第18話 A級冒険者
「すみません、ちょっと良いかな?」
「はい、何でしょうか、ご主人様?」
最初に呼び込みをしていたメイドさんに声をかける。
メイドさんが寄ってくる。
「此処のメニューは独自の物が多い様だが、このメニューは一体?」
「はい、昔から色々な料理を考えるのが好きなんです」
この娘が考えた、か。
・・・この娘が怪しい。
そう言えば・・・城に居たときも、メイドは居なかったな。
「その服装も、店に呼び込む挨拶も、独特だよね?」
「はい、昔から色々考えるのが好きなんです」
メイドさんが微笑む。
まあ、まず間違い無いんだろうな。
昔から、という事は、かなり昔に来たか・・・もしくは、転生者か。
此処で泊まるのも面白いかも知れない。
にしても、日本の文化って結構流入しているんだろうか?
ややあって、ステーキの乗ったカレーが運ばれてくる。
多分、ビーフではないけど。
美味い。
久々に食べたが、そもそも、普通にカレーとしての完成度が高い。
肉は・・・何だろう。
分からないが、美味い。
美味しくカレーを頂いていると、
ザッ
高級そうな身なりの男達が、店に入ってきた。
「お帰りなさいませ、ご主人様~」
メイドさんが挨拶するが・・・
「おや、気が早いな。もう商談成立かい?」
先頭の男が言い、
「いえ、これがこの店の挨拶ですね。残念ながら何度騙されたか」
後ろの男が答える。
商談?
「おい、責任者を呼べ」
男が言うと、気弱そうな男性が出てくる。
「フロスガルさん・・・困ります・・・」
気弱そうな男性が、そう告げる。
「トマリギ殿、この前の話、考えて貰えたかな?」
「すみません、やはり私共は、細々とやって行くのが性に合っておりまして・・・」
傘下に入れ、とか、そういう勧誘だろうか?
「しかしだね、トマリギ殿・・・この物騒なご時世、個人経営では、いつ無法者に酷い目に遭わされるか・・・我々は団結しなければ、この先やっていけないのだよ?」
「はあ・・・しかしですね・・・」
何やらやりとりをしている。
まあ、魔王領に近い場所での経営なら、ごろつきもいるの、かな。
男達が去ってから・・・荒っぽい格好の冒険者達が入ってくる。
「おい、酒を出せ」
「食う物を持ってこい」
口々に言うと、一角に陣取り・・・
罵声を飛ばし、メイドさん達に手を伸ばし・・・
実演、か。
仕方が無い、俺がちょこっと活躍して──
チャキ
隅で飲んでいた優男が、いつの間にか男達のテーブルに行くと、騒いでいた男に細剣を突きつけた。
先を越された。
「私のお気に入りの場所を乱すとは・・・何のつもりかな?」
優男が優しく尋ねる。
が、細剣に迷いが無い。
多分、相当な使い手だ。
「何だ貴様は?俺の事を知らないんじゃないだろうな?A級冒険者、ジゴロ様だぞ?」
「・・・知らないな。A級冒険者は全て把握している筈だが・・・」
優男が困った様に言う。
「先に剣を抜いたのはお前だ。悪いが・・・怪我して貰うぞ」
別の男も立つ。
アイツも強そうだが・・・多分、優男の方が強いな。
メイド達はおろおろしている。
喧嘩になるのも困るが・・・多分優男の方は常連で・・・日常茶飯事、って訳でも無いのだろうか?
「おい、喧嘩か?いかんなあ」
別の男が入って来る。
途端、優男が絶句・・・そして叫ぶ。
「なっ?!」
そこまで強そうに見えないけど・・・実はA級冒険者より更に強いのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます