第9話 初めてのカウンセリング

カウンセラーの彩花先生、

複雑っていうか難しいことばかり聞いてきます。


妙なもので、わたしの生まれてきた時のことばかり聞く先生。

ふと、あの時のことがアタマの中に浮かびます。


「先生、ぼくねっ 生まれた時、男の子か女の子が分からなくって、だから性別は不明で出生届を出したんだ」

「そうなんだっ それでナニかあったのっ?」

「うん、小さな頃っていうか・・・小学校に上がるまでは女の子のようにして育てられたの」

「その時って 楽しかった?」

「そうですねっ ある面では楽しかったし、反面 辛かった時もありました」

「歩君って、カラダつきは男の子よりも小さくって・・・筋肉質っていうよりふっくらと体脂肪で女の子みたいねっ」

「彼女に そう言われますねっ」

「彼女がいるって・・・?」

「いまの彼女は、中学に入ってからです 小学生の時も、彼女というか女友達の方が多かったですよ~」

「モテ・モテだったわけねっ?」

「モテたって そんな意識はなかったかなっ」

「カラダつきにしても、女顔で童顔、髪は短いけれど男の子ぽい髪じゃなくってボーイッシュな髪なのねっ」

「これはお母さんに連れられて美容室に行った時からなのっ」

「あなたは、お母さん子ねっ」

「そうかもしれません お母さんは娘が欲しかったと言っていましたし、ぼくが小さかったころは”うちの娘です”なんて、ぼくを紹介してましたから・・・」

「お母さんの言葉には違和感は持たなかったのっ?」

「持たなかったというか、持てなかったのかなっ? 小学校の同級生や上級生が、ぼくを男の子として見てくれてなかったこともあったから・・・」


延々とこんな感じでカウンセリングが続き、彩花先生はだいたいのことが理解できたようです。


「いまの状態で・・・ぼくは?」

「即答は出来ないっていうか、まだまだこれからもカウンセリングが必要だねっ」

「ねっ・・・先生 ぼくのカラダつきっていうか、戸籍上は男の子だけど、これから変わるってこともありますかっ?」

「きっぱりとは言えませんが、これまでにそういう例もあるから そのことも考えないとねっ」

「はい・・・でもねっ」

「いま、春休みだよねっ 来週も水曜日にカウンセリングに来てください

それと、いまから神経内科の受診が いますぐに行ってください」

「わかりました では来週にも来ますねっ」


初めてのカウンセリング とっても緊張した歩

急いで神経内科の診察室に向かった。

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