第38話 心臓を穿つ存在

「強化、刺突」


俺の魔法で、現われた昆虫の魔物の群れが、死亡する。

魔槍の魔法。

上級魔法だが、十分な威力だ。

延焼等の心配がない事と、手数が多いのが、気に入った。


心臓を穿つ存在デスブリンガーを、触媒無しに発動させているのが理解できないのですが・・・」


ヴァルナが呻く。


「え?千年前の魔王が使っていた魔槍の固有魔法、だよね。ダーリンの固有能力ユニークスキル、一体何なのだろうね」


フィンが興味深げに尋ねる。

邪術はともかく、連続魔法を聞かないのは、他人のスキルを詮索するのがマナー違反だからだろうか。

まあ、魅了チャームのおまけの、ただのダジャレなんだけどね。

恋属魔法、と、連続魔法。


「ただ単に、魔法の連続行使、続く魔法の詠唱破棄、使用コスト無視、後続影響カット、だな」


ちなみに、最初の火球で影響を呼び込み、炎上、持続ダメージ・・・的なものは、最初の火球だけになってしまう。

最初に火の光線を飛ばし、続いて残り5属性投げる魔法は、全部飛んだ。


「・・・凶悪な魔法でも、制約が異常で、上級魔術や中級魔術に分類される物が有ります・・・強力無比の固有能力ユニークスキルですね」


ヴァルナが呆れて言う。

そりゃ、俺だってそれなりだと思うが、ヴァルナは純粋に強いし、レミアやフィンの神器は規格外。

比べると、俺の能力はしょぼ過ぎる。


「それより、マリンのスキルが謎なんだが」


空間収納、商人スキル・・・と、異常な数の汎用スキル、それにステータス異常の完全無効化?


「私のスキルは、生活スキルばかりなので。戦闘能力の無さが情けないですね」


まあ、確かに、俺達に比べたら数段劣る。

一般人と比較すると、多分頭幾つか抜けてるけど。


「フィン、レミア、ヴァルナは、強いスキルが有るのか?」


ふと気になって、尋ねる。


「僕には、固有能力ユニークスキルは無いよ。スキルは、高速詠唱や魔力回復向上、イメージ力強化、王級魔法資質」


フィンが答える。

資質?


「私は、剣のスキルに、体術、王級魔法火の資質だな。同じく、固有能力ユニークスキルは無い」


レミア。

むしろ物理優先か。


「私は各種魔術資質に、幾つかの神級魔法、魔術関連スキルに、武術関連スキルですね。当然、固有能力ユニークスキルは有りません」


ヴァルナが答える。

お前、レベル幾つだよ。


固有能力ユニークスキルって結構レアなんだな。


「あれ」


マリンが小首を傾げる。


「そう言えば、エイコクさんって、どうやって魔法を契約しているんですか?」


マリンが尋ねる。

契約?


「多分、フィンが」

「レミアの城にあった古文書に」


フィンとレミアが同時に喋り、お互いに顔を見合わす。


「そう言えば、どうやってるんでしょうね。人間の間では失伝した筈の魔法も使ってますよね」


ヴァルナが尋ねる。

いや、普通に、


「使用可能な魔法の一覧を出して、説明とか見ながらブックマーク。後は使う時に指定するだけだけど」


「・・・何?」

「え」

「おかしいです」


レミア、フィン、ヴァルナが呻く。

あれ?

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