第24話 君は血が見たいのか
「返してきなさい」
レミアが、額に手を当てながら、低い声で言う。
「待って欲しい、レミア。これは必要な物だ」
「駄目だ!」
揉めているのは、俺がフィンに貰った防具。
黒獅子シリーズ。
超格好良くて、強いのだけど。
「こんな物を着ていたら、隠形が効果無いだろう!」
レミアが叫ぶ。
格好良いのに。
「皆さん、モヤがかかって認識し辛いのに、エイコクさんだけ鎧が目立ちますね」
マリンが苦笑いして言う。
「あれ、隠形が効いてるの?マリン殿、PTは?」
フィンが小首を傾げる。
「っと、すまない。マリン殿、PT要請を送るぞ」
なんか、ゲームみたい。
そう言えば、PT組んでたな。
レミアとPTを組んだのは、最初の頃、チュートリアル的な時。
そのままだったから忘れてた。
「承諾しまし──」
マリンがそこまで言って、固まる。
どうした?
「フィ・・・・フィン王女様ぁああ?!」
叫び、慌てて跪く。
急にどうした?!
「お、落ち着け、マリン殿。あと、声を落として欲しい」
「レ・・・レミア王女様?!」
流石に少し声の大きさは抑えつつ、マリンが叫ぶ。
「・・・いや、普通に名前呼んでたよな?」
超今更感。
「隠蔽が掛かっていたからね。認識し辛いんだ・・・ただまあ、これからは一緒に冒険する仲間だ。畏まったり、様付けはやめて欲しい」
「分かりました・・・フィン王女」
「王女もやめてね?!」
フィンが指摘する。
流石に王女様とか呼ぶと、隠蔽が剥がれるのかな。
「・・・分かりました、フィンさん・・・」
マリンが言い辛そうに言う。
「敬語もやめてくれ」
「敬語は元からなんですけど?!」
俺の依頼を、マリンが拒否する。
さて・・・
「じゃあ、そろそろ出ようか」
俺が、出口の方に視線やり。
こくり。
フィンが頷く。
「だからその鎧は返してこい」
レミアが突っ込む。
ち。
しぶしぶ、鎧を脱ぐ。
「・・・返す訳にはいかないな。一族郎党処刑するのを、家宝を供出させる事で許したんだ。これを返してしまえば、丸く収まらない。それとも・・・レミア、君は血が見たいの?」
「・・・そう言う発言は卑怯だぞ・・・と言うか、冷静沈着で聡明な君は何処に行ったんだ?数日前からおかしいぞ?」
レミアが困惑した様に言う。
数日前、何かあったっけ?
「とりあえず、返す訳にはいかなそうだし・・・かと言って、着る訳にもいかない。マリン、しまっておいてくれるか?」
「分かりました」
マリンが固有空間に黒獅子シリーズを収納する。
人里離れたら着よう。
「あのなあ、エイコク殿。空間収納は、正しくは空間拡張。容量的には多く持ち運べるが、重量はそのまま負担となる。余計な物は持ち運べないぞ・・・?」
レミアが呆れて言う。
そうなのか、不便だな。
「いえ、入れる容積に限度はありますが、重量は無視できますよ」
マリンが訂正する。
大丈夫らしい。
「流石
フィンが感心して言う。
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