第32話 何でもします

「反抗のそぶりを見せれば、分かるな?」


「・・・は、はい」


俺は、落ち着いた声音で、淡々と告げる。

魔族は涙目で了承の返事をする。

頷いたり、そういった仕草は無い。

・・・あ、麻痺のせいか?


「今、仲間がお前達の城に向かっている。俺が止めなければ、そのまま・・・」


「お願いです・・・助けて下さい。何でもします」


ん?

今何でもって?


魔族が魅力的な提案をする。

ごくり。


・・・


フィンは興味深そうに見ているが、マリンは半眼になっている。

蔑むような視線が・・・ちょっと興奮する。


ともかく、情報を引き出そう。


まずは、経験値が多い魔物の生息地。

ついでに、魔王軍の状況等。

良し、方針は決まった。

簡潔に、簡潔に。


「良いか、俺達が必要としているものを提供しろ」


「はい・・・宝物でしょうか、情報でしょうか、それとも、私の命や、純潔でしょうか?」


純潔欲しい。


「存在力だ」


「御容赦下さいぃぃぃ!私が何でも致しますぅぅぅ!どうか、どうか部下達はあああああああ!」


経験値が多いメタル的な魔物の住処を教えて欲しかったのだが。

急に泣き始めた。

部下達・・・魔物も自分の部下、という意味か。


だが。


こういう反応をする、ということは、経験値が多い魔物の住処を隠しているという事。


この魔族1体倒したところで、そこまでの経験値にはならないだろう。

此処は・・・揺さぶりをかけねば。


「お前だけで満足できるとは思えないな」


「お願いします!精一杯尽くします!ですから・・・後生です!隷属でも、魂の契約でも、何でも致しますから・・・何卒!」


美人だし、魔族ってレアっぽいし、かなり魅力的では有るが・・・

此処は・・・

妥協しても・・・?


「エイコク殿、そろそろレミアが城につくみたい」


「そうか」


フィンの報告。


「お願いしますぅぅぅ!あの・・・そう、身体が疼いて・・・その・・・ご主人様の・・・その、立派なもので・・・うう・・・」


途切れ途切れに口籠りながら、魔族が懇願してくる。

聞きようによってはエロい内容に聞こえるな。


・・・


従属させた後に情報抜き出せば良いんじゃね?


--


隷属の儀式。

本来は下級の、しかも知能が無い魔物を従えるものだが。


俺の中級魔術の禁呪をベースに、フィンとヴァルナ──魔族の女性の名だ──の補助を得て、行使。

異例の、魔族の隷属化に成功した。

フィンが、学術的に興味深いと言っている。


ヴァルナとの約束通り、レミアには戻ってきて貰う。

元々、ただの偵察だったんだけどな。


「え、存在力を求めているって・・・存在力が多い魔物の住処を教えれば良かったんですかあ?」


ヴァルナが涙目で問い返す。


ヴァルナは、儀式を行いやすくする為に鎧を脱ぎ、アミュレット類も外し、薄着のインナーだけになって座っている。

レミアと同レベルのスタイルの良さ。

エロい。


「それ以外に何だと思ったんだ?」


「あの・・・部下を皆殺しにされるのかと・・・」


「求めているのはお前等の死だ、とか、どんなサイコだよ」


ヴァルナが怯えながらした発言に、俺は半眼で呻く。


そう言えば、昔やったゲームで、敵を攻撃しない様にゲームを進め、相手の大将を仲間にしたら、経験値の為に敵を全滅させた事があったなあ。

仲間になった大将で、元部下の敵を虐殺。

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