第3話
「まだそのような戯れ言を口にするのか。ならば、死ね」
青竜刀を持ったふたりの武人は七人の者たちの頭上に高々と飛び上がった。
七人の者たちは自分たちの上に降りかかる運命に身構えた。
青竜刀が振り下ろされる。
七人の者たちを縛り付けていたロープが切って落とされた。
たちまち広間にざわめきが起った。
すぐにそれは喧噪にと変った。
背後に居並んでいた武人たちの間でも、そこかしこで争いが始まっている。
七人の者たちのいましめを切り落とした武人のひとりが大声を張り上げた。
「我らが馬国の存在意義とは何や。マの教えとは何や。何のために我々は息をして、生きながらえている。それは専横に走る腐った王に従うためであるのか。心あるものは我らに続け。本当の馬国をふただびこの手に戻し、真のマの教えをこの世界に広めようぞ」
広間に鬨の声が響き渡った。
玉座の脇に控えてた美しい少年たちが剣を手にして、声をあげた武人たちに襲いかかっていく。
だが、単純な戦闘能力では、武人たちに敵うはずもない。
武人は手にした青竜刀で少年たちの胴体を真っ二つにした。
その勢いのまま玉座に向って駆けた。
「何の真似だ、これは。汝らは国王であるわたしに背こうというのか」
王は玉座に座ったまま、落ち着いた声で問うた。
「王というのは、国民の命と財産を守り、平和な暮らしをさせてやるために、その全精力を傾けるもの。それを忘れて己が欲望に溺れる者はもはや王ではない」
「その、もはや王ではない者というのが、わたしだと言うのか」
王の声は、少しの震えもなく、落ち着いたものである。
広間に轟音が轟いた。
両脇の壁が崩れ、広間に、いつもは宮殿を守っているだけの近衛兵がなだれ込んできた。
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