第14話 幕間(レミア1)

####### レミア視点


何をやっているんだ、私は。

何をイライラしている?

イライラしている?


分かっている。

これは、『』だ。

自分が持つとは想像もしなかった感情。


愛属チャーム

他人の感情を捏造する、最低最悪の邪法。

危険極まりない。

平時であれば、最優先で送還・・・いや、流石に邪眼士の方を優先するが。


恋愛感情。

かつて、憧れた物。

手に入れようと、レック王子と試行錯誤したり・・・努力しても適わなかった物。

だが今は・・・一刻も早く、解放されたい。

ただただ、苦しい。

自分が自分で無くなる。

それが、偽りの感情なのが・・・本当に恐ろしい。

恋の病、とは良く言った物だ。

重病を抱えて戦っている状況だ・・・だが・・・


神器の力を発揮するには必要な感情であり。

そして。

神器を抜きにしても、勇気や、魔力、その他・・・様々な力を得ている気がする。

考える事が増えたし、知らなかった自分の事もたくさん知った。

今まで見てきた景色が、新鮮な物に見えた。

エイコク殿とやり取り・・・今までの人生全てが錆びていた様に感じる程・・・幸せだ。

恋愛感情は、本当に恐ろしい感情だ。


戦力的理由、そして、自分の抑制と護身の為、幼馴染を巻き込む事にした。

幼馴染、フィンは、恋愛感情に強い学術的興味が有る。

世界を救う大義もある。

きっと協力してくれるだろう。


予想外だったのは、私が逡巡していた、王族との婚姻の褒賞の件に手を挙げた事。

状況によっては、私が手を挙げる必要が有るかとも考えていたのだが・・・私には婚姻を結ぶべき人が居る。

だからこれは、非常に都合が良い状況。


だが・・・フィンなら、感情は完全に理性の支配化に置いている。

偽りの感情に流される事は有り得ない。

あの演技力は舌を巻くが・・・


・・・答えは、最初にフィンが言った通りだろう。

英雄に対して、王族の地位や王族との婚姻。

そしてこの世界に強い力を取り込む事。

誰かがやる必要が有り。

そして、私がそれを逃れようとしている。

だから、手を挙げたのだ。


フィンのあの態度も、行動も、全て論理的思考の結果。

打算と、知識の、発現。

エイコク殿を喜ばせ、そして報いる為の。


なのに。


何故自分はと思ったのか。

何故自分はと思ったのか。


さっきもそうだ。

どうして、フィンとエイコク殿の行為をいたのか。

、フィンとエイコク殿の行為を止めたのか。


フィンが聡明で、完璧なのは良く知っている。

魔王討伐に影響が出る様な事態になる事は有り得ない。



私は、自分が恐ろしい。

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