第2話 家庭教師、家に帰される
天下恋子(てんかこいこ)、妹、天下想(てんかそう)
それがこの姉妹の名前だそうで。
因みに俺はドアをバッタンバッタンして近所の目が不安だったが、最後はゴリ押しでコイツらのアパートの部屋に入った。
それからこの前した小テストをそのまま要求して俺は頭に手を添えている。
とっても素晴らしい点数だと思う。
何故なら、姉妹共にピンピンピンばっかりで0点だから。
0+0=0。
つまりどの様にしても0点だった。
俺は盛大に溜息を吐く。
すると、恋子にテスト用紙を勢い良く奪われた。
「何すんだ!」
「もう良いでしょ?私達は所詮は馬鹿なのよ。どうやってもね。どうせアンタも金目的でしょ?だったらもう諦めなさい。無理だから」
「.....お姉に賛成」
こだまする様な広い部屋の中。
俺は立ち上がってさっさと去って行く恋子。
そして想も同時に去って行く。
俺はその背中を睨みつつ、話した。
「.....俺は家庭教師だ。そしてお前らの為に誘拐された。.....それなりにはやらせてもらうぞ」
「.....馬鹿じゃないの?アンタ。それだけで如何にかなると思ってんの?馬鹿に馬鹿ね。私達はどうやっても赤点よ。所詮は」
「お姉に賛成」
「確かに赤点は赤点だ.....だがな。これは勉強法を変えたら必ず変わる。お前ら.....赤点を脱せるぞ」
は?と俺を激しく睨む、恋子。
同じ様に睨んでくる、想。
俺はニヤッと笑んだ。
「.....良いか。勉強ってのはな.....遊びと同じ様に考えると脳にインプット。つまり頭に記憶されやすいんだ」
「ねー。お姉。遊びに出掛けない?」
「良いわね。この辺りにカフェが出来たそうよ?」
「オラァ!聞けよコラ!!!」
先ずはコイツに勉強よりも!
勉強に気を引かせるのが先かな!
俺はその様に思いながら、止めようとして一歩を踏み出す。
その瞬間、慣れない床で滑って。
バターン!
「きゃあ!?」
「うお!?」
恋子の大きな胸に埋まった。
俺はかなりの赤面で、あ?、と言う。
恋子は、ちょ、ちょ、ちょ!!?と叫んだ。
バゴーン!!!
「お姉に何するの。須藤」
まさかの蹴りだった。
俺は勢い良く壁に激突する。
そして思いっきり鼻血を出した。
まさかだろ!
「蹴る必要有るか!!?鼻血が出たぞ!」
「関係無い。お姉に近付く愚か者は排除する」
「怖い!想、お前はヤンデレかよ!」
まさかと思うが、ヤンデレレズかよ.....このクソ馬鹿ども。
絶対に許さない。
「.....お姉、立って。行こう。カフェに」
「そ、そうね。その馬鹿はどうするの?」
「あー、そろそろ出した粗茶に効果が有ると思うから」
「.....は?」
俺はその様に見開いて思いながら、立っていると。
何だか知らないがだんだんと目眩がしてきた。
まさか、まさか!
「テメェ.....何を.....しや.....がった!」
「バイバーイ」
「.....クソッ」
目眩が凄まじく俺はその場でそのまま倒れた。
そして気を失ってしまい。
次に気が付いた時には自宅に居た。
☆
「.....」
「お兄ちゃん!大丈夫!?」
「お兄!大丈夫!?」
「ハッ!!!」
一階建てのボロ家の畳の上。
俺の家の香りだが.....って俺の家!?
勢い良く顔を上げると、ゴチーンと頭を打つけた。
「お兄.....何するの.....」
「す.....すまん。我が妹よ.....一葉.....」
悶える中で俺は周りを直ぐに見渡した。
どうやら、布団の中で俺は床に伏せていた様で。
嘘だろ、何だ!!?コレ!?
「.....一葉。俺は.....どんな感じでこの場に来た?」
「外で寝てたよ?道路の真ん中。丹葉が危ないって言って引き込んだの」
「そうそう!」
あのクソどもめ。
絶対に許さないぞ。
家庭教師をなんだと思ってんだ。
その様に思いながら、一葉と丹葉を見た。
一葉は姉、黒髪ポニテに優しげな感じの顔付きに、そして身長もそこそこの成長期の可愛い顔立ちの女の子だ。
和葉の横に居る、もう一人の妹、丹葉。
ツインテの女の子だが、黒髪に笑みを浮かべると八重歯が出て、俺に対して身長は平均より低めの甘えん坊の可愛い顔立ちの女の子。
しかし我が妹よ、そなた達が俺の最後の希望だよ。
いや、割とガチで。
俺は涙ながらにその妹達に縋る。
「どうしたの!?もしかして.....家庭教師で!?」
「そうだ.....睡眠薬を盛られた.....」
「酷い!お兄になんて事を.....!」
お前らだけだよマジで。
そんな事を言ってくれるのは。
この事であの姉妹に対して嫌気が指したが、この過程を支える為だ。
「.....行かなければいけない。俺はあの姉妹を倒す!」
「間違ってないかもだけど!間違ってるよ!お兄!倒すって!?」
「そうそう!お兄ちゃん!もう止めたら良いんだよ.....お兄ちゃんが心配だよ.....」
大天使よ。
お前らだけだ。
そんな事を言って、涙を流す奴らは。
俺は涙を浮かべながら妹達の頭を撫でた。
「.....だが、俺は姉妹に教育する。それが.....俺の使命だ。アレはあのまま放っておいたら犯罪に手を染めてしまう!」
そうだ、だから放って置けない。
俺はその様に思いながら布団を片しながら。
妹達の頭に手を添えた。
「.....行ってくるな?今度は大丈夫だ。お兄は.....必ず金と教育をして帰って来る!」
「お兄ちゃん。ぜんざい有るけど.....それを食べて出ない?」
涙が出て来た。
料理も出来て俺を励ますのも得意な俺の妹。
絶対に誰にも渡さんという気になる。
「お兄。たべよ?ね?」
「.....分かった。食べてから.....行ってくるな?」
「.....うん。そうだね。気を付けてね」
今の時刻.....下校したのは小テストの復習の日として早い。
だから14時。
まだ大丈夫、あの馬鹿姉妹に一泡吹かせるのに上出来な感じだ。
ぜんざい食ったら絶対に行くからな.....許さん!
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