大と唯 ごはんでーと②
古来より食いしん坊女子というものは男性から好かれる傾向にある。たくさんの料理を美味しそうに頬張るところが可愛いとかいじりやすいとかマナーがあるとか。なるほどその意見には大いに賛成だと
「ゆー君これ美味しいねぇ♬︎」
なんて目の前に幸せそうに料理を食べる唯を見ればそう思うのも仕方が無いんじゃないだろうか。いや、ほんと可愛い。
「あーほら、ここソースついてるから」
「んー…。ありがとっ!」
言って、口の横に付いていたソースを拭いてやる。今のは恋人っぽいなぁ…なんてことを思ってみたり。
「にしても唯、よくそんなに食べれるな…」
「だって美味しいんからしょうがないじゃん!ゆー君こそもうお腹いっぱいなの?」
「あのな…いくら俺が男だからと言っても流石にあの屋台巡りの後にこれはちょっときついぞ?」
そう。結局あの後たこ焼きだけでは飽き足らず最初に唯が宣言していた屋台全部をまわっただけでなく結局うちでお昼まで食べていくとは…。
「そう?私はまだ食べれるよ?」
と言ってすでによそってあるパスタが唯の口の中に消えた。
「よく太らないよなぁ……」
唯はどちらかと言えば細い方だろう。それに身長もあまり高くない。
「むっ。今失礼なこと考えなかった?」
「何のことだ?」
「ゆー君が私のこと小さいなって考えてたような気がしたよ」
怒っているはずなのだが、口いっぱいにパスタを含んでリスみたいな姿になっているため全くもって怖くない。むしろかわいいくらいだなぁ……
「なんで微笑ましいなって顔してるの!!」
あ、どんどんほっぺたが膨らんでく。
「いいもん!!私いっぱい食べて大きくなるし!!」
言って、唯は再び料理を取りに行ってしまった。
……まだ入るの?
★ ★ ★ ★ ★
「まさか一日中デートすることになるとはなぁ」
「いやだった?」
幸せそうな笑顔を一転、今度は悲しそうな顔でこちらを見つめてくる。
「あ、いやそんなことは無い。こうやって誘われるのって今までなかったから嬉しいぞ?」
「そっかぁ、えへへ」
そう言うと、ほにゃりと笑い食事を再開する。
「今日のでーとさ、どうだった?」
「ん?」
「私が誘った初めてのでーとはさ、その、楽しかった?」
「おう、さっきも言ったけど初めて誘われてさ、こうやって一日中唯と過ごすのはほんと楽しかったぞ……正直こんなに食べるとは思わなかったけどな」
若干ニヤニヤしつつそう答える
「う、だ、だっておいしいし、楽しいし……」
拗ねたように唇をとがらせそっぽを向いてしまった。
「おう、俺もそういう唯を見るのが楽しいし好きだぞ?」
なんて、普段なら絶対恥ずかしいと思うことまで言ってしまう。大分浮かれているのかもしれない。
「えへへ……私も大好きだよ~」
一瞬で機嫌が直った。ちょろい。
「こういうのもありかもなぁ」
「うん!また行こうね!!」
「うし、じゃあ俺ももうちょっと食べようかな!」
「うん!!」
そう言って、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます