第8話 病院にて
7時になった。
約束通りに文香ちゃんからメールが届いた。
「あゆ君、おはよ~ 7時だよっ! 起きたぁ~ 病院に行くんでしょっ 元気な顔でいってらっしゃ~い チュッ」と文字と一緒に文香ちゃんの笑顔とキスリップが映ったフォトが。
すでに目覚めていましたが、すっかり目が覚めて着替えをはじめた。
「お母さぁ~ん おはよっ 8時過ぎに病院に向かっていくから 早くぅ~朝ごはん出して」
「はいはい 食パンでいいよねっ」
「いや、今朝はご飯がいい お味噌汁に目玉焼き・味付け海苔に納豆…」
「そう急がせないの 手伝いなさいよっ」
「はいはい ナニかから?」
朝からご飯が食べたいのなら、昨日のうちに言ってくれたらいいのに・・・と、母さんは思った。
「おい、歩 そろそろ病院に行かないと」
「お父さん そろそろ行くよっ」
「自転車で駅まで行くのかっ? 父さんが送ってあげるよ」
「帰りのことがあるから、自転車で行くよ~」
「そうかぁ~」
「じゃっ 行ってきまぁ~す」
病院行きのバスに間に合った。
約1時間、のんびりバスにゆられての病院行は初めての歩。
どうやって1時間を過ごそうかなって思って、コンビニに立ち寄りコミック誌を1冊買った。
少し遅れて病院前に着いた。
受付を済ませると、心療内科のカウンセリングルームに案内された。
カウンセリングの受付で
「予約の〇〇歩さんですねっ カウンセラーの先生が遅れてますので、時間通りには始まりませんので大丈夫でしょうかっ?」
「はい、大丈夫です」
「第3カウンセリングルームの前でお待ちください」
ぼくの前にふたりの受診される方がいた。
目を合わせないように軽く挨拶をして椅子に座った。
時間が経ち、ひとり目・ふたり目のカウンセリングが終わり、1時間ほど遅れてぼくの名前が呼ばれた。
「〇〇歩君ですか?」
「はい」
「神経内科のドクターからの紹介でカウンセリング 精神的なこととカラダの方のことと書かれていますが、それですねっ」
「はい ぼくはどこがおかしい? 悪いんですかっ?」
「それを調べて改善するためにもカウンセリングは大事、この前のアンケートを見させてもらいました これから新たに質問しますから正直に答えてください」
まだ若い・・・、30歳くらいの女性のカウンセラー。
長い髪を後ろで束ね、理知的なメガネの下の瞳がキレイ。
いくつかの質問に答えた。
「精神的な異変っていうか、カラダの不調はまだ続いてる?」
「お薬のおかげで、少しは楽になっていますが」
「それはカラダ? 精神的なこと?」
「なんかカラダの方が・・・胸が苦しくって」
「そういうのって、ず~っとなのっ? それとも最近?」
「カラダもだし、精神的にも心苦しくって」
「昔のこと 小さい時のこと聞いても好いかしら?」
「わたしの記憶にあることなら」
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