第4話 報酬がお姫様との結婚という幻想
ぱから、ぱから
街道を行く。
馬に乗って。
理想は、目立たずに魔王領に入り、魔王を闇討ちする事だ。
可能な限り、神器の復活を知られたくない、との事だ。
その為、馬で、お供も連れない、2人だけの旅。
「炎の刃よ!」
レミアが馬上から放った魔法が、オーガーをあっさり焼失させる。
本来ならかなりの強敵なんだろうなあ。
目立たない服装はしているが、中に着込んでいるのは超高額レアアイテムばかり。
最大限の配慮はしてくれている。
資金や宝石もたっぷりと貰っている・・・レミアが管理しているけど。
夜。
宿屋にて。
拒否するレミアを言いくるめ・・・同じ部屋にする事に成功した。
そして今、同じベッドに腰掛け。
「ち・・・近い・・・エイコク殿・・・」
「まあまあ、そう言わず・・・嫌では無いんだろう?」
就寝前の薄着の格好。
肌は紅潮し、汗ばんでいる。
戦闘時、武装した状態で気が張っている状態と・・・風呂上がり、寝間着での無防備な状態・・・同じ魔法効果でも、耐える難易度は桁違いの筈だ。
そっとレミアの首に手を回す。
「ひ?!」
涙を流すレミア。
「こ・・・困ります、エイコク殿!」
「まあ、報酬の前金、とでも思って欲しい・・・レミアも期待してたんじゃないのか?」
レミアは、抵抗はしていない。
それどころか、力無くではあるが・・・俺に体重を寄せてきている。
そっと唇に──
「駄目です!」
レミアが強い力で俺を押しのける。
く・・・
「すみません・・・でも・・・」
レミアが涙目で俺を見上げ、
「これ以上されたら・・・私は自分を抑えられません。私は貴方が好きで堪らないのですよ」
恨みがましい目で見てくる。
「なら、俺に任せてくれれば・・・」
そっとレミアに手を伸ばすが、
「駄目です・・・私は自分を抑えられません・・・でも・・・私はまだ子を為す訳にはいかないんです・・・魔王を・・・魔王を倒すまで待って下さい」
く・・・お預けなんて・・・
「なら、せめて見たり触ったりだけでも・・・」
「・・・私が我慢できなくなると言ってるんです!」
レミアが真っ赤な顔で叫ぶ。
く・・・
「魔王を倒した際の報酬は、レミアとの婚姻か・・・」
俺が呻くと、レミアは困惑した様に、
「・・・婚姻、ですか?エイコク殿は、元の世界に帰られるのでは」
「いや、俺はこの世界に残って、英雄として君臨させて貰うつもりだ」
「・・・そう・・・ですか・・・」
レミアは目を伏せ、
「褒賞や地位は、望みの物を用意します。望むなら、この体も自由にして構いません・・・ただ・・・」
レミアは顔を上げると、
「魔術は解除して頂きたいのと・・・婚姻は許して下さい。私には許嫁がいて・・・国の為には、その許嫁と婚姻を結ぶ事が必要なのです」
寝取られ来た?!
「あの・・・私以外の貴族で、見目麗しい者であれば、幾らでも用意致します。すみません・・・」
ぺこぺこ頭を下げるレミア。
・・・
魔王討伐まではレミアに手を出すな。
そして、討伐してもレミアは別の男性の元に嫁ぐ。
何これ、酷すぎる。
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