王宮編

第1話なんか来た。


むかしむかし。あるところに、リースレット王国と呼ばれる、一つの国がありました。


リースレット王国は、代々とても強い王様が国を治めていて、戦争では、負け知らずの国でした。



リースレット王国は、ある日、アリス帝国と戦争をすることになりました。


結果は、リースレット王国の勝利。


リースレット王国はお祝いに、隣国のお姫様を花嫁として迎え入れました。


隣国のお姫様は、妖精と言われるほど美しく、そして不思議な力を持っていました。



その後、お姫様のお陰でリースレット王国は栄え、とても幸せになりましたとさ。


めでたしめでたし。




全然めでたくない。



「はぁ」



私の名前はハレイシア。ハレイシア・レイ・リースレット。リースレット王国の第六王女だ。今年で十歳になる。


この国の王と、このお話に出てくるお姫様の間に生まれた子供だ。



この話、結構、というか、ほとんど美化されている。


兄様経由で聞いた。

本当は人質としてこの国にやってきたこと。

二年と約束したのに、国に帰してくれないこと。

婚約者がいたのに、無理矢理結婚させられたこと。


他にもいろいろだ。



コンコンッ


「どうぞ」

「失礼します」


ガチャリ


「お茶の支度ができました。」

「ありがとう。アメジスト」



よく出来る私の侍女、アメジスト。その名の通り、宝石のような紫の瞳と髪を持っている


私の自慢の侍女だ。



「またその本を読んでいたのですか?」

「納得がいかなくて」

「そりゃそうですよね」



私の考えに同意してくれるアメジスト。

やっぱ持つべきものは仲間ね。


私がそう考えている間に、テキパキとお茶の支度が整った行く。



コンコンッ


「?、誰かしら」

「さぁ?」


ガチャ


「あら、ハレイシアじゃないの」

「さ、サファイアお姉様…」



第一王女のサファイア・フィア・リースレット。私の腹違いのお姉様になる。



「何でこんな“馬小屋”にいるのかしら?」

「ここは、わ、私の部屋、ですので…」



私の部屋は、他の王女たちとは違う。


石造りの、牢獄のような部屋だ。



「え?……あぁ!そうだったわね!ごめんなさいねぇ?ちょっと勘違いしちゃった」

「は、はぁ、そうですか」

「王女殿下」

「何よ」



私が困っていると、アメジストから助けが来た!



「申し訳ありませんが、ハレイシア様はこれから、お茶の時間にございます。また後で、お越し下さいませ」

「っ!」



お、おぉ、アメジストの脅迫の笑みだ。怖いんだよね、これ。



「そ、それじゃあねっ!」


バタンッ



そんな乱暴に閉めないでよ。壊れかかってんだから。



「アメジスト」

「はい」

「お茶にしましょう」

「そうですね」






翌日


「おと、、、国王陛下が私にご用事?」

「はい、そのように聞いております」



私に無関心な国王陛下が何故…と思っている時間は私には無いらしい。



「さ、行きますよ」



というアメジストの声と共に、部屋から出されてしまった。








謁見の間


「国王陛下。何か御用でしょうか」

「なに、他の王女たちにも知らせたことだ」



いや、何を。



「本当の第一王女が見つかった」

「は?」

「名前はマリア。仲良くなさい」

「は、初めまして、ハレイシア…よろしく、お願いしますわっ」



マリア、マリア、マリア、まりあ、まりあ。









マリア・リズ・リースレット?




ぐらっ



あぁ、視界がぐるぐるする。



「ひめ、さまっ!?」



アメジスト、ごめん、ね………。

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