第24話戦闘後


救護室


「…………ん………うぅ……」



あー、ここどこだろう。



「姫さま!」

「ハレイ様!」

「アメジスト?ララ様?」



あ、私、倒れたんだった。



「良かった!」

「そんなに心配しなくても、大丈夫ですよ。アメジスト」

「でも、本当に良かったですわ!」

「ララ様、心配してくださり、ありがとうございます」



ララ様…心配してくれたのか。



「目が覚めたこと、先生に報告してきますね」

「お願いいたします。ララお嬢様」



ララ様を見送るアメジスト。



「やっぱ勝てなかったなぁ」

「姫さまは突っ走りすぎです」

「あはは…自覚はあります」



私は、魔力量が少ないからね。早めに決着をつけようとした様がこれだ。


かーなしーいなー。まーけちゃーったー。



「これからは、あの様な危険な戦い方は止してくださいね?」

「わかりましたわ。アメジスト」



私がそう返事をした直後、ガチャ、と扉が開き、ララ様とアルが入ってくる。



「あら。アルディアも一緒だったの?」

「はい。偶然そこの角で、ララ様と会いまして、行先が同じだと言うことだったので」

「そう」



アルは何をしていたのだろうか。



「アルディアは何をしていたの?」

「荷物運びでしたり、迷われた方の案内でしたり、いろいろです」



んー、アルは巻き込まれ体質なのかな?



「というか、敬語が板についてる!」

「今更ですか……」



すごい!アル君の成長じゃー!!!



「姫さま、落ち着いてください」

「そうですよ」



あ、二人とも敬語だから、どっちがどっちだかわからなくなった(こーゆーことをメタイと言うのだろうか…?)。



「ほら、ララ様がいるんですから」

「はっ、ありがとね、アル、アメジスト」

「「有り難きお言葉」」



うーん、なんかニヤニヤしちゃうなぁ……。


むふふ……。って、あぁ!



「…ララ様」

「は、はい!」

「ここで見たことは、内緒、ですよ?」

「!……はい!」



内緒、と言う言葉に憧れているのかは知らんが、とても楽しそうな笑顔を浮かべていた。


ってか、マジで秘密だぞ?この喋り方がバレたら、王女としての面子が、死ぬ。



「ハレイ様は、従者の方と、仲良しなのですね。羨ましい限りです」

「そうです、かねぇ…?」

「そうですよ。私の家は、従者をモノとしか見ていなくて……」



ララ様の家、めんどくさそうだな。



「ララ様が従者の方を大切にすれば良いのです。子は親に似ると言いますが、悪いところは似なくて良いのですよ」

「…そうですよね!」



この子の笑顔、好きかも。


あ、もちろん恋愛的な意味ではなくて…って、私は誰に話してるんだ。



「ララお嬢様、そろそろお嬢様の番です」

「あら、もう?」

「はい」

「ありがとうございます。アルディア」



礼を言うと、ララ様は部屋を出て行った。


ララ様はどんな戦い方をするのだろうか。



「ねぇ、次の試合見たい」

「「………」」



何その、えっ、て顔。



「な、何言ってんだ!」

「アル、言葉」

「はっ」



こいつら良いコンビだな。



「とにかく、次の試合は見に行ってはダメです。魔力切れ…貧血で倒れたようなものですから、しっかり休んでください」

「…へーい」

「……言うこと、聞かなかったら、おやつ一週間抜き」



…は?



「んんん?アメジストさん?それはマジですかい?」

「大真面目です」

「………はい」



はいはい、しっかり言うこと聞きますよー



「なら良いのです。アル、あなたは」

「適当に立って人脈作ってろ、だろ?」

「えぇ、後言葉」

「申し訳ありませんでしたー」



ん?人脈作り?



「まさか、わざと手伝ったりしてたの?」

「はい」



計算高い。うちの従者、計算高い!



「まぁ、それはいいので、寝ててください」

「はーい」


ポフンッ


「埃を立てない!」

「はい!」



アメジストって、ときどきお母さんに見えるわ。


侍女ってみんなこうなのかしら。



「それと、これ」

「あ、花のお姫様だ」

「退屈でしょうし、これを100回くらい往復しといてください」

「100!?」



え?え?マジで?本当に?本気と書いてマジと読むくらいに本気マジ



「マジで?」

「大真面目です」



似たようなやりとり、さっきやったッ!



「じゃ、姫さま、安静に」

「アル〜、助けて〜」

「じゃ、姫さま、安静に」



なんで同じこと二回ゆーた。何でや。



パタンッ


「………行っちまったぜ☆」



☆、なんてつけてる場合じゃねぇ。100回往復せんとあかんねん



「なんか変な言葉になってるし!」



あぁ、私は何をしているのだろうか。












「78回目…」


ガラッ


「姫さま」

「ぎゃあ!アメジスト、まだ78回なの!」

「何だ。まだ78ですか」



そんなゴミを見るような目で、主人を見るんじゃない!


そんな風に育てたことはありませんよ!



「いや、別に姫さまに育てられたわけじゃ」

「アメジスト」

「アル。聞いて。まだ78なんですって」

「え〜、まだぁ〜?」



う、うぅ、姫さま泣いちゃうもんね。


泣いちゃうもんね!!



「「泣け」」

「うわぁぁぁぁぁ!二人が意地悪する!」

「はいはい、それよりも」



お前たちが始めたことだろ!



「何か?」

「何でもありません…」



アメジスト、脅迫の笑みはずるいって…。


はぁ、私が主人のはずなのに、どうして立場が弱いのかなぁ…。



「寮に帰って良いとの連絡が来ましたので、迎えに来た次第でございます。」

「はい…」

「本、お持ちしますよ」

「ヤダ」

「ヤダって…」



まだ100回読んでないもん。それまでは持っててやる。誰が何を言おうと、持っててやる。



「「謎のこだわり…」」

「うっさい!」

「はぁ、部屋に戻りますよ」

「可愛い飾り付けもしてありますから」



え?本当?



「行く!今すぐ連れてって!」

「「仰せのままに。我らが姫」」



うん。ここまで聞いて思ったけど、二人とも合わせるの上手ね。





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