第1話 知ってしまった ‼

中学は兄と同じ私立の学校に行くことを決められました。


「歩、入学願書は届いてるから、☆印がついてるところだけ、自分で書きなさい」と父が。

「わかりました お父さん、住民票と戸籍抄本はもらってきてあるの?」

「明日は、半日で学校が終わるでしょ~ だから、お母さんと一緒に市役所に取に行きましょ~」と。


ぼくは、ぼくが書けるところを間違いなく書き、お父さんに渡すと

「歩、将来ののためにも、中学生になったら字を習おう」と言った。

確かに、ぼくの字は年相応よりも幼い字と自覚もしていて、お父さんの提案にコクリと頷きました。


次の日、お昼前で学校から帰ってきたぼくは、お母さんと一緒に市役所とお買い物に行きました。

申請用紙をもらってきたお母さんが、 

「これも勉強よっ 住所と名前・必要事項とか、あなたが書きなさい それと、ハンコはココに押しなさい」と・・・。

お母さんに確認してもらい窓口に出すと

「しばらくお待ちください 出来ましたら、掲示板にナンバーが上がりますので、このカードを持って、窓口にお越しください」と。


まだ若くって長い髪のお姉さん、ぼくは窓口のお姉さんをじ~っと見た。


5分ほど待つとチャイムが鳴り、ぼくの申請した書類のナンバーが掲示されました。

書類を確認して料金を払い、封筒に入れてもらいました。


「歩、よく出来ましたねっ 中学生になったら、もっともっといろんなことを経験をしましょう」と、お母さんは言いながら、

「さっ、次はお買い物よ~ その前にファストフードで軽くお昼、それから今夜の夕ご飯の材料を買いましょ~」と...。


ファストフードで簡単にお昼を済ませ、お買い物も終えてお母さんの運転する車でお家に帰ると、すぐさまにもらってきた書類に目を通した。


初めて見る住民票と戸籍抄本、じ~っと見てるとちょっとおかしなところに気が付きました。


住所に氏名や世帯主とかはきちんと書かれていたのですが、ぼくの性別が記載されていない、そのことをお母さんに尋ねると、困った顔をして、

「お父さんが帰ってきたら、聞いてみましょ~」

「そんなのイヤだ! 市役所に電話して聞いてみてよ」と言うと、

「まだ、提出にはまだ日があるでしょ~ そんなに急がないのっ それよりも、試験勉強もしなさいよ」

「兄ちゃんが帰ってきたら教えてもらいながらするから」といって、二階の部屋に逃げました。


『なぜ、性別が書かれてないのっ?  ぼくって、オトコ? オンナ?』


考えてみてもぼくには分からない‼ 

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