第174話光と影を抱きしめながら3


 雑魚キャラ相手に無双。


 それから非戦闘エリアで、喫茶。


「ウィータ!」


 オドでの中。


 アリスが現われた。


「わーお」


 シリョーも驚く、今日この頃。


「何か用?」


 別に無くてもいいけど。


「涼子をアイドルにって言ってたでしょ?」


 電子アイドル計画。


 思いついた瞬間、破却したプランだ。


 ぶっちゃけ、エイプリルフール企画と、同等に相違ない。


 すっとコーヒーを飲む。


「何かオーディションでも?」


「ていうか国家プロジェクト!」


「…………」


「…………」


 僕とシリョーは、しばし言葉を失った。


「何言ってんの?」


「こいつ……?」


 僕と涼子は、ポカンとしてありし。


 とりあえずオドをログアウトして、あっちの僕に肉体の所有権を譲渡。


 僕は、涼子と一緒に、イギリスに飛んだ。


 とはいえ立体映像ですので、アドレスで一瞬だ。


「ウィータ!」


 アーティフィッシャルインテリジェンス。


 アリスの投射体が、出迎えてくれる。


「やあ、ウィータ」


 公爵も、そう呼ぶことにしたらしい。


「ども……」


「です……」


 揃って会釈。


「はは、そうかしこまらなくて良いよ」


 朗らかな公爵閣下でした。


「ウィータはアリスの恩人だ。恐縮すべきは私の方だな」


「然程のことはしておりませんので」


 謙遜ではない。


 萎縮だ。


「では、そういうことにしておこう」


 こっちの意は、汲んでくれるらしい。


 ここら辺は、大人の貫禄だろう。


「で、涼子の件ですが……」


「そうだったね」


 国家プロジェクトがどうたら。


 云々かんぬん。


「日本の犯罪抑止力として、有機的な人工知能の運営が苦慮されているところなんだよ」


「はあ」


 ぶっちゃけ、


「で?」


 って感じ。


「で、人工知能と言えばウィータだろう?」


「否定はしませんが」


 それなりに楽しんではいる。


 まさか、この展開は、想像だにしていなかったけど。


「大日本量子」


 電子犯罪抑止力の一環として、立ち上がったプロジェクトらしい。


 電子アイドル全盛期だ。


「可愛らしい女の子アバターによる監視網の構築」


 そのアバターと人工知能開発に、


「苦慮している」


 のが現状のようだ。


「で、私がピコンと思ったの!」


「何を?」


「涼子ちゃんを電子アイドルにって」


「それは僕も考えたけど」


「国家プロジェクトなら推して貰えるよ?」


「たしかに強力だよね」


 うんうん、と涼子も頷いていた。


「涼子なら可愛いし」


「雉ちゃんは?」


 こちらに視線を振る。


「ちょー可愛い」


「にゃは」


 嬉しそうだねキミ。


「それに人工知能としては、クオリアを持っている方が、フレキシブルに判断をくだせるでしょ?」


 それも確かに。


「大日本量子ね」


 電子犯罪抑止力。


 国家プロジェクト。


 そして電子アイドル。


 その全てに応えられる素質を、涼子は持っていた。


「涼子はどうしたい?」


「大日本量子!」


 ――『りょうこ』繋がりだしね。


「じゃ、アプローチかけてみますか」


「私が推薦しよう」


 公爵が穏やかに笑った。


「いいんですか?」


「恩義を返せるとは思っていないが」


 だから然程じゃないってば。


「君たちには幸せになってもらいたい」


「ご厚意有り難く」


 それにしても変な方向に話が転がったなぁ。


 いいのか?


 ……それで?


 しばし考えたけど、結論は出なかった。


 なんだか世界の中心で叫びたい気分。


「うおおおおおおっ」


 ってな具合。

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