第20話 悶々とした夜と 下
「…?どうしたの?」とシスティナが目を覚まして声をかけて来た。
「…あぁ…ごめん。起こした?僕…修行に行ってくるよ。」と言いベッドを出た。
…って、チンコ立っているんですけど…。
それを見たのか、「あっ」と言いながら、システィナが顔を背けて…「大丈夫?怖くない?」と言葉をかけて来た。
「うん、もう朝だし、この時間だと、もうオークも来ないと思うから…僕、ちょっと走ってくるね…最近、修行も走る事しかしていないから…」と言いながら着替えて長太刀を手にすると入り口に向かった。
「…うん、じゃ…行ってらっしゃい…」と微笑んで見せた。
その微笑に…
…何てことしてしまったんだ!ぼくぅ…システィナのおっぱい揉んで、乳首を摘まんで…そして、服の上からだけど…吸っちゃった…ごめん、ごめん…。
と思いながら部屋を後にした。
達成感と罪悪感の狭間で、微妙な気分のままに街を走っていた。
ちょっとだけど、触り、揉んでみた胸の弾力感と、吸ってみた乳首の小さな固さが股間を熱くさせていた。
あのままだったら…。
どこをどう走ったのか分からないが、街を駆け巡っていた。
犬の吠える声があたりから聞こえ、その声に反応をしめす家まであった。
どのくらい走っていただろう…ふと気づくと、自分がどこにいるのか分からない…まいった…迷子になってしまった…。
立ち止まった場所は拓けた広場である。
辺りを見渡すと木々が少しあり、ベンチとかもあった。公園であろうか…。
宿屋の名前は分からないが…たぶん、周りは宿屋が多かったようで…、そこらは、宿泊施設が集っている場所なのではないかと思う。が、夜が明ける気配も無い…人通りも無い…聞く人がいない状況…。
参った…。
いきなり出て来たのは間違いだったのかも…。
「あっ。」と、思いついた。
壁の上に登ればいいんじゃないか?そうだ…。と思った。
たしか、壁の上も歩けるはずだった…でも、一般人のアサトが通れる確証は無い…だけど…。と思いながら壁の方向を見てみる、そして、とりあえず壁の近くまで行くことにした。
宿屋が見つからなければ、馬車に行けばいい…。
あっ、馬車小屋のカギが…でも、そこで基礎修行をすればいいか…と納得しながら壁に向かった。
近くと思われる壁に着くと、その高さに驚いた。
5メートルはあるであろう、見上げる程の高さであったが…『ギガ』程じゃないな…と思いながら辺りを見渡すと、近くに壁から半円の形で突き出た場所が目に留まった。
とりあえずその場所に行って覗き込むと、上に続く階段があり、どうやら登れるようであった。
その階段を登る。
階段にはランタンが灯されており明るかった。
螺旋状の階段を登ると、大きく視界が拓けた場所に出る。
そこは壁の上であるようだ。
辺りを見渡すと、左側に大きな物体が山のようになっている場所が見える、たぶん…あれは、足長蜘蛛のなれの果てなのだろうと言う事は分かった。と言う事は、こちらは西なのだろう…。
振り返ると、びっしりと重なった屋根が続いている。
…こりゃ…わからん。
少し肩を落としていると、壁の上に誰かがいるのに気付いた。
目を凝らして見るが…やっぱりわからない…、衛兵で無いのは確かである。
長いスカートに束ねた髪が確認できている、ストールを肩から羽織って
女性であると思った…、とりあえず…、宿屋はどこらへんか聞こう…分からなかったら…正面門に行けばいい。
アサトはその者がいる場所に近づくと、相手も足音で気付いたのか、
「あっ。す…すみません…あ…怪しい者じゃない…です。ほんとすみません…」と言いながら近づくと、やはり女性であった。
長いスカートと長袖の布で出来ていると思われるシャツを着て、きれいでまっすぐなストレートの金髪を一つに束ねて、肩から前にたらしていた。
青い瞳にやつれ切った表情、それに…とてもきれいで、精悍な顔…。アリッサさん?。
アサトは確認した。
その影は…アリッサなのかと…そして…
「も…もしかして…アリッサさんですか?」と言うと、女性の警戒が少し緩む。
「だ…だれなの?」と言いながら後ずさりを始めた。
「あ…アサトです…酒場で…ケイティさんと一緒に…」と言葉にすると、その影は止まり、少し顔を出して確認していた。
アサトと確認できたのか、短剣を下げて腰に収めると、再び見ていた方向を見た。
アサトも見る…と、その方向に何があるのか薄々分かった。
『パインシュタインの遺跡』だ。
アサトはゆっくりと近づいて…「見ているんですか…ここで…」と言葉にすると、アリッサは口を一文字に噛みしめる。
「…す…すみません…余計な事を…ぼく…道に迷ってしまって…よければ、宿屋がある方向を教えてもらえないでしょうか…」と言うと、アリッサはアサトをしばらく見てから小さく瞳を閉じて微笑む。
「迷ったんだ…」と言いながら、振り返り街を見て指を指す。
「あ…ありがとうございます。」と返すと、小さく微笑みながらアサトを少し見てから、また先ほどの方向を見た。
その行動を見て、アサトも同じ方向を見る。
「今日か…行くんですか、『パインシュタイン』に…」と言葉にすると、目を閉じて小さく頷く。
「聞きました。ケイティさんに…有志連合に登録したって」と言うと、その言葉にアサトを見る。そして、小さくため息をついて、「わかっている…、オークには勝てないよ…、遭遇したけど…、とても相手にはならないなって思った。仲間の男子は腰を抜かして逃げたし…ケイティは、壁を突き破って廊下まで飛ばされた。その強さに…ケイティは参っていた…」と言いながら小さく微笑む。
「でもね…じっとしていられないんだ…なんかね…。狩猟者でいて1年。聞いていたけど、私達のもおごりがあったのかもね…。ゴブリンを狩っていた生活に甘んじていて、こんな強い敵と遭遇して、自分たちの力の無さを見せつけられたら…、男子だって、ケイティだって…臆病になって当たり前だよね…」と言い、小さく微笑んだ。
「…ぼくも見ました。旧鉱山で…」と言うと、きれいな眼差しがアサトを捉える
「旧鉱山?」
「はい…1週間ほど前ですけど、『ダザビッシャ』と名乗るオークと遭遇しました。クラウトさんの話しでは、『オークプリンス』の側近中の側近じゃないかと言う話です。そのオークの強さは…巨大ゴブリンの両腕と首を一撃で切断しました…」と言うと、アリッサに向かって微笑み、「…僕は…弱いなって思いました。」
「弱い?」
「はい…、怖い…無理って…あんなのと戦う事なんて想像できません…だから…弱いなって…、でも…」と言いながら、小さく何度か頷きながら、「見てみたいです。『オークプリンス』。あんなのを従える力ってどんな奴なのかを…」といい、大きく笑顔を見せた。
その表情にアリッサは小さく驚くと、小さく微笑んだ…そして…。
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