第180話この意なんの意3


「うまい」


「おいしいですね」


「おいしい!」


「うまうま」


「恐縮です」


 あはは、と秋子の照れ笑い。


 ソーキそばが、身体に染み入る。


 出汁もまた格別だ。


「良いお嫁さんになるな」


「雉ちゃんの?」


「僕には夏美がいるから」


「ふえ……」


 照れる夏美。


 超かわ。


「可愛いなぁ可愛いなぁ」


 僕も自然、笑みが浮かんだ。


「ラブラブすぎ!」


「ラブラブだし」


 秋子の不満、なんのその。


「私とはどうなるの」


「どうもならない」


 量子は、人工知能だし。


「じゃあ夏美」


 とはアリス。


「はい?」


「我が家に所属して、ウィータを引っ張ってくれない?」


「あう」


「…………」


 本人の目の前で言うことか。


 いやアリスなら納得だけど。


 天衣無縫の同級生だ。


 ツッコむだけ、無駄だろう。


「秋子も一緒に」


「私も……良いの?」


「財閥の関係者なら、愛人くらい何人も囲むモノだし」


 怖い。


 財閥怖い。


 そして性病も怖い。


「ウィータはとりあえず童貞を捨てるところから始めるべき!」


「絶対年齢偽ってるでしょキミ」


 アリスは、耳年増だった。


「雉ちゃんの……愛人」


「先にも言ったけど……」


 とは、ラブリー夏美。


「私は他の恋人も認めますよ」


「寂しいこと言ってくれるねシニョリーナ」


「いや、その、春雉を軽んじてるわけじゃないけど……」


「後から参入して、秋子と量子とアリスに申し訳ない……かな?」


「……………………です」


「そういう奥ゆかしさが好みだよ」


「えへへ」


 頬を赤らめる夏美でした。


 萌え。


「…………」


「…………」


「…………」


 他の三人が、半眼で睨んでました。


「ソーキそばが美味しいね」


「その躱し方はない」


「三十六点」


「ウィータはアルルカンだね」


 知ってるけども。


「生まれの業だよ」


「それで自意識生み出せるんだから何だかなぁ」


「でも自意識ないと、ソーキそばは楽しめないし」


 真っ当な結論だ。


 哲学的ゾンビでも、


「美味しい」


 くらいは言えるけど、


「実体験の感想」


 は、また別の項目。


 そばをズビビ。


 スープを飲み干して、


「馳走様」


 パンと一拍。


 それから、昼餉が終わる。


 量子は、仕事で消えた。


 僕らは、食後のまったり。


 別にオドは逃げないので、焦る必要もない。


 空調の効いた部屋で、ホケーッと茶を飲み、アニメを見る。


 夏美と秋子は、家の掃除。


 土井さん家の掃除の秘訣を、姑が嫁に教える構図。


 こういう意味で、秋子には頭が上がらない。


「良い子だね」


「まったく」


 僕には勿体ない。


「ウィータは本当に秋子を何とも思ってないの?」


 えーと。


「おっぱい揉みしだきたい程度は」


「出来るよ?」


「いやー、出来んでしょ」


「別に結婚が全てじゃないし」


「その間違った恋愛観はどうにかならない」


「良いと思うんだけどなぁ」


 司令官か。


「私に良い考えがある」


 的な。


 だいたい碌でもなかったり。


 アリスの思惑も、わからんじゃないけど。

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