第15話 彼女の名前は、キューティーケイちゃん! 上
「案外、楽勝だったな…」とタイロンが、山のようにそこにある、足長蜘蛛を見上げながら言葉にすると、アサトは長太刀を鞘に仕舞い同じく見上げる。
クラウトとシスティナが歩いてきながら言葉にした。
「お疲れ様。今日はいいところに泊まれるかもよ」と言いながら、アサトとタイロンの場所に来て見上げた。
アサトとタイロンは、クラウトを不思議そうに見てから、また足長蜘蛛へと視線を移した。
「さっき…縁起がいいって言っていたと思うんですけど…、」と、アサトが言うと、クラウトは小さく微笑みながら言葉にした。
クラウトの話しでは、足長蜘蛛の生息範囲は
熱帯雨林を超えて、この地まで来ることは滅多になく、遭遇はレア中のレア…スーパーレアなんだそうだ。と言うのも、足長蜘蛛は、卵を山脈直下の谷とかに産み下ろし、幼虫は
その過程で体が大きくなるにつれて、胴体の上の部分が洞窟の岩盤に擦り、そこにある宝石や鉱物を固い外殻にめり込ませて大きくなる、体が大きく…と言うか、足が長くなると、洞窟での生活も厳しくなるので外に出てくる、そして、生殖行動をする。
寿命は3年と言われている。
熱帯雨林を超えて、この足長蜘蛛を狩る狩猟人もいるようだが、こうして動いている事はそんなに無く、いつもは谷などの暗い場所でひっそりと生息しているようだ。と言う。
クラウトが、タイロンに短剣を2本と金槌を渡すと、その短剣の剣先を外殻に突き刺してみるが刺さらない。
クラウトの指示で、剣先を外殻に当てて金槌で柄頭を叩くと少し削れ、何度か叩くと…、すっと中に入った。
それを少し抉るようにすると、なかから外郭が割れる。
どうやら、外殻の外は固いが裏はそうでもないようである。
それの行動を何度か行って、真っ黒な体の上まで登ると大きな唸り声をあげた。
タイロンの剣を上部に突き刺してロープを下ろしてもらい、斬った首から上に登ると、クラウトの言ったように、蜘蛛の黒い外殻に沢山の宝石や鉱石がめり込んであった。
システィナは下から状況を見ている。
クラウトも上がってくると、3人で金や銀を含んだ鉱石と、赤や青…緑色の宝石と真っ白い結晶の塊、紫色の塊、そして、黄色の結晶の塊。
他に、真っ黒い墨みたいな石なのだが、なかは緑色になっている小さな石柱…などを奪取した。
クラウトの見立てだと、金貨5枚ほどにはなるのではないかと言う事だ。
かなりの収穫にアサトとタイロンがニンマリする。
そして、ホクホクな顔で上部から気を付けて降りると…、システィナの横に誰かが立っていた。
システィナと同じくらいの身長で、ショートパンツにへそを出して、胸だけ隠している小さな服の上に短いデニムの上着を着た女の子が、こっちを見て手を振っていた。
とりあえず、その場に進む3人…。
「こんにちは!」と元気な声であいさつをしてくる。
アサトらも小さな声で返すと、「あたしは、ケイティ…よろしくね」と顔をクシャクシャにして微笑む。
「あ…アサトです…」と返す。
「うむ、アサト君ね。」と言いながらタイロンを見る。
「あ…俺はタイロン…ジャンボって言われている」と言うと、「じゃ~んぼ!いいね」って笑うと、クラウトを見る。
「僕は…クラウト…だ。」と、メガネのブリッジを上げながら言うと、ちょっと悪戯っぽい表情で、「むっつりぃ?な方…」とニカニカした笑みで言う、その言葉にクラウトは頬を少し赤らめながら「なんで!」と否定をした。
「じゃ…オープンスケベだ!!」と言いながらケラケラ笑い始めた。
「そいで、システィナ…だから、シスちゃんでいい?」とシスティナを見てウインクをすると、システィナも小さくうつむいて頷いた。
…この子…なんなの?
「はい、はぁ~い…、そいじゃ…おこちゃま。ジャンボ。むっつりくんに…シスちゃんね。覚えた!」と言い大きな笑顔で微笑む。
彼女は真っ赤とは言わないが、自然の赤みがかった髪の色で、耳元までパーマ…というか天然パーマの髪形。
そばかすも目元に広がっていて、瞳はブルーの元気な女の子だった。
「そいじゃ、これ君たちがしとめた?」と指を指して言葉にすると、アサトが頷く。
「そっか…すごいね。あたしもアシナガックン見るの初めて。もう取って来た?上の!!」と言うと一同を見ると、アサトが持っていた布の袋に目が留まり、いきなりその袋を取り上げてなかの品定めを始めた。
「き…君!!」とアサト、その言葉にしばらく品定めをしてから、アサトを見て。
「だめ!キューティーケイちゃんって呼んで」とウインクをする。
…キューティーケイちゃん…って。
ケイティはその袋の品定めをすると、袋をアサトに返して一同を見て、「…そいで…終わり?」とまた、悪戯っぽい表情で一同を見る。
「…終わりって…どういう意味だ?」とクラウトが言うと、「そう!いい質問だよむっつりくん!」とクラウトに指を指して、指した指を立てると、「タカラは…まだあるんだよね~~」と、また悪戯ぽい表情で一同を見渡し、「そいじゃ…このキューティーケイちゃんが教えましょう!」と言い、腕組みをして、一同の前で胸を張った…が、その胸は…そんなには大きくはなさそう…と言う話ではない!
「このアシナガックンは、体の中に宝石を持っているんだよね。たぶんだよ、その袋の中身を足しても多いくらいの宝!」と言う
「えぇ?」とアサトとタイロンが前のめりになってケイティをみる。
その横で、クラウトがメガネのブリッジを上げながら目を細めて、「お嬢さん…それはどういうことだね」と言葉にする。
アサトは分かった、クラウトが怒っている。
むっつりくんと呼ばれたことに対して、アイドルのように呼んでもらいたい彼女を、あえてお嬢さんで呼んだ…なんか…ウケる。
「こぉ~ら!そこのむっつぅ~りくん?あたしは…キューティーケイちゃん。お嬢様じゃないよ!だって来訪者だから!」と言葉にした
「来訪者?」とアサト
「うん。そうだよ。1年前にここに来た。そいで…なか…ま…と…ここ…に…」と言葉を尻切れトンボにさせると小さくうつむいた。
「仲間?」とアサトが言葉をかけると、ケイティの肩が少し震えて…小さく鼻をすする。
仲間が…、もしかして、この子は一人で生きているのだろうか…、実際、仲間と言った事を考えて、以前?は、狩猟者だったんだ、たぶん、それで、ここで仲間を失って、一人で…
「ごめんね…なんか、思い出させたかな?」と少し口調を落としてケイティに言うと、ケイティの肩が小刻みに震え…そして、その震えが段々に大きくなり……。
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