第11話 理路整然

「・・・なあ、フィン、そしてエイコク殿・・・我々は魔王討伐の大任に有る・・・その・・・そういった行為は、魔王を倒した後でも良いと思うのだ・・・そう時間がかかる者でも無いだろう?その・・・できたら、どうするのだ?」


「う・・・」


フィンがたじろぐ。


「お風呂・・・一緒に入るとかまでなら・・・」


「駄目に決まっているだろ?!」


え、やったよね?


「そなたも、将来は他国の王族や貴族と婚姻をするのだろ・・・その身を汚せば、その時、どうやって相手に顔向けするのだ?!」


「僕は婚約者は居ないよ?だからダーリンと結婚するから大丈夫。魔王討伐の貢献者・・・この世界としても、最大の褒賞で報いないと。大国の王女と、その王座、もしくは王配。妥当な褒賞じゃないかな?」


・・・ですよね。

金品と貴族の地位、とかそんなレベルで済ませたら悲しいですよね。


「だ、駄目だ駄目だ!」


「・・・え、何で駄目なんだ?」

「どうして駄目なの?」


思わず声に出して問うが、フィンも同じ気持ちのようだ。


「・・・いや・・・そのだな・・・エイコク殿、そなたは良いのか?!」


「・・・こんな美人で・・・しかも、地位も名誉もくれるって・・・悪い話じゃないと思うけど・・・いや、地位はいらないけど・・・ああ、王配でも良いって言ってくれてるし・・・」


至れり尽くせり。


「な・・・そなたは私の事を・・・?!」


「・・・いや、だから、レミアは婚約者と結婚するんだろ・・・?」


何か混乱しているな。

1回、レミアの愛属チャームを解除した方が良いんだろうか・・・?


「フィン・・・そなた・・・それは、愛属チャームによる偽りの気持ちなのだぞ?!一時の偽りの感情に・・・身を任せるとは愚かではないか?!」


「レミア・・・世界を救った英雄に、報いる褒賞として、王女との結婚は妥当・・・我が世界としても、優秀な血を得られるし・・・それに・・・偽りでも、これは私達が憧れていた感情・・・それを経験出来ただけでも、ダーリンには感謝の術が無い」


「とにかく・・・今日は帰ってくれ。明日も早く出発する必要が有る・・・とにかく早く寝なければ」


レミアがそう主張するが・・・


「いや、レミア。もう合流したんだし、フィンも一緒に泊まって、朝一緒に出た方が早いだろ?」


「エイコク殿、お前はどっちの味方なんだ?!」


待って。

別にフィンとは敵対関係じゃ無い。


「・・・とにかく、フィン、よろしくな。レミアも。明日に備えて、寝よう」


結局、フィンとレミアに挟まれて寝るという夢の様な状況になって、あまり眠れなかった。

ベッドに潜り込んできたフィンを、レミアが監視すると言い出した為だ。


ちなみに、一緒にお風呂はレミアに阻止された。


--


「怪しいな」


レミアが、酒場で聞いた話に、引っかかったようだ。


「黒、だろうね」


フィンも頷く。


近くの塔に魔術師が住み着いた。

家畜が居なくなる事件が発生。

そして、住民、特に子供の行方不明が発生。

調査に向かった冒険者が戻って来ない。


なるべく目立たない様にはしているのだが・・・地域の手に余る事件や、魔王軍の影が見え隠れする事件には、首を突っ込んでいる。


依頼を受けずに解決するので、報酬は貰えないが・・・2人共王族、お金には困らない。俺も贅沢させて貰っている。


魔道士の塔、かあ。

エロトラップでも有れば良いのだけど。

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