第21話 勧誘
「・・・私が着ている服の事かと思い、思わず返事してしまいましたが・・・間違っていたでしょうか?メイド服、とは何でしょうか?」
マリンが小首を傾げる。
あ、こいつ隠す気だ。
こっそり異世界知識を使うのって卑怯だと思う。
異世界知識。
意外と広まって無いみたいだし、上手く使えば凄い事になるんじゃないだろうか?
「魔王を倒したら、異世界知識を色々使って、革新的な事ができそうだな」
俺が言うと、ぴたり、と、レミア、フィン、マリンが止まる。
レミアが、半眼で言う。
「・・・エイコク殿。伝えていなかったのは私達の手落ちだが・・・異世界知識を使ったり、広めたりするのはやめて欲しい。場合によっては犯罪者扱いで強制送還となるぞ」
ぶっ。
「僕達はあくまで、世界の危機に際して助力を願っているだけだからね。勿論、世界の危機を解決する手段として異世界知識が使えるなら別だけど。お金儲けや生活を豊かにする為に異世界知識を使うのは許されない。僕達が自分で創り出した文化では無い物が混じるし・・・そもそも、不公平になるからね。異世界知識を求めて異世界召喚する者が現れても困るし・・・」
フィンの補足。
「・・・確かに、そうだな。異世界召喚されて、色々教えろとか言われても迷惑だな」
俺が頷く。
「我々も馬鹿ではない。異世界転移者は一応監視しているし、異世界知識を引き出そうとする者がいないかも密かに監視している。もし異世界知識を使って頭角を現す者がいれば・・・すぐに摘発されるだろう」
レミアが重々しく言う。
パクリ、とバニラアイスを食べ、顔を綻ばせる。
それも異世界知識の産物だからな?
「我々、庶民が地道にやっているのに・・・楽して儲けようとする方は許せないですね」
マリンが悲痛な声で言う。
お前が言うな。
「異世界転移者じゃなく、異世界転生者で前世記憶保持者はどうなんだ?」
マークはしにくそうだが。
レミアは頭を振ると、
「有り得ないな。まず異世界からの転生が極めて稀、加えて、転生時に前世の記憶を継承する事も稀。合わせて起きる確率は非現実的だ。つまり、警戒の必要は無い」
そう告げる。
確率的に無いからって、俺が邪術士引き当てたのを見逃したのに。
その経験から何も学んでいないらしい。
「うむ・・・非常に美味かった。この料理も、全てそなたが考えたのか?」
「いえ・・・実は、服のデザインも、お店のレイアウトも、独特の挨拶も、料理も・・・全て旅人さんや冒険者さんから聞いたものばかりなんです」
マリンが恥ずかしそうに言う。
誤魔化しモードに入りやがった。
「なるほど・・・確かに、旅人や冒険者の話は色々面白い可能性が眠っているね」
フィンが頷く。
マリンかあ・・・多分、転生者ならチートスキルとか色々あって強いのかな。
良し。
「マリンさん・・・実は俺達はとある重要な任務の途中でね・・・料理が上手い人がいると助かる。ついてきてくれないか?」
「「エイコク殿?!」」
レミアとフィンが驚きの声をあげる。
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