コキ使われて追放された元Sランクパーティのお荷物魔術師の成り上がり〜「器用貧乏」の冒険者、最強になる〜

LA軍@7作書籍化(@5作品コミカライズ

第1章「なんか追い出されました」

第1話「なんか嫌われて追い出されました」


「……クビ」

「は?」


 宿屋の片隅で、リーダーから突然の呼び出しを受けたかと思えばこれだ。

 俺の戸惑いはようとして知れよう。


 だが、所属するパーティの「豹の槍パンターランツァ」のリーダーのジェイクはこともなげに言う。

 

 当然俺は困惑を隠せずに、

冗談ジョーク?」

「なわけあるか。お前の存在が冗談ジョークだろうが」 


 卑屈ひくつな追笑を浮かべていた俺を侮蔑ぶべつするように言葉をぶつけるのは、聖騎士ホーリーナイトのジェイク。その表情は冗談を言っている顔ではない。


 苛立ちを押し隠すように、言葉少な気に言う。


穀潰ごくつぶしを養う暇なんてないんだよ! お前のせいで遠征は大失敗だ!」


「責任を取ってください──兄さん」


 ジェイクに追従するように俺を責めるのは、腹違いの妹である高位僧侶ハイプリーストのリスティだ。

 身内に対する愛情の欠片もない様子で、まるで鋭利な刃物でえぐるように言葉で突き刺す。


「な! なんで……ッ!」


 だが、二人の言葉には思い当たる節が山ほどある。

 それに……これはいつものことだ。


 3カ月にも及ぶ長期間のダンジョン遠征に、俺たち高位パーティ「豹の槍パンターランツァ」は挑んだが、目立った成果は得られなかったばかりか……いくつかの依頼クエストにも失敗していた。


 難易度の高い依頼クエストは仕方ないにしても、遠征途中でこなせるような簡単な依頼クエストさえ失敗───だが、それは俺のミス等が原因ではないはずだ。


 少なくとも、俺の「魔術師マジシャン」としての素質だけが問題ではないと思う。


 高火力は望めないものの、継戦能力にすぐれる俺の魔法は遠征では重宝されるし、幅広い範囲の魔法はどこでも活躍できるだけの下地がある……


「───下地がある。とか考えているんだろ! ねぇよ! 低級魔法マニアの魔術師が!」

「中級魔法の一つも使えないせいで私の負担がどれだけ───」


 的確に思考を読まれたのか、キャンキャンと攻め立てる二人。


 実際に今回の遠征は失敗だということもあり、帰り道ですら険悪なムードが漂っていたが、漸く生還し……一泊したのちに、宿屋の喫茶スペースで唐突に浴びせられるとは思わなかった。


 確かに、遠征は失敗した。しかし、それが俺のせいだというのは…いささか理論が飛躍しすぎではないだろうか?

 依頼品クエストアイテムである素材は早期に入手していたが、途中で手に入れたお宝に目を奪われて、早々に依頼品クエストアイテムの放棄を決断したのはジェイクだ。

 彼には、帰りがけにも入手できるをいう算段があったらしいが……そう上手くいくものではない。

 おまけに無理して回収したお宝は偽物だった……

 


 リスティにしてもそうだ。


 いくら仲がいいとは言え、ダンジョン内でジェイクと「肉欲溢れる運動会セクロス」を楽しむために、無駄な魔力を使い結界を構築したり、挙句…貴重なモンスターへの結界魔術である聖域サンクチュアリすら、僧侶の禁忌を犯したがために効果を霧散させている。

 結界系の魔法は、貞淑ていしゅくが求められるというのに……

(……ビッチじゃダメなんだよ)


 それらが積み重なって、無駄な消耗に次ぐ消耗。

 そのため深部に近づいたのはいいが、物資不足、魔力不足、寝不足、精力不足、───ないない続きで撤退せざるを得なかった。


 ビィトにはまだ余裕があったが、火力の要であるジェイクと、防御の要であるリスティが消耗していてはお話にならない……という判断で撤収したのだ。

 

