第4話 家庭教師、宝探しを教える
買い物の途中で帰って来た恋子に全ての説明を想がして俺は青ざめた。
それから恋子裁判長の裁判に掛けられる事になった俺。
ちょっと待って、何時になったら勉強の話が進むんだ?コレ?
と思いながら、俺は恋子と想が居る机の対面で正座して青ざめていた。
「決定的に有罪です。裁判長。この人には死刑が妥当だと思います」
想がその様に俺を切り捨てる感じでハイライトを消した目で果物ナイフを構えた。
俺は冷や汗をかきながら、異議あり!!!と正座したまま。
目の前に仁王立ちしている裁判長を見る.....ってか怖いんですけど!?
つーか、味方が居ねぇ!
「アンタ.....これまでといい、ワザとやってんの?」
「あのな。ワザとでそんな真似するか!俺は至って普通の生活を送ってんだよ!」
「.....フーン.....」
あくまでも死ね的な目を向けてくる恋子と想。
俺は溜息を吐いて、そして恋子に向く。
取り敢えずは説明した方が良いな、コレと思っている矢先。
想が目だけ動かして、恋子に向いた。
「お姉。なんでまたこの人を入れたの」
「.....想。アンタ忘れたの?睡眠薬で帰って来たのコイツが初めてだって事。それと、コイツは他の家庭教師と違う目を感じた(気がした)んだけどね.....気のせいかな」
「(気がした)かよ.....」
まぁでも、話がズレているのと、取り敢えずは1%でも信頼されているんだな俺は。
盛大に溜息を吐きつつ、思った。
すると、恋子が吐き捨てる様に話す。
「.....裁判は後回しという事にするわ。.....それでエセ家庭教師さんはどうやって私達に勉強を教えるの?」
「.....それに関して勉強はしない。.....先ずは遊び心を試すんだ」
「.....は?」
いちいち睨んで死ねという目をすんの止めてくれないですかね?
俺はその様に思いつつ顔を引き攣らせる。
恋子は暫く俺を見つめ、そして盛大に溜息を吐いた。
「.....それで?どうするって?」
「簡単に言えば、勉強を好きになる為の頭の中での宝探し。.....勉強を好きになるという宝物を探す為の、な」
「.....意味分からない.....」
「そうだよな。.....想、良いか。お前は勉強が嫌いだな?」
そう、嫌い。
と言ってツンとする、想。
更には特に貴方と同じぐらいに、と睨みながら言葉を発した。
流石は姉妹だな、目つきが似ている。
俺はその様に思いながら、そうか、と言いながらただ苦笑する。
その後に俺は人差し指を立てた。
「お前らはマジで勉強が嫌いみたいだからな。俺の最初に言った事は忘れてくれ。.....俺が編み出した脳内の宝探し方法の方が勉強をする前には良いかと思った」
「.....だから何それ?」
良い加減にしてよ的な目で苛立ちながら恋子は話した。
俺は取り敢えず、スルーであぐらをかきつつニヤッとして言葉を発する。
この宝探しに必要なのは.....まぁさっきと同じになっちまうかもだが、(遊び心)なのだ。
「簡単に言えば、勉強は今日はしないってか出来ない。無理に勉強しても更に勉強嫌いになるだけだ。その代わりに何をするかと言うと、.....先ずは脳内で遊ぶんだ。そうすると脳も解れる。ストレッチに近いな。それが勉強始める前の1となる」
「宝物になぞらえたのはとっても大切だから、苦労して手に入れた感を得る為.....とかですかね?」
「.....物分りが良いな想。この方法は俺の死んだ親父から教わった」
「.....アンタの親って死んだの?」
いや、両親が亡くなっている訳じゃ無い。
親父が癌で死んだんだ。
その様に話すと、何故か恋子と想が悲しげな顔をした。
「.....どうした?」
「.....いや、別に」
「そうね」
「.....???」
意味が分からんが.....。
取り敢えずは聞かない方が良さそうだな。
俺はその様に思いながら、周りを見てみる。
「.....取り敢えず、俺はお前らの興味を聞きたい。どういう事に興味が有るか」
「お姉」
「料理」
「.....極端に分断したな.....」
何か文句でも有るんですか?と怒り交じりで聞いてくる、想。
いや、別にと俺は手を挙げる。
そして少しだけ口角を上げた顔付きで前を向く。
「.....取り敢えず、お前らが極端に興味が有るのはその二つだな?だったらその二つで俺は脳内で遊ぶ為の準備をする」
「.....?」
まぁ?も浮かぶよな。
簡単に言えば、興味=宝物の鍵の一つだ。
つまりそれを参考にして頭の中を探すのだ。
「.....意味分かんないんだけど?」
「ゲームだっつってんだろ。取り敢えずは宝物と言えば宝箱のパーツを揃えて宝箱を開けるのが有ったりするよな?」
「.....鍵って.....?」
だんだんと興味が湧いた様な感じで話してくる、想。
そういうのに興味が有るのか、良い感じだ。
つまり、宝物の鍵は言えば.....と思った所で、恋子が話した。
「色々と遊びじゃない気がするんだけど?」
「本来なら色々なモノを用意する必要が有るんだが、今回は冒険は短略化した。時間もあまり無いかもだからな。次の小テストが、だ」
「結論無いとイライラするんだけど」
「はいはい、分かったから。.....えっとな、宝物は簡単には開かないぞ。鍵の残りのパーツは何処に有るか分からないんだからな」
その殺すという感じの目を向けるの止めて、怖いから。
つまり、宝箱の鍵ってのはこれもまた宝物で興味で探し当てなければいけない。
そこが面白いんだけどな。
「.....お前らは既に半分の鍵のパーツは手に入れた。だが、まだパーツは足りない。残りの鍵のパーツを得るヒント。それを俺が教えていってやる」
「.....」
「.....」
顔を見合わせる、二人。
そして複雑な顔をして、俺を見てくる。
まあ見てな。
これからが勝負だ。
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