第30話 レベル上げ

「そう言う訳で、私もエイコク殿の嫁に立候補する」


朝食の後、レミアが宣言する。

大変美味しい食事だった。


「レミア。ダーリンは僕と結婚する、と決まったんだ。後から言い出して人の婚約者を奪うのは、道義的にどうなの?」


フィンが、呆れた様に言う。


「無論、無理に奪うつもりは無い。そもそも、エイコク殿がどう感じるか、だしな。アピールはさせて貰う、ただそれだけだ」


そのエロい体で色々してくれるのだろうか。


フィンはその・・・綺麗だけど、控え目だ。

マリンは、普通に有るが、まあ、普通だ。

直接見た事は無いけど。


レミアは、直接見た事は無いが、でかい。

直接見た事は無いが、凄く柔らかい。

今度見せて貰おう。


「エイコクさんは、私の料理を気に入って下さってますし。レミアさんは婚約者もおられますし。波を立てるのは如何な物かと・・・」


マリンが言う。

確かに、マリンの料理は美味しい。

元々の料理の腕、日本っぽい調味料、そしてスキル。


「うちにも、料理人はいる。エイコク殿も気に入っていた」


確かに美味かった。

味付けに懐かしさは無いけれど。

後、給餌女性が可愛かった。


「レミア、そのエロい体で誘惑するつもりなの?僕にお預けさせておいて、自分だけって事は無いよね?」


「エロ・・・何を言うか!そんな事する訳が無いだろう!」


一緒にお風呂は入りました。


「私のスキルが、料理や採取だけと思わない事ですね」


マリンがぽそりと言う。

エロいスキルが有るの?


まあ・・・


「俺は確かにレミアには憧れていたし、その体が魅力的なのも認める。でも、今好きなのはフィン、そして、マリンなんだ」


そもそも、2対1なんだよな。


「ダーリン・・・」

「エイコクさん・・・」


フィンとマリンが、嬉しそうに見つめてくる。

可愛い。


「そうか・・・体を使えば・・・」


レミアがぶつぶつ呟く。

やはり魅了チャームを解除した方が・・・


--


「レベルを上げたい」


俺は、そう宣言した。


今も、少しずつはレベルが上がる。

だが、通り道に魔物がいた場合か、進軍中の魔王幹部狙い撃ちか・・・その程度だ。


レベルアップにつれ、ステータスが上がり、敵の動きが少しずつ分かるようになったり、あるき続けても疲れ具合がマシになってきた。

それでも、やはり無理がある。


フィンの護衛を信頼していない訳ではないが、もう少しレベルを上げておきたい。

念の為。


「・・・魔王軍幹部を何人か倒した事で、魔王軍は混乱している。進軍は止まっているから、少しなら余裕があるけど・・・」


フィンが困った様に言う。


「まあ、エイコク殿とマリン殿のレベルを上げておくのは、悪い選択肢では無いが・・・」


レミアも思案気に言う。


「レベル上げは、私も有り難いですね。非戦闘職ですので、レベル上げとは無縁だったので・・・」


マリンも賛成らしい。

圧縮空気の槍で魔物を串刺しにする非戦闘職とは。

水入れて武器にとか、そんなレベルじゃ無かった。


「この近くに魔王軍幹部、魔王の娘、大樹の処女姫ドライアドヴァルナが居た筈だよ。背後で蠢動されては困るし。護衛を全滅させれば存在力稼ぎにもなるし・・・どうかな?」


処女で姫だと・・・?!


「姫・・・?!駄目です、それ絶対フラグですよっ!」


何故かマリンが反対する。


「フラグ・・・?危険を案じていると思うが、安心しろ。確かに敵は強大だが、私とフィンが必ず守る」


レミアが安心させる様に微笑む。

此処で危険な様なら、魔王城なんて行けないしな。


「とりあえず、敵情視察、かな。僕が護衛で残り、ダーリンとマリン殿を護るよ。レミア1人で偵察に行ってくれるかな?」


「了解だ」


フィンの作戦に、レミアが頷く。


「・・・そうですね、近づきさえしなければ・・・」


マリンも頷く。

キミは何の心配をしているんだい?


「そうと決まれば、早速行動しようか。エイコク殿、マリン殿、フィンから離れない様にしてくれ」


レミアはそう告げると、音も無く森の奥へと消えた。

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