第7話 家庭教師、想を助ける
ただひたすらに恋子を優先にしたくて甘かったんだと思う。
だから想があんな目に遭ってしまったのだろう。
俺はその様に思いながら、階段を必死に運動不足の身体に鞭打ちながら駆け下りていると、俺に恋子が同じくゼエゼエ言いながら聞いてきた。
「.....アンタ.....何でそんなに私達に構うの」
「.....簡単だ。俺はお前らの保護人でも有るからな」
「.....意味分からない」
「.....今は意味分からなくても結構。俺がお前らを救うだけだ」
そして、生徒指導室に着いた。
俺はノックも無しだが、開ける。
見開いている先生達をかき分けて、目の前の中山先生に向いた。
中山先生は唖然としている。
「ちょっと待て、須藤。ノックも無しに入ってくる.....」
「中山先生。カツアゲがあってます」
「.....何!?それは何処かね!」
直ぐに立ち上がって先生達から中山先生を借りた。
そして想が居る裏庭に思いっきり走る。
だが、少し遅かったのかそこには、想が倒れており。
いじめている連中が居た。
「お前ら!何をやっている!」
「げっ。中山.....!?」
激昂し出す、中山先生。
そして逃げる連中を追う。
俺はその間に想を抱えてそして聞く。
「大丈夫か!想!」
「.....な.....何で貴方がこの場所.....に」
「心配して来たのよ!何で.....言わなかったの.....!?」
「だって.....お金で解決すれば良いし.....」
バッカ野郎が!!
俺はその様に思いながら、歯を食い縛った。
すると、想が首を傾げて俺に向いてくる。
「.....何でそんな顔をするの?貴.....」
「お前らの家庭教師だからだ!!!」
「.....!?」
お金を貰っている?
そんな事はもう関係無い。
俺はこんな目に遭っている女の子達を見捨てては置けない。
と言うか、この状態で見捨てる程.....クズになりたく無い。
俺は絶対に幸せにしてみせる。
そして、笑顔で卒業させてやる。
絶対に、だ。
「その為には.....」
「.....?」
「想。中山先生っていう、俺の信頼している先生が居る。その先生に洗いざらい話してもらうからな」
「.....嫌.....」
まだそんな事を言ってんのかコイツは。
この事件は俺達だけで解決出来る問題じゃ無い。
俺はその様に思いながら、頬をぺちっと叩く。
「.....良い加減にしろ。俺はお前のことが心配なんだ」
「.....何で.....そんなに心配してくれるの。.....私は.....貴方に睡眠薬を盛ったりしたんだよ。許されない事をしたのに.....」
「ああ。そうだな。許されないかも知れない。だけどな。その前に俺がクズだった。金を貰って俺はお前らを道具として見ていたから.....だからおあいこだ」
「.....そんな.....」
良いから俺に任せろ。
俺はその様に話し想を背負ってそして直ぐに中山先生を追う。
このままで許されてたまるか!
☆
「女子生徒3名。カツアゲなどをしていたのはこの3名で間違いは無いか?天下想」
「.....はい」
「アイツらは停学処分として、反省文を書かせる。.....協力してくれて有難うな。須藤。そして.....天下恋子」
「俺は何もして無いっす。全ては.....天下恋子がやった事ですから」
生徒指導室にて中山先生と話している俺達。
俺の横で、は!?この事はアンタが.....と言う、恋子の口を塞ぐ。
全ては恋子、お前のお陰という事にしてくれ。
面倒事はごめんなんだ。
「.....ちょっと待って。全ては.....」
「お前が頑張ったんだよな?」
「.....そんな.....」
恋子と想は顔を見合わせる。
目の前で中山先生が?を浮かべながら、書類を書く。
そして俺達に向いてきた。
「俺は何もして無いっす。コイツらが頑張ったんですよ。姉妹で」
「.....君は何もしてないのかね?」
「そうっす」
ふむ、と書類を書く、中山先生。
すると恋子に肘で小突かれた。
俺は恋子の方を見る。
「.....ちょっと、何でアンタの事は言わないの」
「俺は面倒事はごめんだからな」
「.....でも.....」
「俺はあくまでお前らの家庭教師としてやった事だ」
複雑な顔で見てくる、恋子。
俺はそれをスルーして、中山先生に尋ねた。
「.....もう戻っても?」
「ああ。授業に遅れるな。既に授業時間を1時間潰しているのだからね」
「.....じゃあ、行こうか、恋子、想」
俺は立ち上がる。
そして俺は二人を引き連れて。
俺の事を見ている二人を引き連れて生徒指導室を出て行った。
☆
「何で。書類は私達のお陰って事になってしまった。何で貴方の事を一つも.....貴方のお陰なのに」
「.....俺はあくまでお前らの家庭教師として預けられている身として当然の事をやったまでだ。だから.....俺が評価される点は何も無い」
「.....それはおかしいと思うんだけど.....」
廊下を歩きながら、その様に話す二人に俺は言う。
俺はそもそも咄嗟に行動しただけだ。
これの評価はこれで良いんだよ。
「.....じゃあ、私はこっち。後で.....」
「おう」
そして、立ち去ろうとした時。
俺の顔に想が顔を急接近させてくる。
マジマジ見てくるので俺は、な、何だ?と聞いてしまった。
想は真顔で話す。
「.....貴方は他の人とは何かが違う。絶対に」
その様に呟き、去って行った。
俺は溜息を吐く。
それは買い被りすぎだと。
思い別れて廊下を歩いていると恋子が言葉を発した。
「.....買い被り過ぎとか思ってんの?絶対に買い被り過ぎじゃ無いわよ。アンタ」
「.....お前は俺の心が読めるのかよ。.....何度も言うが、俺はあくまでお前らの家庭教師だ。ああ、それ以外に目立つ事が嫌いなんだよ」
「.....」
廊下のど真ん中で立ち止まる、恋子。
そして俺をその鋭い目で見つめてきた。
俺はビクッとする。
「.....なんて言うか。アンタに手を上げて悪かったわ。確かに.....何か似ている感じがする」
「お、おう、珍しいな。お前が謝るとか.....」
「.....須藤昌浩だっけ。アンタの名前を覚えたわ。家庭教師として」
「.....!.....そいつは光栄だな」
俺はその様に口角を上げて話す。
恋子は厳つい顔のままだったが少しだけ柔和な感じを見せた。
俺は見開く。
気のせいか、笑った気がしたのだが。
「早く。行くよ。家庭教師さん」
「.....おう」
俺は駆け出す。
未だに間隔はデカイ。
だけど、少しだけ.....少しだけ。
何かが近付いた気がすると俺は思った。
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