第19話オーバードライブオンライン4


 で、


「じゃあ仕切り直しといこうか」


 僕が言う。


 手には短刀グラム。


「フォトンブレード」


 必殺技の名を呼ぶ。


 フォトンブレードの効果によって光の刀身が現れてヒット判定が伸びる。


 だいたい五メートル前後。


 グラムに備わっている必殺技だ。


 レアアイテムには時折レベルアップボーナスの他に必殺技を使えるようになる品があったりする。


 グラムもその一つと云うわけだ。


 そして数多あるグラムの必殺技の中でもフォトンブレードは実に使いやすいソレだ。


 そして、


「おお……!」


 僕はゴブリンの群れに特攻する。


 オーバードライブシステムによって十倍近い身体能力を発現し、僕はゴブリンの群れを次々に屠っていく。


「すご……!」


「さすがハイドちゃん」


 そして特攻している僕をコキアとミツナが援護する。


 コキアは、


「マジカルショット!」


 と呪文を唱えてゴブリンに純粋魔力の衝撃を与える。


 ミツナは、


「えい!」


 と掛け声一つ。


 銃の引き金を引いてゴブリンを銃殺する。


 ちなみにマスケット銃だ。


 もっとも現実と違ってオドでは自動的に装填が為されるため連続して銃撃を放てはするんだけど。


 魔法と銃による遠距離攻撃。


 それがコキアとミツナの恐怖を和らげていた。


 もっと言えば罪悪感を薄くしていた。


 VRゲーム……とくにアクションやロープレは、


「子どもに命の価値を軽くさせる効果を秘めている」


 という議論がなされる。


 実際VRゲームと現実を混同して狂気に陥る子どもの例もある。


 だけど敵キャラに対して恐怖を持っている内は大丈夫だろう。


 コキアにしろミツナにしろ。


 僕たちはグループを組んでいた。


 そうすることで経験値を分散できるのだ。


 実際狩りを行なうことでコキアとミツナはレベル5まで上がっていた。


「この……」


 とこれはミツナ。


「ステータスポイント……ですっけ?」


 だね。


「どう使えばいいんです?」


「ステータスに振り分けるんだよ」


 他にどういった意味がある?


「ミツナはリアーだからフィジアタかボスディに振り分けて。コキアはウィザードだからマジアタかボスディに振り分けるのが懸命だね」


「フィジアタ?」


「マジアタ?」


 そこからか。


「フィジアタはフィジカルアタックの略。マジアタはマジックアタックの略」


「?」


「?」


 理解してないらしい。


「…………はぁ」


 嘆息。


「つまるところフィジアタは物理攻撃力に影響してマジアタは魔法攻撃力に影響するってこと……」


「なるほど」


「なるへそ」


 これくらいわかりそうなものなんだけど……。


 それがわからないから僕を師事してるんだろうけどさ。


「ボスディっていうのは?」


「ボースディフェンスの略」


 再度嘆息。


「ボースディフェンスはフィジカルディフェンスとマジックディフェンスを両立させる防御ステータスなの。その分フィジディやマジディに比べて目減りはするけどね」


 なんで僕はこんな基礎的なことを説明しているんだろう?


 三度嘆息。


「とりあえずコキアはマジアタを……ミツナはフィジアタを……それぞれ高めるのが良いと思う」


「では」


「その様に」


 二人は攻撃力にステータスポイントをまわすのだった。


「ん」


 良かれ良かれ。


 さらにモンスターがポップする。


 僕が殲滅する。


「あの……」


 と、これはミツナ。


「ハイドは強すぎませんか?」


 だろうね。


 至極道理だ。


「レベル52ともなればそんなに強くなれるものなんですか?」


 ちょっと違う。


「僕の……ハイドのレベルは952だから」


「きゅうひゃ……っ!」


 絶句するミツナ。


 さもあろう。


 しかして僕にとっては当然の理だ。


 レベル限界突破アイテムも高レベルのシーフなら簡単に集められる。


 そしてある理由で自動的に経験値を集められる。


 ならばこのレベルは必然だ。


 少なくとも僕にとっては。

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