第3話それ本気だったんだね


「は、ハレイシアちゃんっ」



まただ。これで、何度目だろうか。



「はい、何でございましょうか、マリアお姉様」



この人に、ちゃん付けで呼ばれるのは。





マリア・リズ・リースレットは、国王が真に愛した前王妃の娘だった。


前王妃は体が弱かった為、マリア様をお産みになった際、お亡くなりになったそうだ。



そして、マリア様は何かの手違いで城下町に捨てられてしまったそうだ。


いや、どういう手違いをしたら、そうなるんだよ。



「上層部も使い物になりませんね」

「アメジスト、それあまり大きな声で言わないで。バレたら私たち打ち首よ?」



本当に打ち首になるからやめてくれ。



「そうでしたね。…さてと、どうやって国を滅ぼしましょうか」

「それ本気だったんだね〜………」

「もちろん、本気ですよ」



私時々あなたが怖くなるわ…とは言わないでおく。あくまでも、これは私、ハレイシアの為らしいからね。



コンコン


「はい、どうぞ」

「は、ハレイシアちゃん」

「「(また来た……)」」



マリア様は、よく私の部屋に来る。


何故なのか聞いてみたら



『ハレイシアちゃんだけが優しくしてくれるから』



いやね、別に優しくなんかしてないよ。と、この時は思ったが、その翌日に、アメジストから聞いた話で、どうしてそうなったのかが分かった。


いじめられているのだ。元第一王女、現第二王女から。



「(めんどくさいものに、巻き込まれたものよ…って、そうだ!)ヒロイン!」

「は?」

「え?」



あ、ヤバッ。



「…マリア様」

「は、はい」

「申し訳ありませんが、また後ほど来て下さいますか?」

「え?あ、わ、わかりました」


ガチャンッ


「………ごめんなさい」

「いや、別に良いのですけど…それで、ヒロインというのは?」

「乙女ゲームの、主人公…攻略キャラクターたちとキャッキャウフフをしていく人です」



私がそう言うと、アメジストは「はぁ…」とため息をついた。



「何でそんな大事なこと、教えてくれなかったんですか」

「いやー…忘れてたというか。まぁ、マリアお姉様が来たから、前世の記憶?というかゲームの記憶を思い出したんだけど…」

「何でそれを忘れるんですか、鳥頭ですか?姫さまは」



失礼な!そんなバカじゃないわよ!



「はぁ、それよりも…ゲームのこと、詳しくお聞かせ願います」

「いいけどさ……」




城下町に住む、平民のマリアは、ある日突然自分が本当の第一王女だと知らされる。

お城に連れて来られたマリアは父・ザドルと出会う。ザドルから告げられたのは王立アカデミーへ行き、王族としての立ち回りを学ぶこと。


マリアの学園奮闘記が始まる。




「っていう感じよ」

「マリア様は今月で十二歳でしたね……王立アカデミーに入学するのは来年。ストーリーが始まるのは来年からですね」

「あー、私も二年後には入学するのかー」

「私も行きますから、大丈夫ですよ」



やったー!アメジストも一緒だー!



「さて、この二年間で国を滅ぼす計画を進めましょうか」

「アメジスト……それ、本当に、ほんっとうにやるんだね」

「当たり前です。姫さまが死ぬなんて、耐えられませんから」



あぁ、私は良い侍女を持ったのか、否か。

まだよくわかりません。

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