第3話 家庭教師、リベンジ

うぬ.....このクソッタレめ。

商店街を歩く俺の身体が、足が思う様に動かない。

そもそも睡眠薬というモノを初めて飲んだ気がするぞ。


クソ姉妹どもめ、絶対に俺は教育してやるからな!

何だかその言葉だけだと犯罪に聞こえるが!

絶対にこのままでは許さん!


「.....クソッタレ.....」


俺はその様に思いながら、駆け出して行く。

そして送り返されたあの忌々しいマンションに到着した。

確か、これはオートロック?とかだったな。


その為にどうやって追うかだが。

と思っていると、目の前に見た事のある顔が現れた。

曲がり角からやって来たやつ。

恋子は俺を見て、目を思いっきりに見開いた。


「.....アンタ!?」


「.....おう。恋子。ハッハッハ。戻って来たぞ俺は。絶対にお前らに勉強を教えてやるからな.....」


「キモッ.....だから.....無理って言ってんでしょうが。何で諦めないのよ」


「俺はお前らに色々と教える必要が有る。だから戻って来たんだ」


何を言ってんの?コイツ的なイラっとした目をしてから、怪しく笑んだ。

まぁ、別にオートロックは開けられないわよね?と俺を挑発する。

この野郎!!!絶対に許さん!


「あのな!恋子!お前は悔しく無いのか!」


「.....は?」


俺の言葉に怒り交じりに眉を寄せる、恋子。

悔しく無いのかという声に反応した様だ。

僅かでも反応したな?と俺はニヤッと笑みを浮かべて、話した。


「.....悔しいだろ。お前は見た感じ、負けず嫌いの様な感じだからな!このまま赤点のまま馬鹿にされていると思うがこれで良いのか!?」


「.....別に悔しく.....無いわ。別にね!」


「.....本当か?嘘言うなよ」


「.....しつこいわね。マジで警察呼ぶわよ」


それは止めてくれ。

逃げ場所が無いし、言い訳が出来ない。


クソッこのままでは話が進まない。

俺はその様に思いながら、必死に考えてみる。

そして、恋子を見ていると。


恋子が苛立ったままだが俺を見つめてきていた。

そして眉を思いっきり寄せたまま俺に言う。


「.....本当にアンタは変えれるの?」


「.....何だいきなり」


「.....私達の家庭教師ってね。数えてないけど多分、何百人も変わったのよ。それでも0点は一切、治らない。転校を繰り返すばかり。嫌な家庭教師ばかり。.....それでも出来るのかしら?アンタなんかに」




『ハッハッハ!偉いじゃ無いか!20点に悔しさを持ったんだろ?だったらそれで次のテストは100点だ!十分だ!ガッハッハ!』




恋子の言葉に親父の言葉を、ふと思い出した。

癌でこの世を去った、親父の言葉を、だ。

俺は目を閉じてそして恋子に真剣な目で開ける。


「.....変えれるさ。.....俺はお前ら姉妹を笑顔で今の学校で卒業させてやる。それが.....俺の使命だから。もう決めたんだ。それをな」


「.....へぇ?.....その根拠は?」


「俺は.....お前らに笑顔になって欲しいだけだ。先ずは、な」


「.....」


チッ.....バッカみたいと小さく呟きが聞こえ。

オートロックが解除されて、ガラスのドアがいきなり開いた。

びっくりしながら俺を睨んでくる恋子に俺は尋ねる。


「.....もしかして認めてくれたのか?」


「.....別に。ただ.....想にあんだけ沢山の睡眠薬を盛られて戻って来た家庭教師はアンタが初めてだから。.....試しに賭けてみるだけ。どうせ直ぐ諦めるだろうし」


「マジでってか、沢山って.....でも、有難うな。恋子」


「.....所で、アンタ、ドアの前に立ったら邪魔なんだけど」


あ、すまないと言いながら退く。

ん?そういやコイツ、何処に行くんだ?

俺はその様に思いながら、恋子に聞く。


「.....恋子。何処に行くんだ?」


「.....買い物。付いて来ないで」


その様に話し、さっさと去っていく恋子。

姿は何時も通りだ。

だが俺の心は少しだけ嬉しく思っていた。



ピンポーン


俺はインターフォンを鳴らす。

だが、反応が無い。

俺は?を浮かべながらドアを引いてみる。


すると、ドアが開いた。

俺は驚愕しながら室内を見る。

想が居る筈だと思ったのだが。

でも出直そうか。


ガチャッ


「.....あれ?お姉。帰って来たの?」


「.....?.....!!!?」


シャワーを浴びたのか。

素っ裸の想が立っていた。

髪の毛をバスタオルで拭きながら、こちらを確認してくる。

目を細めている様だ。


まさか俺の姿が見えてないのか?コイツ。

俺は思いながら赤面で顔を逸らす。


「お姉?寒いんだけど.....」


何かおかしいと段々とこちらに近づいて来る、想。

俺は直ぐに踵を返そうと思ったのだが。

足を捻って、そのまま想を押し倒してしまった。


ドガッシャン!


「.....!?」


「おね.....え!!!?」


徐々に真っ赤になっていく、想。

感情豊かで無い、コイツでも真っ赤になっていく様で。

俺は、こ、こんにちは。

としか、声が出なかった。


「〜〜〜〜〜!!?」


思いっきり殴られた。

そして蹴りが飛んでくるが、俺は蹴りを受け止める。

何度もやられているからな!


そして俺は想に向いた。

頭を下げて、そして想に向く。


「すまん!出直す予定だったんだ!ごめん!」


「言い訳無用.....何で貴方がこの場所に.....殺す」


どっから出しやがったアーミーナイフ!!!

ヤバい、殺される!!!


「.....何で貴方なんかがこの場所に居るの。ふざけないで」


「お前の姉さんにこのマンションに入れてもらったんだ!!!」


「.....は?え.....」


アーミーナイフの動きが止まって。

そしてカランと音がして、アーミーナイフが床に落ちた。

俺を愕然としながら見つめて来る。


「.....お姉が.....そんな馬鹿な.....」


「.....取り敢えず、服を着てくれ。それからだ」


「.....?.....!!!!?」


自分の服装に見開いて、それからキッと俺を睨み。

想は再びアーミーナイフを持とうとしたので俺は逃げて外に出た。

ぎゃあああ!殺される!!!

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