第24話 討伐戦への狼煙 下

 確かに…入り口の奥から薄っすらと見える深緑の炎…がゆっくりと外へと向かって進んでくる。

 その大きさは、決して圧倒的な大きさではないが…それは紛れもなく浮いて見える、と言う事は…。


 入り口奥から筋肉隆々の体がゆっくりと現れ始めた…。


 布を腰に巻いただけの姿であるが、その体は、鋼の鎧でもつけているような光沢のある茶色い肌に、血管と筋肉の筋がうっすらと表面にあらわれているほど、体脂肪の薄さを感じさせ、巨大な筋肉の塊をつけているような腕と胸の筋肉、そして、割れた腹筋とその周りの筋肉、すべてがはっきりとその造りを形に出している。

 下半身ともなると、太ももや脹脛はがっしりとした造りとなっていて、体全体が筋肉で出来ているような体の持ち主であった。


 そして、ひと際異様な輝きを放つ額の証…ひし形に深緑の炎を揺らめかしているそれこそ…召喚石である。


 クラウトは確信した。

 「『』…」と…。

 その言葉に一同がいま出て来た、ひと際大きく、全身鎧かと思われるような、一つ一つが大きな筋肉を見につけているそのモノを見た。


 「…まじか…」とタイロンが声を上げた。

 タイロンだけではない…どうやら森に身を潜めていた者らすべてが言葉にし、驚愕の声を上げていた。


 アサトはクラウトの言葉を聞くと、生唾を飲みながらその者の威圧感を体全体で感じた。


 …無理だ…逃げた方がいい、いや、逃げなきゃ…あんなのどうやって討伐するんだ…たぶん…インシュアだって、逃げるが勝ちって言うと思うし…アルベルトでも、舌打ちをしているだけだと思う、レベルが違う…。

 そもそもオークなのか?オークを初めて見た時と……あれがほんとに?なんか…違う様な…と思っていると、そばからカチっと音が聞こえてきた。

 その方向を見てみると、唇をかみしめているアリッサをケイティが止めている。


 オークプリンスは外に出ると、『パインシュタインの遺跡』前の拓けた場所を見渡す、そして、森の方へと視線を移すと周囲を見渡して鼻を鳴らした。


 アサトは、再びオークプリンスへと視線を移す。

 オークプリンスは呪術師の誘導の元、入り口左側にある階段を登り、一階屋上へのぼると石で出来た台が置かれてある祭壇へと進んだ。

 すると、左の屋上にある建物からオークが女性を連れ出してくる。

 「…何をする気なんだ?」とタイロンが言葉にすると…

 「…たぶん…思っている事をすると思う。」とクラウトが言葉にした。

 「…あんな化け物のモノが…女のあそこへ入るのか?」と言葉にすると、システィナが頬を赤らめてタイロンをロッドで小突いた。


 下っ端オークが石段の前に女を連れてくる…ゴブリンの女だ…、オークプリンスは、その女の体に身に着けている服をはぎ取ると、胸を触り、そして、股間へと指を這わせる。

 その這わせた指を目の前に持って来ると、匂いを嗅ぎ…そして、「ガッバ」と手で払いながら言葉にした。


 アサトは、ガッバ?と思っていると、下っ端オークがそのゴブリンの女を1階屋上から下へと連れて行く、そして、下にいるオークらへと投げ入れた。

 そのオークらがゴブリンの女に一斉に群がる。

 各々が雄々しくいきり立ったイチモツをさらけ出して、我さきへとゴブリンの股間へと突き始めた。

 その光景をオークプリンスが見て、ニヤッと笑うと「ゲッバ」と言葉を発する。

 すると、またその建物から女が連れて来られる…今度は…人間の女である。


 プリンスの前に連れられてきた女は、恐怖のあまりに失禁をしたみたいであった。

 それを見てオークプリンスはニンマリと口角を上げ、服をはぎ取り、さらけ出された形のいい胸を品定めすると、手を当て張りを確認しているように動かしてから、股間へと手を持ってゆく、そして、再び匂いを嗅ぐと今度は頷いた。

 連れて来た下っ端オークが女を石の台にひっくり返すと、尻をオークプリンスにむけさせた。

 オークプリンスは布をたぐり上げ、いきり立つイチモツを出して、自分の涎をつけた手でしごき始めた。


 その大きさは、タイロンではないが、…入るのか?と言うくらいに大きなサイズであった。


 オークプリンスは、イチモツをしごきながら森の方へと視線を向け、わざとと言うような仕草でイチモツを見せびらかし、ニンマリとした表情を浮べていた。

 そして、そのイチモツを女の股間に押し当てると一気に突き立てる。

 女は悲鳴にも似た叫び声を上げると、気を失ったのか動かなくなった。

 それでもかまわずにオークプリンスは腰を振る、そして、後ろから胸を揉み、何度も何度も女へと突き立てる、そして、いきなり女に抱き着き激しく腰を振り始めると、大きな雄叫びと共に天を仰いで小さく痙攣をした…。


 「ッチ」とアルベルトではないが、クラウトが舌打ちをした。


 果てたイチモツから女を外すと、女の股間からは、真っ赤な鮮血を絡めた白い粘着性のある液がだらだらと流れ落ちていた。

 「ゲマ、ガッパ」と言い、女を下っ端オークへと渡す。

 下っ端オークは、気絶している女を再び下へ連れて行くと、待っているオークへと女を投げ込んだ。

 「ゲッバ」と再びオークプリンスが声にすると、今度は獣人の亜人。

 たぶん兎の亜人であろう女が連れて来られた、そして……、


 その光景を見ていたアサトが言葉にした。

 「…クラウトさん…」と……。

 「…?」とクラウトがアサトを見ると、アサトは目を細めながらその光景を見ていた。

 そして、ゆっくりと言葉にした。

 「『オークプリンス』の出現って…レアなんですよね…」と言うと、クラウトは小さく頷く

 「……じゃ…あれ…狩りましょう!」と言葉にすると、一同がアサトを見た。


 「…お…おま…」とタイロンが言葉にならない言葉を発する。

 「…僕らは狩猟者なんですよね…なら、あれを狩らなきゃ…と言うか。今やんなきゃイケないような気がします。」と言うと、その言葉にタイロンは生唾を飲んだ。

 アサトはクラウトを見る。


 クラウトは顎に手を当て何かを考え、そして辺りを見渡す…。


 確かにオークプリンスの目撃情報は無い、アサトの行っている通り、オークプリンスとの接触は、レア中のレア、スーパーレアを超える。

 今、ここに居ると言う事は、ナンバー2をここ数日で決めるつもりなのか…だから、今日、集めた女の味を確かめているのか…、動物だな…。

 とりあえず、遺跡の中に入られては事が厄介になる。

 仕留めるなら出て来た時が最良と考えれば、今が最もいいタイミングではないか…となれば…どうやって勝機を得るか……。


 そうか、この周りには狩猟者や獣人の亜人、ゴブリン…オークに因縁のあるモノが多い、そして…その集団に匹敵するほどの戦力も…ある…なら…。

 考えを巡らした後、小さく笑いながら、しっかりとした言葉でアサトに返した。


 「…わかった!やろう…」と…。

 その言葉に、一同はクラウトを見た。

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