「低級魔法しか使えないお前がもう少しまともに働ければな……荷物持ちしか能がない低能め……!」


 ジェイクは憎々し気に語る。

 どうやら、昨晩もお楽しみだったらしく、妹と夜中の間に結託して俺を追い出す算段をしていたようだ。


「いつまでも身内だと思って甘い顔してると思わないでね!」


 リスティは顔も見たくないとでもいうかのように明後日のほうを向く。


 俺は助け舟を求めるように、先ほどから一言も話さない小さな影に目を向ける。

 そこには、全身を黒装束で包んだ小柄な少女──リズが直立不動で立っており、ジェイクに付き従っていた。

 その目は、明らかに俺を責めているようだ。


 感情が薄いのは、元奴隷階級であり暗殺者アサシンという闇の職業ゆえだろうか。

 端正だが、幼い顔立ちのリズ。彼女はジェイクに服従しているため俺の援護に加わる気は全くないらしい。

 リーダー、恋人、元奴隷……荷物持ち。───なるほど……


 結果、責めやすい俺に非難が集中した。と、


「悪かったよ……」


 言いたいことは沢山ある。

 心の中をぶちまけるなら、反論が山のよ~~~うに、ある。 


 だが、ジェイク達の言い分にも利はあるのだ。


 長年仲間として扱ってもらってきたし、報酬も三等分していた。


 ジェイクとリスティと俺で均等にだ。

 リズは、解放されているとはいえ、奴隷階級だった故かジェイクは報酬の対象とはしていない。


 そんな対等な関係も、……いわゆる「器用貧乏」の俺には望むべくもない扱いだった。


 ダンジョンの深部に挑む高位の一流パーティに、

 Sランク揃いの「豹の槍パンターランツァ」───


 そこに所属する俺もSランクだが、それはパーティの力あってのもの……

 俺は低級魔法以上の魔法が一切使えなかった。


 だから、

 せいぜいできるのは幅広い魔法を学び、あらゆる属性のそれを覚えて少しでも貢献すること。それとともに、低級魔法が故の魔力消費の少なさを活用した継戦能力の高さを頼りにしてした。


 身体強化ブーストの魔法も低級ならば、途切れることなく使い続けることができたので、3人分の旅荷物を抱えて、ポーター荷運びの真似事もした。


 ……それくらいしかできなかったのが事実───


 だから、いつかこんな日が来るのではないかと思っていた。


 ジェイクがお宝を持っていくために依頼品クエストアイテムを放棄したのも、ある意味荷物の負担を軽くしようという気遣いだ。


 リスティがジェイクと付き合うのも、身内離れができない俺を気遣っての事。


 没落した貴族であるビィトは、家の食い扶持を少しでも減らすため先に冒険者になっていたリスティを頼って「豹の槍パンターランツァ」に入れてもらった。


 右も左もわからない俺をパーティにしてくれたジェイクには恩義こそあれ、恨み言を言うのは筋違いだ。

 同じ没落貴族だが、ジェイクは俺よりも元々の家名は高い。


 それでも、均等の報酬と仲間という環境をくれた。

 だから───


「今まで世話になった……」


 クルリときびすを返すと、パーティを解雇されることを受け入れ荷物を取りに行った。

 当然だが───


「はっ! ようやく諦めたか! 今回の報酬は銅貨一枚たりともやらんからな」

「むしろ迷惑料込で慰謝料が欲しいくらいだわ」


 ジェイクの無慈悲な言葉と、身内に向けるとは思えない冷たいリスティの言葉に胸を苛まれながら……

 トボトボと部屋に引き返し荷物を取って宿を出た。


「……」


 リズは冷たい目で蔑むようにビィトを睨み。最後まで言葉を発することなく、ジェイクを守るようにじっと佇んでいた。その目はしっかりとビィトを見据えていた。


 ───ハァ……


 ここで、俺はまた一人。


 「豹の槍パンターランツァ」と過ごした仮の拠点である宿を振り返り……ため息をつきながら去っていく───









 トボトボと……



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