第4話新事実


「姫さま、姫さま、御起き下さいませ」

「ん〜…後五分」

「姫さま!」

「ななな何!?」



い、今何時よ



「朝の日四つの鐘です。」



朝空四つの鐘……明け方の四時やん!



「何でこんな時間に起こすのよ!」

「それが、大変なことが判明したんでふ」



あ、今噛んだ。噛んだよね。



「っ……実はですね」

「何よ」

「王妃様、浮気してたんです」

「・・・えぇ?」



そんな国家機密的な情報、どこで手に入れたん?アメジストちゃん……。



「私、隠密行動が得意なんです」

「あー…うん、そんなドヤ顔されてもね」

「「…………」」



「コホンッ」とわざとらしい咳をして、話を再開するアメジスト。



「この情報を、国王に知らせましょう」

「いつ?」

「それは、今…」

「私は後での方が良いな」

「え?」



だって、今国を崩壊させたら大変でしょう?



「まだ、それは温めておくの。何年かしたら知らせましょう」

「っ〜〜〜!流石は姫さまですっ!」

「ありがとう。アメジスト」



そんなにギューっと締め付けないでー。



「私はこう言った情報を集めて参りますので姫さまはこの城内で集められる情報を、集めて下さい」

「りょーかい」

「では、行って参ります」


シュタッ


「あー、窓から行っちゃった」



これからどうしよっかな。目が覚めちゃったし、本でも読むかな」



「………そうだ」



着替えて図書館に行きましょう。










中庭通路


「うぅ……寒っ」



まだ三の月…日本で言うなら三月だものね。そりゃ寒いわ。



「おい、向こうで足音がしなかったか?」

「っ!?」



ヤバイ、今見つかったら部屋に連れ戻される!隠れなきゃ



「きゃ!」

「え?」

「ま、マリア姫さま!」



マリアだと?



「マリア姫さま、何故ここに?」

「お、起きてしまって、寝付けなくて、散歩をしていたのです…」

「そうでしたか…まだ散歩をしますか?」

「少しだけ」



あれ?兵士の反応、おかしくないか?普通なら、すぐさま部屋に連れ戻すだろうに。



「わかりました。何かあったらお呼び下さいね」

「はい」


カシャッカシャッカシャッ


「はぁあ、良い子ちゃんも疲れるわねぇ」



は?



「何がマリア姫さまよ。笑っちゃう」



まさか



「お姫様も楽じゃないわね。これなら日本の方が楽だったわ」



嘘…まさか、マリア様も転生者!?



ガサッ


「!?、誰かいるの?」

「っ…」



ダッシュ!



カランカラン


「あ、待ちなさい!」



誰が待つかよ!







自室


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」



これは、テンプレというやつか。


乙女ゲームに転生したら、ヒロインも転生してて、しかも性格が意地クソ悪いという。



「いいや、まだ意地クソ悪いと決まったわけじゃあ無い」



そうだ、本当は、超超ツンデレさんかもしれない。


まだ希望を捨ててはダメだ。



「だ、大丈夫。まだ平気よ。私は大丈夫。」



今日は朝早くから脳内がパンクしそうだわ。


そうだ、こんな時は本でも読みましょう。



「そうよ、お気に入りの「オーロラの妖精」でも読んで、落ち着きましょう」


カチッ



ん?「カチッ」?



ガタンッ


「今度は何よぉぉぉぉ!?!?!?」


ガガガガガッ



ひっ、本棚が動いて…奥に、通路が?



「…落ち着け。ゲームなら、こういう時何がある?」



考えろ、考えろ、考えろ………。



「隠しキャラ?」



うっそぉぉぉぉぉ!!!

そりゃあよくあるけどさ!転生した悪役が、最初らへんに隠しキャラ見つけちゃうのはぁ!



「だからって…私、悪役でも無いのにっ!」



閉じ、閉じ、閉じ…れない!


はっ!待て、まだ隠しキャラとは決まっていない!それに思い出せ、七色の祈りのラスボスの名を!



「アルディア・ルリ・カラロル、だったような気が」



確か、家族が大罪を犯して、その罪滅ぼしの為に幽閉されているのよねっ!


大丈夫、大丈夫よ〜、この奥にいるのはきっと、王族の金銀財宝なのだから。



「そう、そうだよ。金銀財宝に決まってる」



よし、行こうではないか!




「アルディア、だと……!?」



扉に、札があって、ご丁寧に、名前が書いてある。


そこに、そこにっ、『アルディア』と書いてある!



「嘘だろぉぉぉぉ!!!」


ガチャ


「あ」

「…君、誰」



見つかったーッ!



「リースレット王国第七王女、ハレイシア・レイ・リースレットですわ。お見知り置きを」

「ふーん、僕はアルディア・ルリ・カラロル元五大貴族の一人だ」



見た目はアメジストと同じ、十二歳くらいね。


黒い髪に金の瞳。五大貴族、カラロル家の特色だわ。



「君は王女…には見えないけど」

「父と母の悪いところを受け継いでしまいましたの」



癖っ毛なところとか、目つきが緩すぎなとことか。



「アルディア様は」

「アルでいい」

「アル様は、なぜこのような場所に?」



念の為、聞いておこう。



「家族が大罪を犯したからだ」

「そうですか」

「…」

「…」



え、何この沈黙。



「驚かないのか?」

「え?何に?」

「ほら、家族が国家反逆罪に問われてんだぞ?」



国家反逆罪だったのかぁ、それは重いな。



「えぇ、だから?」

「……ぷっ、あはは!お前、変な奴だな!」

「お前、ではありません。ハレイシアです。ハレイとお呼び下さい」

「わかった。ハレイ」



あら?この流れってもしかして…



「ねぇ、僕たち、友達にならない?」

「…えぇ、良いですわよ」



やっぱりぃぃぃぃぃぃ!!!


ヤバイ!ヤバすぎる!友達になっちゃった!



「また明日も来てくれる?」

「明日と言わず、今日また来ますわ。私の侍女にも会わせたいの」



こうなりゃアメジストも巻き込んでやるわ



「君の侍女?信用出来るの?」

「出来ますとも」

「ふーん、なら、良いけど」



アル君や、そんなあからさまに不機嫌な顔をしないでおくれ。




「じゃあ、また後でね」

「はい」


ガガガガガッ


ガタンッ


「……あぁぁぁぁぁ!!やってしまった!」



まさかの隠しキャラと、仲良し(?)になってしまうなんて!



「はぁぁぁ……」



あぁ、王妃様の浮気問題に、マリア様の転生者疑惑に、隠しキャラとお友達…。



「どうなるのかなぁ、私の人生…」



あはは………はぁ……。

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