と覚えていけるの。こんな方法は初めてやった.....と思うんだけどね」


「え?初めてじゃ無いよ。お姉。.....家庭教師のあの人が言ってたよ」


「.....ああ、そう言えばそうだ。確か鈴木陽介だっけ?あのエセ家庭教師」


その様に姉妹は会話する。

ん?誰だ鈴木って。

俺はその様に思いながらお茶を飲みつつ、聞く。


「誰だ?その鈴木ってのは」


「.....私達の遺産を狙った家庭教師。首になったけどね。多分、親父の資産2000億円ぐらいは資産が残ると思うし」


「.....貴方はそんなことは無さそうな感じに見える。だから信頼している。昌浩」


とんだクズもいるもんだな。

俺はその様に思いながら、その鈴木ってのがやっていたのか。

この教育法を、だ。


「.....鈴木の教育法は私達の頑固な性格に負けてしまった。でもやり方は貴方と何か似た感じだったけど」


「.....遺産ばっかり狙っていた鈴木をコイツと比べちゃ駄目よ。想。全く違うから」


「.....そんな事があったんだな。でも俺は金には興味が無いけどな」


珍しいよね、お金に全く興味が無いなんて。

そういや、コイツらに話したっけ。

俺の家が貧乏だって事。


「.....そう言えば、お父さんが亡くなったって言ったよね。それが影響しているの」


「.....俺の家はかなり貧乏だ。だから.....金とかは大切なものと思っている」


「!」


予想通り、二人は見開いた。

そして俺に向いてくる。

俺はノートを見ながら、苦笑した。


「.....親父が死んで稼ぎ頭が居なくなったんだ。母さんはホステスだし」


「.....そんな.....」


「こんなに良い人が貧乏って」


良い人か。

俺はもしかしたら他の奴と同じかも知れないぞ。

その様に話すが、二人は首を振った。


「.....鈴木の事を聞いたでしょ。アンタは.....他の人とはえらく違う点が有る。突飛している。それは.....私も理解しているから」


「.....そう。お姉の言う通り。貴方は私達の勉強に付き合ってくれている。必死に考えてくれている。それは.....他の人には無い」


そう言ってくれるだけでも有難いよ。

俺はその様に思いながら、外を見つめる。

外では鳥が自由に飛んでいた。


「.....私のお母さん」


「.....?」


「.....私と想のお母さん、天下帝子(てんかていこ)は.....優しかったんだ」


「.....お姉。それを話すの。珍しいね。過去話」


想、コイツなら分かってくれる。

私達の思いを、と恋子は言う。

俺は真剣な顔で話を聞く。


「.....親父と私達と天下帝子は仲が良かった.....だけど、亡くなってから親父は変わってしまった。全てを妬み、仕事一途になった。それから嫌いになったの」


「.....」


「.....親父とは対立気味。この場所も追い出される可能性だって有るけど親父は何もしない。それは多分、興味が無いからだと思う」


「.....じゃあ何故俺に家庭教師を?」


それは簡単、私達を物置に置いて置くなら少しだけでも道具として役になってもらうとそう思っているんだと思う。

恋子と想はそう話した。

俺は眉を顰めて、話を聞く。


「.....そうなのか。まあでも」


「.....?」


「家庭教師は家庭教師。来たからにはお前らを卒業まで導いてやるからな」


「..........貴方はやっぱり.....」


想が何かを呟こうとして。

首を振って止めた。

俺は?を浮かべつつも、ハッとして。

手を叩く。


「話の途中ですまん、時間が無い。勉強すっぞ」


「はい」


「.....うん」


直ぐに俺達はノートと教科書に向き合ってそして、俺達は勉強を開始し始めた。

と言うか、再開した。

中間考査までの残り時間と日数。


7日と2時間。

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