第183話この意なんの意6


「あううう」


 我が家の風呂は……広い。


 三人くらいなら、普通に入れる。


 僕と夏美だけなら余裕だ。


 ちなみに水着着用で。


「ふーむ」


 しげしげと観察。


「あううう」


 本当に赤くなった夏美の愛らしいコトよ。


 純情。


 処女。


 乙女。


 何とでも言えるけど、その美しさの無謬性は、人類がいと見出すことだろう。


 彫刻の技量は、僕にはないけど。


「お尻は大きいね」


「言わないで!」


 真っ赤な顔で、猛抗議。


「本当に!」


 ガルル、と、ワンコが威嚇する。


「おっぱいに脂肪が行かないんだよ!」


「いいじゃん」


 実際に、お腹にも行ってないみたいだし。


 胸が無いくらいは、許容の内だ。


「春雉はエッチだよぉ」


「自分から仕掛けておいて」


「そうだけど……」


「今日は泊まって行けよ」


「いいの?」


「そりゃもちろん」


 ワシャワシャ、と、夏美は洗髪してくれた。


 身体は自分で洗います。


 風呂に浸かって、


「ふい」


 と吐息。


 今度は夏美が洗体。


 ただし自分で。


 まぁそこはお察しください。


「ふえゆぅ」


 どこの言葉だ。


「春雉は……お尻好き?」


「大好き」


 サムズアップでキメキメ。


 口の端が閃く。


「……エッチ」


「おまいう」


 まさにコレ。


「秋子ちゃんのおっぱいが欲しい」


「豊胸手術はするなよ」


「そりゃしないけど」


「牛乳を飲め」


「飲んでるよぅ」


 あ。


 飲んでいらっしゃるのね。


 自然の帰結か。


 そして二人で、ザブンと入浴。


 身体を重ね合わせるように。


「春雉が私を選んでくれたの……とても嬉しい」


「僕も嬉しい」


「こんな幸せで良いのかな?」


「その内慣れるよ」


「新鮮さを求めていこう」


「僕としては保守主義なんだけどな」


「革新技術を持っておいて?」


 それを言われると辛いけど。


 でもアレが無ければ、僕と秋子と量子は、バラバラに成っていた。


 そして公爵とも知り合えず、夏美とも邂逅できなかったわけだ。


「運命?」


「偶然と個々の意志の集積を、普通はそう呼ぶね」


「捻くれてる」


「真っ当な人間じゃないさ」


 何時だって、風刺的なイギリス紳士。


「にしても」


「にしても?」


「夏美のお尻は刺激的」


 夏美が、僕の胸に、背中を預ける形。


 であれば、夏美のお尻の位置にあるのは……さてなんでしょう。


「変なことしないでね?」


「自制自重します」


「よろしい」


「尻神様よ」


「宣戦布告と受け取っても?」


「ベッドで一勝負……か」


「ぐ……」


 盛大に墓穴を掘る夏美でした。


「ぐうかわ!」


 ギュッと背中から抱きしめる。


「愛されてる」


「愛してる」


「本当に?」


「心から全て」


「証明は?」


「ニューロンマップを見せようか?」


「そう来るかー」


 偽りない証拠のはずだけど。


「いや、普通の人にはわかんないから」


「そんなものかな?」


「本当に春雉はブッ飛びすぎ」


「おかげで夏美と出会えたんだから収支は黒字」


「どんだけ好きなの!」


「三千世界で一等賞」


「……うぅ~」


「は~、可愛すぎ……」


 さらに強く抱きしめる。


 愛しい人が、胸の中に居る。


 それを二人の僕が、同一に共有し、尊重するところ。


 クオリアあればこそ…………人は、愛を囁けるのだから。








FIN


――special thanks to 読者さま&景空さま



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