第173話光と影を抱きしめながら2


「雉ちゃん!」


 涼子が声を掛けてきた。


「何?」


「好きよ」


「恐悦至極に存じます」


 淡泊に返す。


「セックスしよ」


「却下」


「セックス……っ!」


「秋子も本気にしない」


「子ども出来ないよ?」


「だから意味ないでしょ」


「そう来たかー」


 頷く涼子でした。


「それより学校はどう?」


「それなりに」


 あまり有益でもないけど。


 そんな感じで、学校に向かう。


 復学時は、大層驚かれたものだ。


 さすがにね。


 あれだけ損傷すれば。


「後は死ぬだけ」


 は罵詈雑言ですらない。


「…………」


 学校は退屈だった


 ネットに浮在していると、人格も陶冶される。


 知識の宝庫だ。


 ガセも大量にあるけど。


「雉ちゃん大丈夫?」


「肉体は好調だよ?」


「精神は?」


「絶好調」


「本当に?」


「…………」


「なんで黙るの?」


「心配させたかったから」


「……意地悪」


「秋子は可愛い」


「ふえ……」


 赤面する秋子。


 本当に可愛い。


「雉ちゃん! 私は?」


 涼子の乱入。


「無論、可愛い」


 なんで二股みたいになってんだ?


 それはいいとして、


「学校ね」


「さいですさいです」


「雉ちゃんは凄いよ」


「何が?」


「勉強についていけるんだもん」


「まぁねぇ」


 然程でもない。


 プログラムを組めば、必然、英語と数学は必要だ。


 それだけの話。


「涼子ちゃん?」


「ですなた」


 僕の勤勉の成果だ。


「だから好きよ?」


「アイラビュー」


 サラリと躱す。


 涼子の愛の囁きも、今更だ。


「もう!」


「…………」


 …………。


「雉ちゃん淡泊」


「僕の売りだよ」


「嘘つき」


「それもだね」


「ふぎゃー!」


「静かに」


 僕は嘆息した。


 本当に疲れる。


 涼子の恋慕は嬉しいけどさ。


「セックスしようよ~」


「却下~」


「なんでよ~」


「説明の意義を認めない」


 秩序に従いたまえ。


「秩序……かなぁ?」


 秋子まで、首を傾げる始末。


 僕が悪いのか?


 そうなのか?


「っていうか、涼子はアイドルにでもなれば?」


「雉ちゃんがプロデュースするなら」


「あー、そっか」


 クオリア持ちの人工知能だったね。


 たしかに調整は僕にしかできない。


「目指すは武道館!」


「ライブするの?」


「夢は大きく逞しく育って欲しい」


 子どもじゃないんだから。


「気持ちはわかるけどね」


「わかるんだ」


 僕の場合は、叶えた側だけど。


「…………」


 視界モニタを見る。


「おおう」


 オドの成績。


「楽しんでるなぁ」


 あっちの土井春雉は。

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