金曜日

 次の日。


「おはよう」


「…………おはよう」


 僕は、昨日起こったことを、毎日相談を続けてきた彼に全て話した。


 周りの手袋たちの情報も特に何もなかったし、もはやそんなものは要らなかった。



 手袋にできることなんて、こんなもの。


 実際のところは、何の役にも立たないんだ――






 そして、タイムリミットが来た。


 僕はその日、意気消沈して、持ち主の家に帰ってきた。



 ドン、ドン、と、階段を上っていく音が聞こえる。


 ……あぁ、今日は、持ち主の部屋まで行くのか。



 ……あの片方しかない手袋を、また今日も、見なきゃいけないのか。


 僕は、机の上に置かれてしばらく、その場所を見ないようにしていた。放心しきって、ただただボーっとしていた。






 ……どれくらい時間が経っただろうか。僕は、何も考えずにふとあの手袋の方を見た。






 ……するとそこには、両手が揃ったあの手袋があった。



「あれ? どうして?」

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