第41話序章に過ぎない


「さぁ!早く逃げないと、炎に飲まれますよ!」

「やめろ!落ち着きなさい、私が相談に乗ろう!」

「はっ、一度も名前を呼んでくれなかったクセに、今更親気取りですか?いい御身分ですね!」



さぁ、始めよう。


私の復讐を。







あるところに、1人の王女様がりました。

王女様がいる国は、大陸は、魔法が盛んで、魔力が高い者は崇められ、少ない者は貶される毎日でした。


王女様はなんと不幸なことか、魔力が少ない者でした。


緩めな目元。少し低めの鼻。


お世辞にも可愛い、や綺麗、などとは言えない、けれど、そこまで醜くくもない、そんな容姿を持っていました。


王女様は魔力が少ないが故に、愛されない生を送っていました。



『どうしてわたしをあいしてくれないの?』



王女様は小さいながら、とても聡明な子どもでした。

王女様は頑張りました。


愛されるように。

褒められるように。


魔法がダメなら、勉学を頑張り。

マナーがダメなら、ダンスを頑張る。



王女様はやがて、古代語も解読できるようになりました。

褒めてくれるのは、知らない他人ばかり。



本当に褒めて欲しい人たちには、褒めてもらえませんでした。

しばらくして、王女様の周りには人がいなくなりました。


愛想笑いばかりを浮かべる王女様を、皆気味悪がったからです。


王女様はそれからまたしばらくして





薬をたくさん飲んで、シンデシマイマシタ。














「うぐぁぁぁぁぁ〜〜!!!!」

「変な声、上げないでくださいッ!」

「うぐぉぉぉぉぉ〜〜〜!!!!」


「「……」」


(↑アル、ルキ。男2人組で気まずそうに廊下で待つ図)



「うふわぁぁぁぁぁ〜〜!!!!」

「アホな声をあげるな、です!!」



ど、どうもっ、ハレイシア・レイ・リースレットですっ。


ただ今私は、コルセットに苦しめられていますっ、うぐっ!



「アメジスト〜!もうやめてぇぇぇぇ〜!」

「静かにしやがれ〜!!」



んなに締めなくても、もうドレス入るでしょうが!!



「ふぅ、これぐらいでしょうか」

「も、もう、食事入んない…」



うぅ、パーティーの食事、楽しみにしてたのに…ひどいわ。アメジスト。



「あ、雨…」

「あ………本当、ですね」

「?どうかしたの?」

「いえ、雨はあまり良い思い出がなくて」



そうなんだ。なんだろな。嫌な思い出なのかな。



ーーーッ雨!!!



「いっつ…」

「姫さま?」

「あ、ううん、何でもない」



雨?雨って誰だろ。人?名前?カンジって何?


ダメ。ダメだ。今からパーティー。王女スイッチ入れなきゃ。



「はい、髪のセットも終わりましたよ」

「今日は耳のとこだけ三つ編みで、ほか下ろすの?」

「はい。あまりにガチガチすぎると、姫さまが嫌がると思うので」



流石アメジスト。よくわかってる。



「さ、アルと王太子殿下がお待ちです」

「行こう行こう」



ガチャッ


「兄様!アル!お待たせ!」

「とても綺麗じゃないか!ハレイ!」

「姫さま、とてもお美しいです」



そう言いながら、アメジストに目線が行ってるぞー、アルー。



「じゃ、僕がエス「あ、ハレイちゃーん!」えっ」

「!、サンディー!」



サンディーだ!



「どうしたの?」

「んー?ハレイちゃんをエスコートしようと思って」

「本当!?」



友達、第二号!


サンディー、超優しい!



「じゃ、じゃあ…よろしくお願いしますわ。サンディー様」

「えっと…こちらです。ハレイシア姫」



2人で、少しぎこちなくだけれど、エスコートをし合う。


こんな幸せが続けばいいのに



ーーこんな幸せがずっと続くと思ってたーー



え?



「どうしたの?ハレイちゃん」

「あ、ううん、何でもない」



なんか、聞こえたような気がするけど…まぁいいや。



「コホンッ…行きましょう。サンディー様」

「あぁ」



いつもは子供っぽいサンディーが、この時は男前に見えた。





ハレイたちがホールに向かって行った後。


「ハレイ…ハレイシア…どうして、僕じゃなくて、アイツなんだ……」

「お、王太子殿下、気をしっかり…」

「王太子殿下、泣いてるの?」

「あ、マリア姫」


最終的に、マリアさんから鳩尾みぞおちに蹴りを喰らい、立ち直りました。


どんな立ち直らせ方や。マリアさんや。

















「第七王女、ハレイシア・レイ・リースレットッ!」



名呼びの兵が私の名を呼ぶ。


ゆったり、けれど確実に用意されている席に向かう。



「………っ………」



席に座ったことで、安堵の息をつく。

もちろん、バレないようにだ。



「第一王女、言の葉の巫女、マリア・リズ・リースレットッ!」



名呼びの兵が姉様の名を呼んだ途端、ホール全体に歓声が響き渡る。


人気者だ、姉様は。


姉様はこれから、私と共に国壊しをするなど考えさせないほどの、柔らかな笑みを浮かべていた。



「ハレイちゃん、緊張してる?」

「してないと言えば嘘です。それよりも、変な目で見られますよ」



今回の席、何故か私が、姉様ー第一王女ーの隣。私第七王女のはずだったんだけどなぁ。



「何で私が姉様のお隣なんですか?」

「王位継承権の問題だよ。ハレイちゃん、第3位でしょ?」

「あー、そう言えば、そうでしたねー」



聖なる癒しを発現させた時に、そうなったんだった。いやはや、忘れてた。



「じゃ、また後で話そうね」

「はい」



ふぅ。落ち着け、ハレイシア。


パーティーは、まだ始まったばかりじゃないか。これはまだ始まり。






序章に過ぎない






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