第25話波乱万丈、になりそう
寮の出入り口に着いたところで気がついた。
まだ、王立アカデミー初日なのよね。
(に、しては、結構濃い1日だったなぁ)
ベッドにうつ伏せになりながら、そんなことを考える。
「はぁっ」
今日って、考えてみれば、ロクでもねぇ1日だったよな。
先生にナイフで刺されそうになるわ。
同級生に嫌がられるわ。
魔法試験で負けるわ。
でも、良いこともあったはずだ。
友達ができた(多分)。
「…………」
一個だけ!?
「と、友達ができただけでもいいじゃない。まだ仮だけど…」
ララ様、また会えるかな。
「夕食の時、探してみようか」
チラッと時計を見る。
時刻は夕の日六つ。夕方6時だ。
夕食は6時から
「もういいじゃん!」
何で呼びに来ないんだよ!アメジストたち!
下手に一人で行っても迷子になるし、何よりアメジストたちがご飯を食べれない。
「はぁ、来るのを待つか」
グゥゥゥゥ〜……
「もうちょっと待て。私のお腹」
多分後5分くらいで来るから。多分。
〜5分後〜
コンコンッ
「どーぞー」
ガチャ
「はぁ、はぁ…お待たせいたしました。姫さま」
「アメジスト。どうしたの?」
「いえ、何でもありません」
って言ってる割には汗かいてるし、呼吸荒いけど…。
「(そこには触れないでおこう)」
しつこく聞きすぎでも怒られるだけだし。
「さ、食堂に行きましょう」
「はーい」
持ち物は…ハンカチ、だけで良いか。
食堂
「うわぁ〜」
食堂もまた、教室と同じように、キラッキラだった。
ここの学園は飾り付けばっかりだな。
ザ・お貴族様の学校、的な?
「ハレイ様!」
シーン……
え?ちょ、何でみんな黙るの?
「ララ様!」
「今来たのですね」
「はい。それよりも、どうかなされましたの?」
ララ様も汗かいてるぞ。
「何でもありませんわ。あちらで食べましょうか」
「えぇ、そうですね」
少し周りを見てみる。
「(…私に向けられた視線じゃない?)」
だとしたら、誰に
「ハレイシア・レイ・リースレットッ!」
「?」
現れたのは金髪縦ロールに、赤いリボンをつけた、令嬢。お前は悪役令嬢か。
「あの…ドナタデスカ?」
「きぃぃぃ!!忘れましたの!?貴女が恥をかかせたアミリア・ノーウェスですわよ!」
はて、私は何をしただろうか。
「…申し訳ありませんが、あなたのことは存じ上げないのですが」
「キィィィ!!!」
んっんー…これは…キレたね。
「わたくしは!アミリア・ノーウェスッ!」
「えぇ」
「隣国!アリス帝国から来た、ノーウェス公爵家の次女ですわよっ!?」
「えぇ、だから?」
「もぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
はて、何をそんなにイラつかせただろうか。
「あなたの名は!?」
「いや、さっき自分で」
「名は!?」
「………ハレイシア・レイ・リースレット。リースレット王国の第七王女よ」
「えぇ!?」
えぇ!?って、さっき自分で私の名前言ってたじゃん
「お、王女だとは知らず、ご、ご迷惑を」
「あーあー、いい。謝んなくていいよ」
「え?」
もしやこの子、
「コホンッ。私、意地悪とかそういうの興味がありませんの」
「そ、それは、わたくしを許して…」
「許しはしませんわ」
「うっ」
ここが大詰め(?)。
「罰として」
「っ……」
「私の友達になりなさい」
「…え?」
《え?》
「ふ、ふふっ、残念ながら私、今現在友達がおりませんの。ですから、罰として私の友達第一号の名誉をあげましょう」
「ハレイ様!」
「ララ様?」
どうしたんだろうか。
「私は…私は、友達ではなかったのですか!?」
やべ、忘れてた。この子友達第一号(仮)だったわ。
うーん………よし。これで行こう。
「あら、勘違いなさらないで」
「っ!」
「あなたは私の親友第一号でしてよ」
「は、ハレイ様?」
「あなたは私の親友。異論は認めないわ」
ふっ、カッコ良く決まった。
アメジスト、アルの心の中
「「(うわぁ、ドヤ顔…)」」
これで大丈夫だろう、と思いながらゆっくり目を開ける。
「(おぉう。目ぇキラッキラさせてる)」
目の前には、胸の前で両手を握り、目をキラキラさせたララ様がいた。
「ララ、様?」
「ララとお呼びくださいまし!ハレイシア姫!」
んん?
「ハレイシア姫の言葉を聞き、感動いたしました!どうかこの私を、仕える者にしてください!」
仕える者って何?
後ろにいるアメジストに目配せしてみると
「(要するに使用人ですよ。使用人)」
と、教えてくれた。
雑いな、説明。
「(ちなみに断った場合、断られた者はそれが人生の汚点となります)」
重っ!学生にして、それは重い!重すぎる!
こ、ここはしょうがない。ララ様の人生を壊すわけにはいかないし…
「わかりました。ララを仕える者として認めましょう」
「ありがとうございます!ハレイ様!」
あ、呼び方元に戻った。
「ず、ずるいですわ!ララ様!」
と、平穏に終わりそうなところに、水を差してきたのがアミリア様。
「アミリア様?どうされたのですか?」
「ハレイシア姫!わたくしも、どうか仕える者にしてくださいまし!」
え、えぇぇ!?
「え、いや、それは、あのっ」
でも、ここで断ると、相手の人生ががが…。
「ワカリマシタ。アミリアヲ仕える者トシテミトメマショウ」
仕える者以外全てが片言になった。
しょうがないよね。テヘペロ☆
だ、ダメだ。テヘペロ☆なんてやって良い顔じゃない。
「ありがとうございます!ハレイシア姫!」
「あー、いいのいいの。だから離して」
「はっ、すみません」
私がそう言うと、アミリア様はパッと握っていた手を離してくれた。
「わ、私も!」
「わたくしも!」
…はいぃ?
「ハレイシア姫!私もどうか仕える者に!」
「私も!私もお願いです!」
「姫!」
「お姫様!」
何で!?どうしてこうなった!?
「あ、アメジスト〜!アルディア〜!」
「「姫さま!」」
「「ハレイ様!」」
「誰か助けてー!!」
トンッ
「…え?」
ドサッ
「「姫さまッ!」」
「アメジスト、アルディア」
「「良かった〜!!」」
ホント君らよく揃うよね。
この後、アメジストとアルディア。ララとアミリアのおかげで、無事脱出できた。
仕える者になりたいと言う方には、兄様に仕える者は同性で二人まで、と言われている、という嘘をつき、何とか静まった。
後で兄様に伝えておかなきゃ。
それにしても、私の背中を押してくれたのは誰だったのだろう。
私知ってる。こう言うの、お話で言う伏線って言うんでしょ?
今の伏線の数、いくつだっけ
・クロイモノ
・背中押した人。
あ、これくらいか。ってか、覚えてるのこの二つだけだわ。
はぁ、どうなる私のアカデミー生活
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