第26話 どうしても我慢出来ないなら、私に言え

「エイコク殿、マリン殿は協力者だ。迷惑をかけるな・・・どうしても我慢出来ないなら、私に言え」


レミアが咎める様に言う。


「・・・レミアなら、良いのか?」


ごくり


「ほ、本番は無しだからな」


レミアが言い含めるように言う。


「なら今夜──」


「駄目だよ」


俺がレミアに約束を取り付けようとしたところ、フィンが割り込む。


恨みがましい目でフィンを見るが、逆に睨まれた。

ぐふ。


女性3人が、目で会話。

この性犯罪者をどうしよう、そんな相談をしている様だ。

ぐぬぬ・・・

やはり、暗がりで、1人の時を狙うしか。


ガサッ


突如、草むらから無数の蔦。


ピキ


次の瞬間、フィンの速攻魔法が発動、氷結、霧散。

と言うか、俺は視界に入って初めて気づいたけど、フィンは少し前から何か構えてたし、気づいていたのだろう。


「・・・フィン、またそうやってエロトラップを回避する・・・」


「ごめんね・・・仕方が無いから、埋め合わせは今夜するよ。だから、許して欲しい」


フィンが告げる。

おお?


「駄目だからな?」


レミアのツッコミ。

この、誘ってその気にさせて、別の人が阻止する安定のパターン、やめて欲しい。


がっくり


思わず膝をつく。


「エイコク殿・・・少し休憩しようか」


レミアが困った様に言う。

まあ、そろそろ体力の限界なのは確かだ。


「もう少し行った所から川の音が聞こえるので。そこまで行きましょうか」


マリンが言う。

もう少し後らしい。


--


ガサガサ・・・


マリンが休憩の準備をしていく。

テキパキと。


下草を刈り、枯れ木や枯れ草を集め・・・と言うか、手を伸ばす前と、掴み上げた量が、一致してないような・・・目がおかしくなったのか?


ダンダン


捕まえた魔物を解体していく。

1回切りつける度に、複数の部分に分割する。

目に見えない早さで複数回切っているのだろう。


「素晴らしい手際だな・・・と言うか、太刀筋が見えないんだが。本当に非戦闘職なのか?」


レミアが問う。

レミアに見えないって異常だろう。


「解体スキルが発動して、多目に切れているだけですよ?」


マリンが苦笑して言う。

解体スキル?


「解体スキルって・・・僕も素養は有るけど、取得している人は初めて見たよ。スキルポイントは限られているから、戦闘スキルに振るのが一般的だと思ってた」


フィンが言う。

俺はそんなスキル選択肢出ないんですけど。

と言うか、スキルポイント貴重なら、魅了チャームに振らせてくれ。


「一般市民は、結構取る方いますよ?多分」


マリンが言う。


「さっき、草や枝を集める時に違和感があったが、あれもスキルか?」


レミアが問う。


「はい。採取スキルですね」


庶民派。


「俺、スキル上げる対象が、2つしか無いんだが。増えるのか?」


「いや、スキルポイントを振れないと言う事は、素養が無いと言う事だから。スキルが強力過ぎるせいで、他の素質を犠牲にしたんだろうね」


フィンが思案深げに言う。

くそう。


魅了チャームか中級魔術を上げるしか無いのか・・・」


まあ、他の選択肢があっても、中級魔術上げさせられるんだろうけど。


・・・ひょっとして。


「なあ、マリン。裁縫とか調理スキルも──」


「はい、取っていますよ」


マリンが微笑む。

多分、天性の才能と、スキルが合わさって、誰も届かない領域に行ってるんだろうなあ。


「さて、そろそろできますよ」


「「「早すぎる?!」」」


え、さっき火を起こして、解体してた筈なのに。

いつの間にシチューが出来てるの?!


・・・多分、スキルのせい。

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