第75話「なんてこった、押しきられるッ」
らぁぁぁああ───!!
氷塊!!!
続けて、氷塊!!!
氷塊、氷塊、塊塊塊塊塊ぃいい!!
氷氷塊氷氷塊氷氷塊氷氷氷氷塊氷塊氷塊氷塊氷塊ぃぃい!!
「───くたばれぇぇぇええ!!!」
全く間隙なくブッ放されるビィトの魔法!
青白い冷気が津波の如くオーガの群れに襲いかかる!
それはもう、凄まじい氷の嵐だ!!!
一切の容赦なく、氷塊がオーガの群れに突き刺さっていく。
いちいち狙撃などしない。
もう、ただの目暗撃ちだ!!
ビィト自身氷の冷気のため髪や頬を白く染めている。
今にも凍えそうになるも、それ以上に暑い闘気が体を中から温める!
「お兄ちゃん凄い……。っていうか寒い!」
薄着のエミリィが肌をサスサスと擦りあわせている。
あの格好じゃ、確かに寒いだろう。
ゴメンね……。
だけど、敵を殲滅するまで手を緩められないんだ!
心の中でエミリィに謝罪しつつも、ビィトは連射に次ぐ連射。
急所や足を狙って発射などしている暇もない。
ただただ連射!
いや、もはや乱射だ!!
そして、凍りついた連中を砕くのは──。
「エミリィ!!」
「はーい!!」
ギリリリリ……。
エミリィがスリングショットを引き絞る。
彼女の手にある弾は、ボウガンの矢でもベアリング弾でもない───。
小さな彼女には不似合いなもの……。
なんと、それは足元に沢山散らばるオーガの破片ッ!!
「───そこぉ!!」
ビシュン!!!──────パカァァアアアン!!
高初速で発射されるエミリィの一撃は強烈だ!
あれほど頑強を誇るオーガの身体も、一撃で粉砕されるほど──。
もっとも、氷漬けになった時点で連中は相当脆くなっている。
「よっし!」
「エミリィ、続けてッ!!───俺は
「はーい、──……あッッ!!」
思わずエミリィが悲鳴をあげる。
彼女の視線の先には、まだまだ健全なオーガが多数。
そいつらが……!!
「「「───グルァァァアアア!!」」」
しゃらくせえ! とでも言わんばかりに、オーガどもが仲間の凍り付いた体をブチ割ってきやがった。
あの巨体でしなやかに動き、凶悪な足技を繰り出し、凍りついた仲間をブチ撒ける!
ガッッッシャァァァアンン!!!
悠長にエミリィのスリングショットでの一撃を待ってくれるつもりはないらしい!
回廊には正面に3~4隊のオーガが並んでいるわけだが、エミリィが狙撃でそのうち一体を破壊してもまだ2~3体残る計算。
それらを一気に破壊するのは無理だ!
ビュンビュンと頭上を越えてくる氷の塊───もとい、オーガの屍。
「くそぉおお!! なんて奴らだ!!」
慌てて「
そして、エミリィを引っ付かんで身を屈めると、その上をオーガの屍で今は散弾───そいつがビュンビュンと飛んできた。
「あっぶねー……!」
「───お兄ちゃん、近い近い!」
エミリィが顔を赤くしてワタワタしているものの、無視。それどころじゃない!
散弾をかわしたものの、ブチ撒けられた塊が次々に回廊を傷つけていく。
傷ついた回廊の底は、もう地底湖なのだ。
───ま、まずくないかこれ?
「え、エミリィ───
「で、出来るけど───この弾じゃ、大きすぎるよぉ……」
おっきくて無理だよぉ……。
そういって、オーガの凍り付いた破片を指す。
お、おう。
そりゃそうか……。
オーガの破片はパンチ力があるがその分大きい。
確かにこれでは多段射ちはできない──。
「仕方ないか……!───エミリィは右側の凍ったやつを狙撃して! 俺は───」
キュィィィィン───……!!
魔力を左手に集めると、ミリミリミリ……と、大きな「石礫」を生成。
「───こいつで破壊する!!」
手数が足りないなら増やすまで!
「氷塊」「氷塊」「氷塊」の時々「石礫」だ!!
「わかった右だね!」
「俺は左!! いくよ───!」
まだまだぁぁぁああ!!
ガバッと起き上がる二人。
ビィトは即座に氷塊を撃ちまくり、エミリィはビィトを支援する。
だが、正面のオーガを凍らせれば、すぐに連中は仲間を砕いて前進を再開。
なんとか、ビィトも手数と手管を替えてオーガを防ぎきるが、そう簡単に三体同時破壊できるものではない。
時折、タイミングがズレてオーガに蹴り砕かれること数回。
「
回廊は長いが段々と
くそ!!
これじゃジリ貧だぞ……。
だけど、
「───ジェイク達の元へは行かせない!」
なんとしてでも、ここで殲滅してやるぁああ!
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